蘭の背中で眠っていたコナンがやっと目を覚ますのを後ろで感じ、蘭はコナンに声を掛けた。

「コナン君？起きた？」
「蘭…ねーちゃん……」
「大丈夫？」
「あ、そうだ…僕、うっ…」

気がついたコナンは蘭に声を掛けられ、思い出すとお腹に痛みが蘇ってきて片方の手でお腹を押さえた。

「このまま病院に行って見てもらおうね」
「大丈夫だよ、このくらい…」
「だめよ、何あったら大変なんだから…」
「そういえば、赤井さん達は？」
「心配すな、後の事は、FBIや公安や警察がやってくれるって言っとったで…お前を襲ったやつには逃げられてもーだけどな…」
「そうか…」

コナンはそう呟きながら、きっと有能な警察が揃ってるんだから大丈夫だと自問自答していると、下の方から声がして灰原は言う。

「まったく…最後の最後まで危なっかしいんだから…」
「灰原…」
「いいじゃない、無事に帰ってこれたんだから。」
「せやな…これで工藤も帰ってくるかもしれへんしな～な、坊主？」

にやりとしながら、コナンに語りかける服部は答えずらそうにしているコナンの態度を面白がっている様子だった。

「そ、そうだね…」

と笑みを返すコナンは心の中でにゃろ～と思いながら、服部を軽く睨んでいた。


それから2日後…。

服部が大阪に帰る駅のホームまで見送りに来たコナンに、服部は言う。

「その姿で会うんも、今日で最後やな…」
「ああ。色々、ありがとな…本当の姿で、また会おうぜ！」
「もう何もないやろうけど…もしまた何かあったらいつでも連絡するんやで？」
「ああ、わかってる」

そして、身を翻して駅のホームへ行き、人混みの中に消えていく服部に江戸川コナンとしての別れを告げた。

服部には凄く感謝していたコナン。奴らをぶっ潰す為に、何かしらの協力をしてくれた。自分の身体が小さい代わりに、服部の協力がなかったら出来なかった事も沢山あった。お互いの知恵を振り絞って奴らを追い詰めた事を忘れず、コナンは駅に背を向け歩き出す。

自分がいた場所に帰る為に……。

本当の姿に戻る為に……。

工藤新一に戻る事で別れなければ行けない人達も確かにいる事を忘れずに、江戸川コナンは静かに皆の前から姿を消した。