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第一章:このままの身体では……

「なかなか下がらないね…」

あれから3日経つのに、コナン君の熱はなかなか下がらなかった。熱が下がったら、病院行こうと思っていたんだけど、そろそろ薬も切れ始めている。

「コナン君、どう?具合は」

私はそう言って、コナン君の額に手を当てるけどまだ熱かった。それ程高熱ではなかったんだけど、調子の悪そうなコナン君の口からは“すぐ下がるよ”って言葉だった。

「でも、咳も止まらないし…やっぱり病院行こう!先生に見てもらおう!」
「ゴホッゴホッ…大丈夫だよ」

そんなコナン君の言葉を無視して、私は病院に行く準備をする。

「じゃ、お父さん行ってくるね」
「おう!」

本当はお父さんに頼もうと思ったんだけど、お父さんは仕事で頼めなかった。もっとも、コナン君が心配で授業所ではなかったから、私が連れていく事が1番安心出来たのかもしれない。

「コナン君、すぐ着くからね」

私はそういうと、背中にもたれかかってるコナン君に声をかける。体調が悪いせいか、顔を埋めていたけど、返事だけはしていたから多少安心していた。



病院に着いて、緊急カードを受け付けに渡すとすぐに案内された。“どうぞ”と言う声に反応して、コナン君を抱え上げながら診察室に入る。

「蘭さん!どうしたんですか?」

そういう先生はコナン君の顔をのぞき込む。眉間に皺を寄せて、苦しそうに呼吸をするコナン君をベッドに寝かせるとペンライトを持ってコナン君に口を開けるように促し、見ると険しい顔をした。

「扁桃腺が腫れてますね!薬入れれば大丈夫ですよ…ちょっと、染みるよコナン君!」

そう言って、口の中に薬を入れると痛さで苦しそうに呼吸が荒くなってベッドのシーツの裾をきつく握りしめていた。

解熱剤として点滴を施した後、コナン君の頭を撫でる。診察椅子に座る私と面と向かって話す先生はさっきの険しい表情と打って変わってにこやかになっていた。




「もう大丈夫ですよ…扁桃腺が腫れていたので薬挿しておきました。薬が効かなかったのはその為です。今週分の薬出しておきますね…1日入院した方がいいと思うんですが…」
「はい、お願いします!」

私はそう言って、1度コナン君の着替えを取りに自宅へ帰った。その間、コナン君は病室に移された。



とりあえずは安心して着替えを持って再度病院に向かう時、あの子達が尋ねてくる所だったのを目にして私は笑顔で近寄り声をかけた。

「あら皆~学校終わったの?」
「はい!コナン君、どうですか?」

光彦君の問いに、私は病院に居ることを伝えると少し驚いた表情になり、みんなで行く事になった。その言葉で更に皆の心に不安にさせていた。先生に診てもらって大丈夫だと言うことを話すと安心はしていたんだけど……。

病室に入ると、点滴に繋がれていたけど…扁桃腺も落ち着いたみたいで安心して眠っていた。額に触れると、さっきより熱も下がっているようで…先生も1日入院だと言っていたし、明日には帰れそうだと私は悟っていた。

「大丈夫みたいだね」

私がそう話すとよかったと言わんばかりの表情で笑ってる子供達がいた。

しばらくして、コナン君の瞳が開かれ…私達の姿を視界にいれていたみたいだけどしばらくは目をぱちぱちしていた。

「蘭ねぇーちゃん…あれ?ここ」
「1日だけ入院だって!扁桃腺が腫れていたから、薬効かなかったんだって言ってたよ」
「そうなんだ…」

すっかり熱も下がったコナン君の身体は体力を取り戻しつつあった。それと3日も休んでたコナン君を思ってお見舞いに来ていた子供達も、ベッドの傍に寄って笑っていた。

「よかった~元気になって!歩美達、心配してたんだよ全然学校来ないから」
「でもよかったです!」
「ちゃんと飯食わないと元気にならねーぞ、コナン!」

子供達はそれぞれにコナン君に声を掛けながら、少し元気になったのを見て笑いながら語りかけていた。

「まだ起き上がっちゃダメよ?しばらく安静にね!」
「うん…でも、もう大丈夫だよ!辛くなくなったし」
「でも、無理しちゃだめよ?」

コナン君は熱が下がったのを安堵していたけど、まだ声は掠れながら一生懸命話してるようだった。そのうち、先生が病室に入ってくるなり、コナン君に声をかけた。

「どうかな?コナン君、身体の具合いは?」
「うん、大丈夫。」
「みたいだね…」

コナン君の頬を触りながら、熱の下がったのを確認し点滴を外していた。

「まだちょっと熱あるけど、顔色も戻ってきたし大丈夫そうだね」
「ありがとう、先生」

コナン君のお礼の言葉に、先生は笑顔を返すと腕に注射を施す。明日の朝には退院だという先生は、この間勘違いしていたコナン君の表情とは打って変わって笑ってるコナン君をみて、安堵の表情を浮かべていた。その後、子供達にも話しかけていた先生は薬を何種類か置いて病室を出て行った。

その薬を見るコナン君の表情が曇るのを私は見逃さなかった。
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