その夜…。

「じゃあコナン、お休み！」
「あっ、兄ちゃん………」

俺は部屋の前まで来るとコナンに挨拶をして自分の部屋に入ろうとしたけど…何かコナンが言いたげな様子を見て、立ち止まる…。

「どうした？？」
「なんでもない…お休み！！」

少し悲しげな表情になったコナンは首を横に振りながら、慌てて自分の部屋に入ってった…。

不思議になってはいたが、それ以上何も言わなかったから、俺も部屋に入る事にした…。

静まり返ったPM11：00頃…扉が開く音がして俺は目を覚ました…。

ふと、扉の方を見ると…暗闇の中、枕を持って悲しげな表情を浮かべたコナンがそこに立っていた…。

「わっ！！コナン！！」

俺はびっくりして、飛び起きると…コナンを覗き込んで言った…。

「どうした？こんな夜中に…寝なきゃダメだろ？」
「だって…静か過ぎて怖いんだもん！！」
「いつも一人で寝てるじゃねーか！！」

そう言って、コナンの額を人差し指で突ついた…。

「一緒に寝ていい？？」

遠慮がちに言うコナンに少し微笑んで…俺のベッドへの侵入を許した…。

安心したのか…コナンはベッドに入るとすぐ、寝息を立てて眠りについた…。




翌朝…。

「そっかあ…新一のお父さんとお母さん、仕事でいないんだあ…淋しいね、コナン君！！」
「寂しくないよ！！」

学校までの道を歩きながら話していると…蘭に話を振られてコナンは無理矢理に淋しさを隠している様子で意地を張っていた…。

「所で、新一……聞いたわよ…哀ちゃんから……」
「何を？？」
「ご飯…めちゃくちゃだったんだって？？」

昨夜の事は内緒にしようと思っていた俺に、再度蒸し返された残骸事件…。

そんな俺を見て、コナンは笑っていた…。

「何だよ…」
「今日はどうするの？？ご飯…」

そうコナンに言われ、言葉に詰まる俺を見て蘭が言った…。

「しょうがないわね…今日は私が作りに行ってあげようか？」
「えっ、蘭が？？」
「コナン君、何がいい？？」

突然の蘭の提案に…段々コナンが笑顔になって行くのをみて、すかさず俺は昨日の会話を思い出しつつ言った…。

「コナンは食べられるなら何でもいいんだもんな！！」
「僕、ハンバーグ食べたい！！」
「昨日は何でもいいって言ったじゃねーか！」
「だって…」

蘭の前だと素直になるコナンを見て、俺は不機嫌になる…。

「じゃあ、分かった！！今日ハンバーグ作りに行ってあげる！」
「やったーー！」

不機嫌になった俺を差し置いて、蘭とコナンによって夕飯はハンバーグに決められた…。

「あっ、そうだ！コナン、今日学校終わったら、兄ちゃんの学校に来るんだぞ！！」
「何で？？」
「お前を一人で留守番させられねーの！！」

二日程両親がいない家に、コナンをおいて置けないと思った俺はコナンに学校までの地図を渡した…。

「分かるか？？」
「うん、分かる……」

納得のいかない様子のコナンだったけど、とりあえず素直に地図を受け取った…。

授業が終わるまで、保健室で待ってる様に伝え俺達はコナンと別れ高校に向かった…。