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✩.*˚警察官を目指すコナン✩.*˚

そして、20時を過ぎた辺りで…工藤君の瞳がゆっくり開いた。私は驚いた様に目を見開くと平静を保ち、目をぱちぱちしながらぼっーとしている工藤君に声をかけた。

「工藤君…」
「はい、ば…ら?」

私が声をかけると、声の方に反応した工藤君が私の名前をゆっくり呼んだ。

「何で、ここに居るの?」
「あなたがここに運ばれて来たのよ!」
「え!?あれ?ここって…え?病院!?」
「そうよ、覚えてないの?」

やっとハッキリする頭できょろきょろしながら病院だと理解した工藤君は何でここに運ばれてきたのか分かってない様子だった。

「ん~、訓練していたのは覚えているんだけど…その後の記憶がないんだ…」

そう言って、笑う工藤君に私は呆れながら言った。

「まったく、お兄さんとあなたのご両親…心配してたわよ。」
「え!?来てたの?」
「そうよ。なかなか目を覚まさないから今日は帰ったけど…」
「そっか…」

工藤君は私の説明を理解し…遠い目を向ける。そんな彼に、私は言った。

「もうっ、余計な心配掛けないでよね?あなたまで居なくなったら…困るんだから。」
「あ…うん。ごめん…小さい頃、約束したもんね…居なくならないって。」
「……覚えていたのね。」
「当たり前だよ。」

私は工藤君の手を握って、笑みを浮かべる。そんな私の行動に工藤君は不思議に思って見ていた。

「よかったわ、目を覚まして。」
「ずっと、付いていてくれたの?」
「ええ、そうよ」
「ごめんね、心配かけて…」

身体は怠そうで、起き上がるのは困難な工藤君に私は顔を近づけ笑みを浮かべると首を横に振った。

「無事でよかったわ」

そっと声を掛ける私に彼は申し訳なさそうな笑みを送っていた。その後、工藤君が目を覚ました事を伝えると、年老いた先生がやって来た。

「あ!」

私はその先生を見てあの時の先生だと気づいた。

「コナン君、気づいたかね?」
「はい。」
「大きくなって…うん。熱も下がって来ておるし、大丈夫だろ。よかった、よかった。」

そう言って終始笑顔を向けながら、工藤君の身体を診察していく先生に工藤君は誰か分からず首を傾げていた。

「工藤君、あなたが小さい頃お世話になった主治医の先生よ。」
「えっ!あっ!」

私がそう教えると、工藤君は声にならない声を発し、先生を見て、慌てて起き上がろうとしたけどまだ起き上がれる状態ではなかった為に、身体はベットに引き戻された。

「まだ無理じゃよ…しばらく安静にな…」
「あ、はい。あの…お久しぶりです。あの時は色々ありがとうございました。」
「いやいや、君の話を聞いて驚いたのなんのって…あの時の未熟児の君が警察官になろうと訓練しているんだって聞いてな!どうだ?なれそうか?」
「はい、何とかやってます。とりあえず、警察学校卒業するのを目標に…」
「そうか。」

先生は、工藤君の話をうんうんと聞きながら、"無理をしちゃいかん"、"しっかり寝るんだぞ"と声を掛けていた。何より驚かれた事は、工藤君の子供が産まれたこと。先生は驚くと同時にとても喜んでくれた。

「いや~驚いたな~それじゃあ、しっかり育てないとな!」
「はい!」
「無事に産まれてよかった~」

その後しばらく話をした後、私を見るなり奥さんか?と聞いてきて、私は頬を赤らめた。

「いやまだなんですけど…警察学校が終わったら婚姻届提出する予定です!」
「そうか…幸せになるんだぞ!」
「ありがとうございます、先生」

とお礼を言う工藤君に、先生はニコニコしていた。体調が回復するまでは入院と言い渡され、素直に従う工藤君。最後に安静にと言って、病室を出ていく先生を見送った。

「工藤君…よかったわね、知ってる先生が来てくれて…」
「うん。小さい頃にお世話になった先生だったのを気づかなかったけど、久しぶりに会って思い出したよ…あの頃の事とか…」
「泣きながら連れてこられた事とか?」

そう言う私にムッとしてだけど笑って言い返してきた。

「あの頃はまだ子供だったからで…」
「冗談よ…けど、先生が言うように…安静にしてなきゃダメよ?まだ熱も高いし……」

そう言って、私は工藤君の額に触れながら温くなったタオルを取り替えるあげると、気持ち良さそうな顔をして私に"ありがとう"と言ってきた。

「ずっと厳しい訓練にも耐えて、頑張って居たんだから…少しの休憩ね。」
「……でも、僕はやっぱりダメだなあ~子供が産まれても迷惑かけちゃうんだから…」
「何言ってるのよ、正直ここまで頑張るとは思わなかったわ…途中辞めると言い出すかと思ってたもの…」
「灰原…」
「もう少しよ、工藤君…あなたはダメなんかじゃないわ。私が思っている以上に、気力も体力も根性も…兼ね備えていたのね…」

私の言葉に工藤君は驚いた様な顔をして照れる様に笑っていた。同期生が次々と辞めていく中で、工藤君は今でも頑張っていた。




週末に帰ってきた時、愚痴を零すこともあるけれど…辞めると一度も言ってない事は、私も…周りの人達も驚かされていた。

もうそろそろ消灯時間…私は赤ちゃんの事を気になり工藤君に声を掛けた。

「じゃあ、私は行くわね!ちゃんと安静にして寝てるのよ?」
「うん。ありがとう…あのさ、赤ちゃん…」
「大丈夫。看護師さんが面倒見てくれているから、引き取って一緒に病室で寝るから安心して。明日また来るから、大人しく寝てるのよ?おやすみ。」
「うん、おやすみ。」

私はそう言って病室を出た。工藤君が無事でいた事に安堵して、1日放ったらかしてしまった息子を連れて私は病室に連れていく。ごめんねといい一緒にベットで眠る小さな赤ちゃんを見て、私は自然と笑顔になっていた。
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