✩.*˚警察官は苦悩の連続✩.*˚
私は有希子さんと一緒に夕飯の支度をしていた時…彼から声を掛けられた。
彼は何かを後ろに持ちながら、やって来るなり私にそれを握らせた。
「これって…」
私はそれを手に取ると、彼を見る。
「僕さ、明日から研修とかで忙しくなるからさ…あまり家の事手伝えないと思うんだ。だから、これくらいしか出来ないけど…哀に預けておこうと思って。」
彼から受け取ったそれは銀行通帳だった。警察学校で彼が頑張った証の重みがそこにはあった。私は笑顔で彼に返す。
「こんなの受け取れないわよ…大丈夫。これ以上ないってくらい、ご両親に助けて貰ってるから…」
「え、でも…」
そんなやり取りを見ていた有希子さんが私の肩を持って言う。
「哀ちゃん…いいじゃない、受け取ってあげて…コナンちゃん、明日から警察官のお仕事本格的に始まるみたいだし…大変になると思うから、家の事出来ない代わりの物だと思うから…ね?」
「う、うん。」
有希子さんに話を振られ彼は頷く。私も彼の訳を教えて貰いながらまだ遠慮がちになってしまう。
「でも…」
「いいから。もうあなた達家族なのよ?出来る事は支え合ったり、助け合ったりするの。これもそういう事なのよ?」
そう言って、有希子さんに諭される私。考え込む私に彼は再度銀行通帳を私に差し出してきた。躊躇する私の手に彼は強引に持たせ言った。
「よろしくね、哀…僕も手伝える時はなるべく手伝うから。」
「ありがとう。」
私は感謝をしてもしきれないくらいこの家族に一生頭が上がらないかもしれない…。私はその通帳を両手で握りながら感謝していた。
笑顔を浮かべる私に彼も笑顔を返してくれる。
「でも警察学校だからそこまで貰えなかったんだけどね…」
「ううん。そんなの関係ないわよ。あなたの気持ちと一緒に大事に使わせてもらうわよ…本当にありがとう。」
「うん」
私が受け取ると、彼は嬉しそうに微笑んでいた。
そして、その夜…夕食が終わった後の部屋で二人になった。勇嗣をあやしている私を見ながら、ベットに腰かけながら彼は言う。
「あの、ごめんね…危険な仕事だけは止めてって言われてたのに…結局危険な仕事選んじゃって…」
「何言ってるのよ…立派な仕事じゃない。」
私は泣いてる勇嗣をあやしながら彼と話していた。
「確かに危険な仕事だし、心配はあるわよ。でも、ここまで頑張ったんだもの。今更言っても仕方ないわ…でも…」
私はそこまで言うと彼を見て言う。
「死なないでよね?この子抱えて未亡人なんて嫌だから…」
「あ、うん。死なないよ!」
そう言って、彼は私に約束してくれた。地域安全課に行くと言っても、安全な訳じゃない。なるべくなら無茶をしないで欲しいと思うけど、誰かを守る仕事だもの…いつか、心配させられる事は分かりきっていた。
「明日から頑張ってね!勇嗣と二人であなたの帰り、待ってるから…」
「うん。ありがとう!頑張るよ!」
警察学校で鍛え上げられた彼の身体は一回り大きくなった様に感じていた。警察学校に行く前の彼とは比べ物にならないくらい、逞しくなった彼からはもう甘えん坊の面影は薄れていた。
次の日…スーツに身を包んだ彼の出勤を玄関先で見送る私達。優作さんと有希子さんは彼に声援を掛けていた。
最初だから、怒られる事もあるかもしれないけど…。
「怒られて泣くんじゃないぞ?」
そう言って、優作さんに笑いながらからかわれると焦りながら刃向かっていく。
「泣かないよ、何言ってるんだよ」
「じゃあ、コナンちゃん。行ってらっしゃい!」
「うん。行ってきます」
そう言って、彼は靴を履きながら会話を交わすと勇嗣と私を見て言う。
「帰りは遅くても明日の昼過ぎになると思うから…」
「ええ、分かった。待ってるわ…頑張ってね」
「うん!じゃあ、行ってらっしゃい!あなた…」
「え!?う、うん…」
私の言葉に、彼は思い切り照れていた。顔を真っ赤にしていそいそと玄関を開けて出ていく彼の姿を見送りながら、勇嗣の手を持ちながら振っていた。
有希子さんや優作さんがこの家に居てくれるのは半年を切っていた。同時に、ご両親に頼れ無くなる不安もやって来る。
その後は、二人でしっかり勇嗣の事を守って生きていかなきゃと、私はこの時決意していた。
彼は何かを後ろに持ちながら、やって来るなり私にそれを握らせた。
「これって…」
私はそれを手に取ると、彼を見る。
「僕さ、明日から研修とかで忙しくなるからさ…あまり家の事手伝えないと思うんだ。だから、これくらいしか出来ないけど…哀に預けておこうと思って。」
彼から受け取ったそれは銀行通帳だった。警察学校で彼が頑張った証の重みがそこにはあった。私は笑顔で彼に返す。
「こんなの受け取れないわよ…大丈夫。これ以上ないってくらい、ご両親に助けて貰ってるから…」
「え、でも…」
そんなやり取りを見ていた有希子さんが私の肩を持って言う。
「哀ちゃん…いいじゃない、受け取ってあげて…コナンちゃん、明日から警察官のお仕事本格的に始まるみたいだし…大変になると思うから、家の事出来ない代わりの物だと思うから…ね?」
「う、うん。」
有希子さんに話を振られ彼は頷く。私も彼の訳を教えて貰いながらまだ遠慮がちになってしまう。
「でも…」
「いいから。もうあなた達家族なのよ?出来る事は支え合ったり、助け合ったりするの。これもそういう事なのよ?」
そう言って、有希子さんに諭される私。考え込む私に彼は再度銀行通帳を私に差し出してきた。躊躇する私の手に彼は強引に持たせ言った。
「よろしくね、哀…僕も手伝える時はなるべく手伝うから。」
「ありがとう。」
私は感謝をしてもしきれないくらいこの家族に一生頭が上がらないかもしれない…。私はその通帳を両手で握りながら感謝していた。
笑顔を浮かべる私に彼も笑顔を返してくれる。
「でも警察学校だからそこまで貰えなかったんだけどね…」
「ううん。そんなの関係ないわよ。あなたの気持ちと一緒に大事に使わせてもらうわよ…本当にありがとう。」
「うん」
私が受け取ると、彼は嬉しそうに微笑んでいた。
そして、その夜…夕食が終わった後の部屋で二人になった。勇嗣をあやしている私を見ながら、ベットに腰かけながら彼は言う。
「あの、ごめんね…危険な仕事だけは止めてって言われてたのに…結局危険な仕事選んじゃって…」
「何言ってるのよ…立派な仕事じゃない。」
私は泣いてる勇嗣をあやしながら彼と話していた。
「確かに危険な仕事だし、心配はあるわよ。でも、ここまで頑張ったんだもの。今更言っても仕方ないわ…でも…」
私はそこまで言うと彼を見て言う。
「死なないでよね?この子抱えて未亡人なんて嫌だから…」
「あ、うん。死なないよ!」
そう言って、彼は私に約束してくれた。地域安全課に行くと言っても、安全な訳じゃない。なるべくなら無茶をしないで欲しいと思うけど、誰かを守る仕事だもの…いつか、心配させられる事は分かりきっていた。
「明日から頑張ってね!勇嗣と二人であなたの帰り、待ってるから…」
「うん。ありがとう!頑張るよ!」
警察学校で鍛え上げられた彼の身体は一回り大きくなった様に感じていた。警察学校に行く前の彼とは比べ物にならないくらい、逞しくなった彼からはもう甘えん坊の面影は薄れていた。
次の日…スーツに身を包んだ彼の出勤を玄関先で見送る私達。優作さんと有希子さんは彼に声援を掛けていた。
最初だから、怒られる事もあるかもしれないけど…。
「怒られて泣くんじゃないぞ?」
そう言って、優作さんに笑いながらからかわれると焦りながら刃向かっていく。
「泣かないよ、何言ってるんだよ」
「じゃあ、コナンちゃん。行ってらっしゃい!」
「うん。行ってきます」
そう言って、彼は靴を履きながら会話を交わすと勇嗣と私を見て言う。
「帰りは遅くても明日の昼過ぎになると思うから…」
「ええ、分かった。待ってるわ…頑張ってね」
「うん!じゃあ、行ってらっしゃい!あなた…」
「え!?う、うん…」
私の言葉に、彼は思い切り照れていた。顔を真っ赤にしていそいそと玄関を開けて出ていく彼の姿を見送りながら、勇嗣の手を持ちながら振っていた。
有希子さんや優作さんがこの家に居てくれるのは半年を切っていた。同時に、ご両親に頼れ無くなる不安もやって来る。
その後は、二人でしっかり勇嗣の事を守って生きていかなきゃと、私はこの時決意していた。