✩.*˚警察官は苦悩の連続✩.*˚
僕は、家を出て米花警察署まで目指していた。色々あったけど、哀や勇嗣を支える為に警察官の道を選んだ僕の初出勤だった。この間の卒配で少し流れは教えてもらったけど、正直何が何だか…先輩警官の後をついていくのが精一杯だった。
「おはようございます」
そう言って挨拶をしながら警察署に入って行く。先輩警官から渡された制服に着替えていると、一人の先輩警官に肩を叩かれ話掛けられた。
「お前の兄さん探偵なんだってな?期待してるぞ?」
「え、あ…はい。」
そう声を掛けられ、何か勘違いしてる様に思えて僕は尋ねる。
「あの、兄ちゃんは殆ど殺人とか犯人が残した痕跡とかを中心に追ってるみたいで…僕とは課が違いますよ」
「ん?お前刑事課目指してるんじゃないのか?」
「いえ、僕は地域安全課の方で…全然違うという訳ではありませんけど…」
「え!?あ、そうだったのか。お前の兄さんと殺人現場でよく会うもんでな、てっきりお前も刑事課に進むのとばかり…」
そう言って、誤解を解いた僕の言葉を聞いてあははと笑いながらやっと納得してくれた。
その後も、朝礼が終わって交番に向かう時も引き継ぎしている時も同じ様に色々な先輩刑事や同僚に聞かれた。
兄ちゃんに刑事課に進むなんて言ったかな?と不思議に思いながら、次から次へと駆け込んでくる人達の話を聞きながら、交番勤務を先輩の指導の元やっとの思いでこなしていった。
夜中近くになり、僕の運転で先輩警官を隣の助手席に乗ってもらい警らしている時、騒いでる酔っ払いの人を見かけ、近くの路上にパトカーを止めると事情を聞きに行った。
終電がないと叫びながら喚く年配の男は足もおぼつかない様子で先輩警官の肩に寄りかかっていた。
とりあえず宥めながら、交番の椅子に座らせると今度は居眠りを始めてしまい、何とか起こすと僕達の事を"運転手さんご苦労さまでーす"と言っていて、先輩警官と顔を見合わせた。
どうやら、タクシーの運転手と勘違いしている様で…杯戸町何番地と叫んでいたので、近くのタクシーを捕まえて、その男性を乗せ見送った。
それを見て、安堵しながら僕達はパトカーに乗り込み再び警らを開始した。
「あんなのは、まだまだちっさいもんだからな…酷いとしばらくは動かない奴もいる。まあ、だんだん慣れていくから流れを掴んで行けばいい」
「はい。」
先輩警官は優しく僕に教えてくれる。厳しい事もあるけど、基本優しい先輩警官が僕の指導係でホッとしていた。中には怒鳴るだけの指導係も居ると伝えられていたけど、僕の場合は違っていた。
その後も先輩警官に色々と教えられながら米花町で起き続ける事件や問題事をひとつずつ解決していった。
「さすがに、殺人現場はありませんでしたね」
僕が冗談混じりにそう言うと、いつもの優しい表情の先輩警官の顔色が変わり僕は怒られてしまった。
「不謹慎にも程がある、警察官ならぬ言葉を言うんじゃない」
「あ、すいません。」
「まあ、兄さんの影響なのは無理はないが事件を未然に防ぐ事はあっても、なるべくなら事件に発展させてはならないんだ。それが、警察官の役目だ。事件に発展させた場合、そこから先は君の兄さんの仕事だな。」
「そうですね」
僕は兄ちゃんがそういった現場で探偵業をしているのを知っているから、つい口に出てしまったのだ。さすが先輩警官だけあり、怒る時は怖いんだなと初めて感じていた。
この日遭遇した事件や問題事等は、大きな事件ではなかったけど、大きな事件に関わる事もあるかもしれないから肝に銘じておけと念を押された。
今日の職務質問は僕は先輩警官のやり方を見るだけになった。疑問があった場合、後で質問しろといわれて…。
先輩警官の職質のやり方を後ろから見ていて、堂々と迷いなく職質している姿に感銘を受けた。毅然(きぜん)とした態度で声をかけるものだから、職質された人達は何もしてなければ堂々とした態度で応じていた。
中には、やばいと思いその表情からもその思いが滲(にじ)み出ていて、先輩警官の威圧感に白状してしまう人達もいた。先輩警官の確信があるからこそ、職質に踏み込む所は見習う所なんだと実感する。
「今日はこの辺でいいだろう」
「はい。」
「次からは実践でお前がやってみろ」
「あ、はい。頑張ります」
僕は先輩警官の言葉に緊張が走るが、今日教えて貰った事は次に繋げる様に肝に銘じようと誓った。
「なあに、やって行くうちに覚える。難しく考えることはない」
交番に帰る前に、先輩警官はそう言って最後に笑顔を向けてくれた。
運転しながら、交番に帰る途中の出来事に…僕は今日の職務を頭に叩き込み次に活かせるようにと先輩警官の言葉一つ一つを思い出していた。
「おはようございます」
そう言って挨拶をしながら警察署に入って行く。先輩警官から渡された制服に着替えていると、一人の先輩警官に肩を叩かれ話掛けられた。
「お前の兄さん探偵なんだってな?期待してるぞ?」
「え、あ…はい。」
そう声を掛けられ、何か勘違いしてる様に思えて僕は尋ねる。
「あの、兄ちゃんは殆ど殺人とか犯人が残した痕跡とかを中心に追ってるみたいで…僕とは課が違いますよ」
「ん?お前刑事課目指してるんじゃないのか?」
「いえ、僕は地域安全課の方で…全然違うという訳ではありませんけど…」
「え!?あ、そうだったのか。お前の兄さんと殺人現場でよく会うもんでな、てっきりお前も刑事課に進むのとばかり…」
そう言って、誤解を解いた僕の言葉を聞いてあははと笑いながらやっと納得してくれた。
その後も、朝礼が終わって交番に向かう時も引き継ぎしている時も同じ様に色々な先輩刑事や同僚に聞かれた。
兄ちゃんに刑事課に進むなんて言ったかな?と不思議に思いながら、次から次へと駆け込んでくる人達の話を聞きながら、交番勤務を先輩の指導の元やっとの思いでこなしていった。
夜中近くになり、僕の運転で先輩警官を隣の助手席に乗ってもらい警らしている時、騒いでる酔っ払いの人を見かけ、近くの路上にパトカーを止めると事情を聞きに行った。
終電がないと叫びながら喚く年配の男は足もおぼつかない様子で先輩警官の肩に寄りかかっていた。
とりあえず宥めながら、交番の椅子に座らせると今度は居眠りを始めてしまい、何とか起こすと僕達の事を"運転手さんご苦労さまでーす"と言っていて、先輩警官と顔を見合わせた。
どうやら、タクシーの運転手と勘違いしている様で…杯戸町何番地と叫んでいたので、近くのタクシーを捕まえて、その男性を乗せ見送った。
それを見て、安堵しながら僕達はパトカーに乗り込み再び警らを開始した。
「あんなのは、まだまだちっさいもんだからな…酷いとしばらくは動かない奴もいる。まあ、だんだん慣れていくから流れを掴んで行けばいい」
「はい。」
先輩警官は優しく僕に教えてくれる。厳しい事もあるけど、基本優しい先輩警官が僕の指導係でホッとしていた。中には怒鳴るだけの指導係も居ると伝えられていたけど、僕の場合は違っていた。
その後も先輩警官に色々と教えられながら米花町で起き続ける事件や問題事をひとつずつ解決していった。
「さすがに、殺人現場はありませんでしたね」
僕が冗談混じりにそう言うと、いつもの優しい表情の先輩警官の顔色が変わり僕は怒られてしまった。
「不謹慎にも程がある、警察官ならぬ言葉を言うんじゃない」
「あ、すいません。」
「まあ、兄さんの影響なのは無理はないが事件を未然に防ぐ事はあっても、なるべくなら事件に発展させてはならないんだ。それが、警察官の役目だ。事件に発展させた場合、そこから先は君の兄さんの仕事だな。」
「そうですね」
僕は兄ちゃんがそういった現場で探偵業をしているのを知っているから、つい口に出てしまったのだ。さすが先輩警官だけあり、怒る時は怖いんだなと初めて感じていた。
この日遭遇した事件や問題事等は、大きな事件ではなかったけど、大きな事件に関わる事もあるかもしれないから肝に銘じておけと念を押された。
今日の職務質問は僕は先輩警官のやり方を見るだけになった。疑問があった場合、後で質問しろといわれて…。
先輩警官の職質のやり方を後ろから見ていて、堂々と迷いなく職質している姿に感銘を受けた。毅然(きぜん)とした態度で声をかけるものだから、職質された人達は何もしてなければ堂々とした態度で応じていた。
中には、やばいと思いその表情からもその思いが滲(にじ)み出ていて、先輩警官の威圧感に白状してしまう人達もいた。先輩警官の確信があるからこそ、職質に踏み込む所は見習う所なんだと実感する。
「今日はこの辺でいいだろう」
「はい。」
「次からは実践でお前がやってみろ」
「あ、はい。頑張ります」
僕は先輩警官の言葉に緊張が走るが、今日教えて貰った事は次に繋げる様に肝に銘じようと誓った。
「なあに、やって行くうちに覚える。難しく考えることはない」
交番に帰る前に、先輩警官はそう言って最後に笑顔を向けてくれた。
運転しながら、交番に帰る途中の出来事に…僕は今日の職務を頭に叩き込み次に活かせるようにと先輩警官の言葉一つ一つを思い出していた。