新一とコナン①
「………と言う事だから、しばらくの間…私、先に行くねっ…コナン君にもよろしくね…」
「ああ…でも蘭…何を……」
「じゃあ、急ぐから…」
あれから数日後…コナンの熱も下がり、いつも通りの日々を送っていたある日の朝…。
蘭からの電話で暫くの間…一緒に行けないとの連絡を受け…電話を切った俺は、疑問が残った…。
「あ~それ僕の!!」
「さっき二つ食べただろ?」
朝食を食べていた時…熱も下がり、すっかり元気になったコナンが夕べ残った海老フライをもっと食べたいと俺の分まで手を出して来た…。
「ちょーだい!!」
「しょうがねーな…」
俺は仕方なく、自分の海老フライをコナンの皿に移した…。
「ありがとう!新一兄ちゃん!!」
海老フライを貰えたコナンは上機嫌で俺に微笑みパクリと頬張りながら満面の笑みで俺にお礼を言って来る……。
そんなコナンを見た俺は、こないだまでの静けさが嘘の様に感じて笑っていた…。
「そういえば今日蘭ちゃん遅いわね……」
「あっ…蘭なら暫く来ねーよ…何か用があるとかで…先に行くってさっき電話があったよ…」
俺はさっきの蘭の電話の経緯を話しつつ…母さんの疑問を返しながらコナンにも教えた…。
そんな事を聞いたコナンは当然……。
「えーーー!!何で~~??」
「何でって…わかんねーよ!暫くだから、用が終わったら、いつもの様に来るだろ?」
まぁ、勿論そんな答えだけでは納得行かずに、コナンは不機嫌な表情を浮かべて疑問をぶつけて来た…。
「暫くってどれくらい??」
「だからっ…」
「明日は来る?」
「えっと……」
困惑しながらやっと返事する俺を待っていられないコナンは…次から次へと質問して来る…。
困った俺は、さっさと残りの食事を口に運ぶと…慌てて立ち上がった…。
「話はまた後でな、コナン…じゃ、行って来まーす…」
「あっ、兄ちゃん!!」
コナンの待ってと言いたげな言葉から逃げる様にして、俺は足早に玄関のドアを開けて学校へ向かった…。
「蘭…」
教室に入ると…既に来ていた蘭に俺は声をかけた…。
「あっ、新一…おはよう!!」
「どこで何しに行ってんだよ??今朝コナンが大変だったんだぞ…」
いつもの様に明るく挨拶をして来る蘭に、俺は今朝のコナンの事を話した…。
「大丈夫よ…そんな心配する様な事じゃないから…」
意味深な笑みを浮かべながら、俺からコナンの話を聞いた蘭は笑っていた…。
そして、蘭の不思議な行動は続いていた…。
「新一…帰りも先に帰ってて…やる事あるから…」
「やる事って??」
「秘密よ…そのうち分かるから、心配しないでよね…」
そんな不思議な言葉を残したまま…そこで会話は強制的に終結した。