✩.*˚警察官は苦悩の連続✩.*˚
漸く落ち着いた所で、私達はお兄さんの家を後にしてやっと家に帰ってくる事が出来た。
家に着くと明かりはまだ消えていて、今日もご両親は帰国してない様子が伺えた。
「まだお父さん達帰ってきてないね…」
「そうね」
私達は軽く言葉を交わした後…勇嗣を寝かせる為に、寝室へ向かう。
「僕やるから」
そう言って、彼は勇嗣をベビーカーからベットへ移し…そして、大人しく眠ってる勇嗣を見つめ、ベビーベッドに寄りかかりながら微笑んでいた。
私はその光景に笑みを浮かべると、キッチンへ向かって温かいココアを用意すると再び寝室へ戻り、彼に差し出した。
「はい、ここに置いておくわよ」
「ありがとう。」
彼は私の差し出したココアを一口飲むと、思い出した様にパソコンへ手を伸ばす。
「そうそう、昨日兄ちゃんの探偵事務所のホームページ見たら、三ヶ月後まで予約いっぱいなんだって。凄いね、兄ちゃん…」
「そうね…家に中々帰れないでしょうから、蘭さんだって色々心に溜まるのも無理ないわよね。」
「でも大丈夫だよ」
「どうして?」
私の問いに彼は悪戯な笑みを浮かべて言い放つ。
「もう一人子供出来たからっ」
「フフっ…そうね。」
あんな風に軽い別居状態になったとしても、仲良くやれてる事に私は安堵していた。大切な生命(いのち)がまた一人宿った蘭さん…大変かも知れないけど、きっと乗り越えられる。だって、忙しさよりも幸せの力の方が勝つんだから。
私は飲み終えたココアをテーブルに置き、彼に近づいてパソコンの画面を彼と一緒に見る。きっと、このホームページも蘭さんとお兄さんで作り上げたものだと思うと、その光景が脳裏に浮かんだ。
「蘭さんのアイディアもホームページに出てるわね」
「あ、でもこういう所は兄ちゃんだね」
そんな風に二人の事を想像して話している私達も確かに幸せだった。二人が仲直り出来た事に安堵して、私達は顔を見合わせ微笑み合える瞬間にいる事が出来て、心から安心出来るのであった。
彼の飲み終えたココアの入っていたカップを受け取ると、スっと立ち上がった。そして、振り返りながら彼に言う。
「あ、そうそう…私の仕事の事なんだけど…」
言いかけながら彼を見ると、彼はまだパソコンを凝視し集中してお兄さんのホームページを見入っていた。
「……」
「あ、ごめん。何?」
「ううん。直ぐ言わなきゃいけない話じゃないから…ご両親が帰ってきた時に言うわね。」
「そう?うん、分かった。」
そう、私は色々思う事があって…仕事の事決めなきゃいけなかった。このままじゃ、職場にも迷惑がかかるし…それは、ご両親が帰ってきてから話そうと言葉が止まった。
「僕らもそろそろ寝る準備しようか?」
「そうね…明日も早いし、しっかり寝ておかなきゃね。」
「うん。」
時刻は22時を過ぎていた。それから私達は、分担して勇嗣をお風呂に入れながら、交互に自分達もお風呂に入り、出てくる頃には23時近くになっていた。
「大変。早く寝なきゃじゃない。」
私がそう声を上げた時、彼は優しく手を取ってくれた。結婚してからも、子供が産まれてからも…彼はいつだって優しい。それはずっと変わらずに私を彼の優しさで包み込んでくれていた。
大変な職業に就いた彼だけど、きっと子供達に好かれる様な警察官になる気がしてならなかった。警察学校を途中で辞めて逃げ出してくると思っていた時もあったけど、しっかりやり遂げで卒業してきた彼には驚かされた。
警察学校を卒業した彼を見た時…彼の顔付きが変わっていた事…今でも鮮明に覚えてる。優しい中に卒業配置を終えた彼の表情に新しく宿った凛々しい顔付きは、いつも以上にかっこよく見えて無意識にドキドキしていた気がする。
まだこれからも、研修期間は続くけど…彼は一日一日の研修を楽しんでる様にも思えた。
この夜、私達は手を握り合って眠った。勇嗣も珍しく夜泣きが少なかった。きっと若いお父さんとお母さんに気を使って起こさないでくれているんだろうと思えるくらい、この夜は静かな夜を過ごしていた。
そして、翌朝。
彼が仕事に向かって暫くした時、優作さんと有希子さんは大きなキャリーケースを抱えて帰宅した。
「おかえりなさい」
私が勇嗣を抱えながら出迎えると、二人共笑顔でただいまと言っていた。
留守にしていた間の事を聞かれ、私はお兄さんの事が脳裏に浮かんだけど、それは内緒にして置こうと彼と決めていたから、問題ないとだけ伝えた。
「コナンちゃんは今日仕事かしら?」
「はい、朝早くに出掛けました。」
「コナンなりにしっかりやっている様だな」
「はい」
私は優作さんの言葉にクスリと笑いながら答えた。彼は彼なりに立派な警察官になる為に、真っ直ぐ進んでいる事は…彼を知ってる人ならよく分かっていた。
誰もが警察学校を辞めると思えるくらい、泣き虫だった彼。公務員試験を受けるのさえお兄さんに心配掛けていたのに、今ではしっかり職務を遂行している。
それがどれだけ驚かされる事だか…。
あの頃の彼からは想像つかない。
そして、私は何事も無く研修期間を終える事を密かに願っていた。
家に着くと明かりはまだ消えていて、今日もご両親は帰国してない様子が伺えた。
「まだお父さん達帰ってきてないね…」
「そうね」
私達は軽く言葉を交わした後…勇嗣を寝かせる為に、寝室へ向かう。
「僕やるから」
そう言って、彼は勇嗣をベビーカーからベットへ移し…そして、大人しく眠ってる勇嗣を見つめ、ベビーベッドに寄りかかりながら微笑んでいた。
私はその光景に笑みを浮かべると、キッチンへ向かって温かいココアを用意すると再び寝室へ戻り、彼に差し出した。
「はい、ここに置いておくわよ」
「ありがとう。」
彼は私の差し出したココアを一口飲むと、思い出した様にパソコンへ手を伸ばす。
「そうそう、昨日兄ちゃんの探偵事務所のホームページ見たら、三ヶ月後まで予約いっぱいなんだって。凄いね、兄ちゃん…」
「そうね…家に中々帰れないでしょうから、蘭さんだって色々心に溜まるのも無理ないわよね。」
「でも大丈夫だよ」
「どうして?」
私の問いに彼は悪戯な笑みを浮かべて言い放つ。
「もう一人子供出来たからっ」
「フフっ…そうね。」
あんな風に軽い別居状態になったとしても、仲良くやれてる事に私は安堵していた。大切な生命(いのち)がまた一人宿った蘭さん…大変かも知れないけど、きっと乗り越えられる。だって、忙しさよりも幸せの力の方が勝つんだから。
私は飲み終えたココアをテーブルに置き、彼に近づいてパソコンの画面を彼と一緒に見る。きっと、このホームページも蘭さんとお兄さんで作り上げたものだと思うと、その光景が脳裏に浮かんだ。
「蘭さんのアイディアもホームページに出てるわね」
「あ、でもこういう所は兄ちゃんだね」
そんな風に二人の事を想像して話している私達も確かに幸せだった。二人が仲直り出来た事に安堵して、私達は顔を見合わせ微笑み合える瞬間にいる事が出来て、心から安心出来るのであった。
彼の飲み終えたココアの入っていたカップを受け取ると、スっと立ち上がった。そして、振り返りながら彼に言う。
「あ、そうそう…私の仕事の事なんだけど…」
言いかけながら彼を見ると、彼はまだパソコンを凝視し集中してお兄さんのホームページを見入っていた。
「……」
「あ、ごめん。何?」
「ううん。直ぐ言わなきゃいけない話じゃないから…ご両親が帰ってきた時に言うわね。」
「そう?うん、分かった。」
そう、私は色々思う事があって…仕事の事決めなきゃいけなかった。このままじゃ、職場にも迷惑がかかるし…それは、ご両親が帰ってきてから話そうと言葉が止まった。
「僕らもそろそろ寝る準備しようか?」
「そうね…明日も早いし、しっかり寝ておかなきゃね。」
「うん。」
時刻は22時を過ぎていた。それから私達は、分担して勇嗣をお風呂に入れながら、交互に自分達もお風呂に入り、出てくる頃には23時近くになっていた。
「大変。早く寝なきゃじゃない。」
私がそう声を上げた時、彼は優しく手を取ってくれた。結婚してからも、子供が産まれてからも…彼はいつだって優しい。それはずっと変わらずに私を彼の優しさで包み込んでくれていた。
大変な職業に就いた彼だけど、きっと子供達に好かれる様な警察官になる気がしてならなかった。警察学校を途中で辞めて逃げ出してくると思っていた時もあったけど、しっかりやり遂げで卒業してきた彼には驚かされた。
警察学校を卒業した彼を見た時…彼の顔付きが変わっていた事…今でも鮮明に覚えてる。優しい中に卒業配置を終えた彼の表情に新しく宿った凛々しい顔付きは、いつも以上にかっこよく見えて無意識にドキドキしていた気がする。
まだこれからも、研修期間は続くけど…彼は一日一日の研修を楽しんでる様にも思えた。
この夜、私達は手を握り合って眠った。勇嗣も珍しく夜泣きが少なかった。きっと若いお父さんとお母さんに気を使って起こさないでくれているんだろうと思えるくらい、この夜は静かな夜を過ごしていた。
そして、翌朝。
彼が仕事に向かって暫くした時、優作さんと有希子さんは大きなキャリーケースを抱えて帰宅した。
「おかえりなさい」
私が勇嗣を抱えながら出迎えると、二人共笑顔でただいまと言っていた。
留守にしていた間の事を聞かれ、私はお兄さんの事が脳裏に浮かんだけど、それは内緒にして置こうと彼と決めていたから、問題ないとだけ伝えた。
「コナンちゃんは今日仕事かしら?」
「はい、朝早くに出掛けました。」
「コナンなりにしっかりやっている様だな」
「はい」
私は優作さんの言葉にクスリと笑いながら答えた。彼は彼なりに立派な警察官になる為に、真っ直ぐ進んでいる事は…彼を知ってる人ならよく分かっていた。
誰もが警察学校を辞めると思えるくらい、泣き虫だった彼。公務員試験を受けるのさえお兄さんに心配掛けていたのに、今ではしっかり職務を遂行している。
それがどれだけ驚かされる事だか…。
あの頃の彼からは想像つかない。
そして、私は何事も無く研修期間を終える事を密かに願っていた。