✩.*˚哀とコナンと……①✩.*˚
「大丈夫、そのまま寝てろ!」
俺は、コナンの身体を支えながら、ソファーへと移動させた。
「うわっ、凄い熱じゃねーか!」
こんな高熱を出したのは、ガキの時以来で……最近は、風邪を引いても軽く済んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「コナンっ、大丈夫だからな!」
高熱に魘される弟を、俺は頭を撫でながら介抱していた。
タオルを濡らして戻ってきた蘭の手からタオルを受け取ると、それをコナンの額に当てた。
「ごめんなさい……私が、さっき余計な事言ったから……」
「違うんだ!コナンの奴……この雨の中、ずぶ濡れのままそこにいたんだよ!」
「え?」
「灰原さんは、気にしなくていいからな!」
「はい………」
子供の頃から、コナンが熱を出して倒れると…すぐ、俺はこうやって応急処置をしていた。
それは、数年経った今でも抜けてないのは…コナンとあの家で一緒に生きてきたと言うことなんだろう。
コナンの呼吸が乱れ続けているのを見て、俺は心配しながら蘭に声を掛ける。
「蘭、コナンの熱が下がるまで暫くこっちで預かるって、母さん達に連絡してくれっ!」
「あ、うん!分かった!!」
「後、母さん達に昔お世話になったコナンの主治医の連絡先聞いて連絡…を………」
その時、眠ったと思ったコナンの腕が伸び…俺のシャツを掴みながら、起き上がろうとしていた。
「おい、無理すんな!」
「兄ちゃん……帰…る………」
「何言ってんだ、そんな身体で………」
「迷惑……掛けられない、か…ら………」
コナンは言いながら、手が震え……涙を零していた。
今、迷惑って言った?俺に……?俺は、コナンの口から出た言葉に耳を疑った。
どんな事があっても、俺を頼り……唯一無二の兄弟として、接してきた俺に…初めてのコナンの強がり……。
こんな身体で、意地を張り…帰ると言い出した弟に、俺はこの日……不思議な違和感を感じた。
コナンが一歩、大人になって行くのを…本当は喜ばしい事なのに、何だか分からない感情が身体中を走っていた。
普通に見れば、それはいい事なんだろうが…それは、寂しさにも繋がった。
「コナンっ、今日はここにいろ…兄ちゃんが、付いててやるから!」
そういう俺に、コナンは首を振る。
そして、もう一度…帰る。
そう、言った。
「コナン……」
言い出したら、聞かない所は…子供の頃と変わってない。
仕方なく、俺はコナンを背負い…実家へ向かった。
「よっと……コナン、お前…重くなったな……」
「うっ、ごめん………」
俺は、いつの間にか…成長して行った弟の重さを身体で感じて、微笑んだ。
俺の言葉に、コナンは涙を零しながらポツリと謝る。
そして。
「いや、いい事だ!」
俺は、そう返した。
実家へ向かっている時、灰原さんが差してくれた傘に入りながら……トボトボ、歩いていた。
特に何も話さなかったけど、灰原さんがコナンが雨で濡れない様に…傘の位置を気を使ってくれていたことに、コナンを好きと言う気持ちは嘘じゃないと、改めて思うと…嬉しくなった。
自分が濡れても構わないと言う気持ちに……コナンに対しての想いが伝わって来た。
工藤宅へ着くと、慌てて母さんと父さんが駆けつけてきた。
「コナンちゃん……」
「コナンっ!」
「あ、大丈夫、大丈夫!!さっき、薬飲ませて安静にしてたからな……それから、主治医の先生……」
そう、言いかけた俺の言葉を遮り、母さんは言う。
「大丈夫よ!さっき、蘭ちゃんが連絡してくれてね……新一から頼まれたことを、伝えてくれたのよ…もうすぐ、先生も来てくれるみたいだから、安心して!」
「そっか、なら良かった……」
俺は、母さんの言葉に安心すると……コナンを部屋に連れ、ベッドに寝かせた。
「さっきより、上がって来てるな……」
そう、思い…俺はコナンの額を冷やそうと、タオルを持って台所に向かった。
「新一……」
「ん?」
俺が台所でタオルを絞ってると、父さんが声を掛けて来た。
「コナン、お前に相談しに行ったんだろう?」
「まあ、そうだけど……」
「コナンの辛いのは分からない訳じゃない……ただ……」
「ここで、コナンが我儘言い続けていたら、灰原さんの夢は叶わなくなる……だろ?」
「あ、ああ……まあな!」
父さんの言いたいことは、大体分かっていた。
灰原さんが、向こうに行ってしまえば…コナンは誰もいないこの家に帰る事になるかも知れない。
最近、めっきり仕事が忙しくなった父さんや母さんが、ずっと一緒に居てやることは出来ない。
だったら……。
「父さんと母さんが留守にしてる間は、俺がコナンを預かろうか?」
「それは、蘭君に悪いだろう……」
「大丈夫!毎日じゃないんだろう?父さん達が留守にしてる時は、俺と蘭がコナンと一緒に居てやるから、安心して仕事してろよ!」
「新一………たく、お前は……いい兄さんになったな!」
「何言ってんだよ!」
俺は多少、照れながら……そそくさと、コナンのいる部屋へ戻った。
だけど、今日のコナンを見ると…思ったより、早く解決しそうに思えてならなかった。
甘えてばかり居たコナンの強がりを目にして…俺は、一つ大人になったコナンの額にタオルをそっと置いた。
俺は、コナンの身体を支えながら、ソファーへと移動させた。
「うわっ、凄い熱じゃねーか!」
こんな高熱を出したのは、ガキの時以来で……最近は、風邪を引いても軽く済んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「コナンっ、大丈夫だからな!」
高熱に魘される弟を、俺は頭を撫でながら介抱していた。
タオルを濡らして戻ってきた蘭の手からタオルを受け取ると、それをコナンの額に当てた。
「ごめんなさい……私が、さっき余計な事言ったから……」
「違うんだ!コナンの奴……この雨の中、ずぶ濡れのままそこにいたんだよ!」
「え?」
「灰原さんは、気にしなくていいからな!」
「はい………」
子供の頃から、コナンが熱を出して倒れると…すぐ、俺はこうやって応急処置をしていた。
それは、数年経った今でも抜けてないのは…コナンとあの家で一緒に生きてきたと言うことなんだろう。
コナンの呼吸が乱れ続けているのを見て、俺は心配しながら蘭に声を掛ける。
「蘭、コナンの熱が下がるまで暫くこっちで預かるって、母さん達に連絡してくれっ!」
「あ、うん!分かった!!」
「後、母さん達に昔お世話になったコナンの主治医の連絡先聞いて連絡…を………」
その時、眠ったと思ったコナンの腕が伸び…俺のシャツを掴みながら、起き上がろうとしていた。
「おい、無理すんな!」
「兄ちゃん……帰…る………」
「何言ってんだ、そんな身体で………」
「迷惑……掛けられない、か…ら………」
コナンは言いながら、手が震え……涙を零していた。
今、迷惑って言った?俺に……?俺は、コナンの口から出た言葉に耳を疑った。
どんな事があっても、俺を頼り……唯一無二の兄弟として、接してきた俺に…初めてのコナンの強がり……。
こんな身体で、意地を張り…帰ると言い出した弟に、俺はこの日……不思議な違和感を感じた。
コナンが一歩、大人になって行くのを…本当は喜ばしい事なのに、何だか分からない感情が身体中を走っていた。
普通に見れば、それはいい事なんだろうが…それは、寂しさにも繋がった。
「コナンっ、今日はここにいろ…兄ちゃんが、付いててやるから!」
そういう俺に、コナンは首を振る。
そして、もう一度…帰る。
そう、言った。
「コナン……」
言い出したら、聞かない所は…子供の頃と変わってない。
仕方なく、俺はコナンを背負い…実家へ向かった。
「よっと……コナン、お前…重くなったな……」
「うっ、ごめん………」
俺は、いつの間にか…成長して行った弟の重さを身体で感じて、微笑んだ。
俺の言葉に、コナンは涙を零しながらポツリと謝る。
そして。
「いや、いい事だ!」
俺は、そう返した。
実家へ向かっている時、灰原さんが差してくれた傘に入りながら……トボトボ、歩いていた。
特に何も話さなかったけど、灰原さんがコナンが雨で濡れない様に…傘の位置を気を使ってくれていたことに、コナンを好きと言う気持ちは嘘じゃないと、改めて思うと…嬉しくなった。
自分が濡れても構わないと言う気持ちに……コナンに対しての想いが伝わって来た。
工藤宅へ着くと、慌てて母さんと父さんが駆けつけてきた。
「コナンちゃん……」
「コナンっ!」
「あ、大丈夫、大丈夫!!さっき、薬飲ませて安静にしてたからな……それから、主治医の先生……」
そう、言いかけた俺の言葉を遮り、母さんは言う。
「大丈夫よ!さっき、蘭ちゃんが連絡してくれてね……新一から頼まれたことを、伝えてくれたのよ…もうすぐ、先生も来てくれるみたいだから、安心して!」
「そっか、なら良かった……」
俺は、母さんの言葉に安心すると……コナンを部屋に連れ、ベッドに寝かせた。
「さっきより、上がって来てるな……」
そう、思い…俺はコナンの額を冷やそうと、タオルを持って台所に向かった。
「新一……」
「ん?」
俺が台所でタオルを絞ってると、父さんが声を掛けて来た。
「コナン、お前に相談しに行ったんだろう?」
「まあ、そうだけど……」
「コナンの辛いのは分からない訳じゃない……ただ……」
「ここで、コナンが我儘言い続けていたら、灰原さんの夢は叶わなくなる……だろ?」
「あ、ああ……まあな!」
父さんの言いたいことは、大体分かっていた。
灰原さんが、向こうに行ってしまえば…コナンは誰もいないこの家に帰る事になるかも知れない。
最近、めっきり仕事が忙しくなった父さんや母さんが、ずっと一緒に居てやることは出来ない。
だったら……。
「父さんと母さんが留守にしてる間は、俺がコナンを預かろうか?」
「それは、蘭君に悪いだろう……」
「大丈夫!毎日じゃないんだろう?父さん達が留守にしてる時は、俺と蘭がコナンと一緒に居てやるから、安心して仕事してろよ!」
「新一………たく、お前は……いい兄さんになったな!」
「何言ってんだよ!」
俺は多少、照れながら……そそくさと、コナンのいる部屋へ戻った。
だけど、今日のコナンを見ると…思ったより、早く解決しそうに思えてならなかった。
甘えてばかり居たコナンの強がりを目にして…俺は、一つ大人になったコナンの額にタオルをそっと置いた。