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✩.*˚哀とコナンと……①✩.*˚

照れが治まった頃、俺はコナンに質問を投げかけた。

「そーいえば、コナン…お前、夢は見つかったか?」
「え?」
「夢だよ、夢!!灰原さんだって、夢見つけて留学するんだろ!お前もなんか夢を…」
「新一っ!!気にしなくていいからね、コナン君!!」

蘭に止められて、コナンに聞こうとしていた話を遮断された。

そんな俺の言葉に肩を落としたコナンが、暗い影を落としながら聞いてくる。

「兄ちゃんは…灰原が留学するの、賛成なの?」
「え?」
「僕は、やだよ…二年も離れ離れになっちゃうなんて…やだよ……ずっと、一緒に居たのに!」
「兄ちゃんが、結婚して家を出た時も言っただろ?一生の別れじゃね~んだって!大丈夫だって、二年なんてあっという間だから…それより、灰原さんを応援してやらねーとダメだぞ?やりたい事をやる為に留学するんだし、留学だって…簡単な事じゃねー………」

俺は、そうコナンを説得しながら言葉が止まる。

「いつ、留学試験受けたんだろうな?そんな素振り、あったか?」
「え?分からない……」
「インターネットじゃない?今は何でも出来るし……」

蘭の助言に、ああ…それならと、納得している時……家のチャイムが鳴った!

蘭が玄関の方へかける音を聞くと、俺はコナンに言った!!

「なあ、もし夢見つかってないんだったら、兄ちゃんと一緒に…探偵やらないか?探偵は面白いぞ?」
「やだよ、兄ちゃんみたいに、頭良くないし…それに、灰原に探偵だけはやらないでって言われてるから……」
「え?何で?」
「当たり前でしょ!!」

インターフォンを鳴らした人物が、トボトボ蘭の後ろから顔を出す。

「もう、ずぶ濡れじゃない!ちゃんと拭かないと風邪引くわよ!」
「うん!」

灰原さんは、コナンの心配をした後…俺に視線を向けた…。

「変な知恵付けないでくれる?お兄さんと違って、追う夢が違うんだから!」
「分かった、分かった!!もう、言わねーよ!」

飽きれる灰原さんの視線を浴びながら、頭をポリポリ掻いた。

灰原さんは、コナンに視線を向けると……ポツリと言った。

「工藤君、私…工藤君が好きよ………」

そう言われたコナンは、更にまた顔を紅くする。

「な、何言ってるんだよ…こんな所で!!」

バスタオルで顔を隠し、動揺しているコナンの手からバスタオルを剥ぎ取る灰原さんは…次の瞬間、コナンの両頬を両手で覆い…自分の方へ向かせた。

「こっち見て!真剣な話よ……照れないで聞いて!」
「…………」

目をパチパチしていたコナンの動揺が治まってくると、灰原さんは静かにコナンの頬から手を離した。

「私、秋になったら、アメリカに留学するの……両親の製薬会社に勤めるのに、一番早いのが医療先進国であるアメリカなの。卒業式も、向こうになると思うし…帰ってきたら、就職するつもりだから……大学に進むかどうかは…まだ、分からない………」
「…………」
「でも、私は……どうしても、留学したい!ちゃんと、二年…一年半で卒業して、ちゃんとこっちに戻ってくる!だから、それまで待ってて欲しいの……お願い、貴方がお兄さんを好きな様に…私も両親が好きなのよ!殆ど覚えていないけどね?だから、両親の想いを次ぐ為にも…留学は必須なの。お願い、工藤君…分かって!!」

灰原さんが、留学するのには……色々な負担と諦めなければならない事がある。

卒業式も、大学も…一緒には出来ない!!灰原さんが留学する事で、コナンの中で色々な想いが散らばって行った。

離れ離れに灰原さんと違う方向へ進んでいくコナンと、知らない土地で…新しい生活を決意する灰原さんの空間の中で……コナンはどう感じているんだろう。




俺は、コナンの悲しそうな横顔を見つめながら……もう少しで、離れなければならない灰原さんとコナンの事が心配で、堪らなかった。

「これ………」

そう言って、差し出された封書を目にするコナン……。

「さっき届いた、通知書………」
「さっき?」
「見て!!」

そう言われたコナンは、その封書の中身を出すと見つめた。

「合格通知………」
「見事、通ったの!」
「さっきって、じゃあ…お母さん達に話した時って!」
「ええ、まだ見てなかった……だけど、私なら当然通るって思ってたから、先に話しておこうと思ってね!」
「灰原……」

自信満々に言う、灰原さんをただ…コナンは驚くばかりだった。

「秋から、暫く会えなくなるけど……帰ってきたら、ずっと一緒だから……そしたら………」

そこまで言うと、灰原さんは頬を紅く染め……言った。

「そしたら、今度は貴方から言ってよね!」
「何を?」
「プロポーズ!!」
「!!!!!」

灰原さんの言葉に、コナンは今日何回目だろう?と言うくらい、頬を紅く染め…照れていた。

これから、コナンを待ち受ける未来がどんな風に変わって行くのか、俺も蘭も楽しみでならない。

ただ、あの小さかったコナンが…もう、プロポーズを要求される程、時の流れの速さを前にして…俺も蘭も驚いていた。

「あっ!」

目をパチパチさせるコナンの脳内が真っ白になると共に、コナンの身体が床に叩きつけられながら、倒れて行った。

「コナンっ!」
「コナン君っ!」
「工藤君っ!」

三人の叫び声を聞きながら、コナンの瞳がゆっくり閉じられて行く。

駆け寄る俺の姿を視界に入れようと、コナンは懸命に瞳を開けようとしていた。
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