✩.*˚警察官を目指すコナン✩.*˚
コナンが分娩室に入って立ち会ってからもう既に10時間が経過していた。
「新ちゃん、いつ産まれるか分からないから帰っていいわよ」
「けど…」
「あなたも家族が居るのよ、産まれたら連絡するから」
「あ、じゃあ母さん、後はよろしくな。何かあったら連絡してくれ」
「ええ。」
そう言って新一は、扉の外でしばらく待ち続けていたが、後は有希子に任せてとりあえず帰宅した。
分娩室の中では、コナンは灰原の手を握り泣きそうになりながら灰原の傍を離れず見守っていた。
「灰原ぁ~」
苦しんでいる灰原を見て、コナンは心配そうな声で灰原を呼んでいた。見かねた看護師さんがコナンに言う。
「旦那さんがそんな心配していてどうするんですか?しっかりするのよ」
「あ、はい…灰原、頑張って!僕付いてるから!」
看護師さんの声掛けに、コナンは気を取り直し今度は元気づける様に灰原の名前を呼んだ。"ふぅー"とゆっくり息を吹き出す灰原は、看護師さんの助言に従ってゆっくり息を吹き出していた。
「大丈夫よ、ゆっくり息を吐き出して~」
「もう、いや~」
あまりの苦しさに、灰原の口から弱音が零れる。分娩台の上で長時間にも及ぶ出産に耐えきれない灰原は涙と汗でどうにもならない状況に陥っていた。
「灰原、頑張って!」
「諦めちゃダメよ!しっかり」
看護師さんに励まされながら、分娩は続いていく。時より汗を拭きながら、喉を乾いた灰原に水を飲ませてあげたりしながら、その後もずっと声を掛け続けながら身体を支えてあげていた。
「工藤君…」
「大丈夫、僕ちゃんと付いているから!」
灰原はコナンの手を握って賢明に産まれてくる赤ちゃんを産み出そうとしていた。悲鳴にも似た灰原の声を傍で聞き、コナンは今にも泣きそうになっていたが、それだけは零してはいけないと必死に我慢していた。
「う~はぁはぁ…」
呼吸が荒くなっていく灰原から滴り落ちる汗を拭いながら、コナンは灰原の名前を呼び続けた。力みながら、早く会いたい初めての家族の誕生に焦れば焦る程気を失いそうになっていきながら賢明に頑張っていた。
「灰原…」
「赤ちゃん…に、会いたい……」
灰原は絞り出す様に口を開き、この苦しさを紛らわす様に会いたい願望が口から出てくる。中々産まれてくれない赤ちゃんに呼びかける様に灰原は口にした。
「大丈夫、会えるよ。会えるよ、灰原…赤ちゃんに…絶対会えるよ。」
その後も順調ですよと看護師さんに声をかけられながら、息を吐き出していく。"もう力まなくていいよ"という言葉で、あと少しで出てくる事を察した。
「灰原、もう少しだよ!頑張って!」
コナンは賢明に灰原に声を掛け続け、徐々に看護師さんの数が増えていく。そして、その時…。
「出てきたぞ」
その時、顔が少し出て来たのを見る先生は二人に声をかける。コナンは少し覗き込みながら、頭が出て来たのを確認すると、灰原にそれを伝えた。
「灰原!もう少し、もう少しだよ!」
そして、その時最初の産声と同時に赤ちゃんはゆっくりと産まれた。
「おぎゃー、おぎゃー」
16:20。その瞬間、灰原のお腹の中で元気に動いていた赤ちゃんは、無事に産まれた。初めての我が子の産声が分娩室に響き渡るのを聞いて、笑みを浮かべながら同時に涙を零していた。
「よかった、よかった灰原~」
傍にいたコナンと目を合わせながら、安心した様に笑みを浮かべる灰原の前で、コナンは涙と共に我が子の誕生を喜んでいた。
「よく頑張ったね、灰原…」
そう言いながら、コナンは零れ落ちる涙をシャツの袖て拭っていた。
「もう…泣き虫」
「灰原だって…」
お互いに言い合いながら、笑ってるのか泣いてるのか分からない表情で見つめ合った。
看護師さんに抱かれた赤ちゃんの顔を見るなり、更に涙が頬を伝う。産まれたばかりの赤ちゃんは、とても小さく…だけど、どことなく優しい表情で泣いていた。
「おめでとうございます、男の子ですよ」
「ありがとうございます」
「男の子…」
そう言われ、初めての赤ちゃんを灰原の隣にそっと置いてくれた。
「可愛いね~」
「ええ。」
「今日からお母さんだね。」
無邪気に笑うコナンの言葉にハッとする灰原。
「お母さん…」
「どうしたの?」
「なんか、自覚無くて…」
灰原にとっては、血の繋がった本当の家族というものに、初めて会えた感覚を味わった事に不思議な感覚が心の中を支配していた。
赤ちゃんを一度預け、2時間は安静にと言われた灰原は、コナンと一緒に過ごしていた。よかったねと声を掛けるコナンの傍で、笑みを浮かべる灰原は母親の顔をしている事に、コナンは密かに思っていた。
それから、2時間後…分娩室から病室に移動させてもらうと…赤ちゃんと再開すると共に、待っててくれた有希子や阿笠博士、駆けつけてくれた新一と蘭は鈴を連れてやって来た。
「お疲れ様、哀ちゃん!」
「有希子さん、色々ありがとうございました。」
「よかったの~哀くん。」
「博士もありがとう。」
「よかったね、コナン君。今度は男の子で…」
「え!?」
「だって前言ってたじゃない?男の子がいいって…」
「え!?そうだっけ?」
「たくっ、忘れてんじゃねーよ!」
病院が賑やかになり、沢山の人達に迎えられながら産まれたコナンと灰原の赤ちゃんは、心地よさそうに眠っている。
「灰原、元太達も来るって言ってたよ!」
「そう…」
そうコナンに声を掛けられて、灰原は嬉しそうに微笑んでいた。
その反面、コナンは警察学校に戻らないと行けない事を思い出し、嫌な現実が脳裏に呼び起こされた。
折角産まれたのに、戻らなきゃ行けないなんて…と、コナンは心の中で不満に思っていた時あの三人は病室に顔を出した。
「哀ちゃん!」
「灰原さん、産まれたって本当ですか?」
「ええ、さっき。」
「よかったな!」
そう声を掛ける三人の目線は赤ちゃんに釘付けになった。
「「わあ~」」
と歓声があがる三人は、産まれたばかりの赤ちゃんを目の前にして興奮していた。
「可愛い~やっぱコナン君に似てるね~」
「そうかな?」
「じゃあ、泣き虫に育ちそうですね」
「なんだよ、それ…」
「でも、目の辺りは灰原にそっくりだな」
「本当ですね~気の強そうな感じです」
光彦は赤ちゃんを見るなり、わぁ~と顔を輝かせながらポツリと言った。
「失礼ね」
「あ、いえ…別にそんな意味じゃありませんので…」
慌てる光彦に笑みを浮かべると、灰原はクスッと笑って口を開いた。
「でも、もう一人…家族が増えたわ。ありがとう。」
「よかったね、哀ちゃん!」
「ええ。」
灰原の瞳からまた涙が零れる。物心が着いた頃、灰原には家族が居なくなっていた。皆はそれを知ってるから、尚更祝福してくれていた。
「名前何にしたの?」
そう言われて、灰原はコナンを見て言う。
「それが…まだ決めてないの。ねえ?」
「う、うん。」
「出生届は14日以内に出せばいいんだが、早めに決めないとな!」
「うん。考えては居たんだけど…」
そう言って悩むコナンに、またしても皆から心配する眼差しが向けられていた。
「そう言えばコナン、そろそろ戻らないとじゃねーか?警察学校の教官心配してるぞ?」
「え、まだいいよ」
「私の事は心配しなくていいわよ、また週末に会いましょ?」
「え、でも…」
分娩室に入ってから、20時間は超えていた。その間、警察学校には新一が連絡してくれていたから心配はなかったけど、産まれたらすぐ帰る様に伝えられていた。
「今なら訓練も終わってる頃だし、後は寮で休んでおけ、お前もずっと寝ずに立ち合って居たんだからよ」
そう言って、コナンは声を掛けられなくなく帰る事になった。本当はもっと見ていたい赤ちゃん…哀しげな表情を浮かべながらコナンは灰原に声を掛けた。
「じゃあ、また週末に帰ってくるから…」
「ええ。ありがとう、頑張って!」
「うん。行ってくる」
そう言って、コナンは足早に病室を出て警察学校の寮へ帰っていった。
寮に帰宅するコナンは、教官や同期生達に祝福され照れくさくはあったが、無事に産まれた初めての息子に嬉しくなっていた。
その夜、コナンは産まれたばかりの息子を思い出しながら、中々寝つけないでいた。携帯電話は預ける事になってる警察学校で、送ってもらった写真を見ることも困難だった。
寂しくも思いながら、コナンは子供の名前を何にしようかと、就寝時間を過ぎても一人ベットに寝そべりながら必死に考えていた。
「新ちゃん、いつ産まれるか分からないから帰っていいわよ」
「けど…」
「あなたも家族が居るのよ、産まれたら連絡するから」
「あ、じゃあ母さん、後はよろしくな。何かあったら連絡してくれ」
「ええ。」
そう言って新一は、扉の外でしばらく待ち続けていたが、後は有希子に任せてとりあえず帰宅した。
分娩室の中では、コナンは灰原の手を握り泣きそうになりながら灰原の傍を離れず見守っていた。
「灰原ぁ~」
苦しんでいる灰原を見て、コナンは心配そうな声で灰原を呼んでいた。見かねた看護師さんがコナンに言う。
「旦那さんがそんな心配していてどうするんですか?しっかりするのよ」
「あ、はい…灰原、頑張って!僕付いてるから!」
看護師さんの声掛けに、コナンは気を取り直し今度は元気づける様に灰原の名前を呼んだ。"ふぅー"とゆっくり息を吹き出す灰原は、看護師さんの助言に従ってゆっくり息を吹き出していた。
「大丈夫よ、ゆっくり息を吐き出して~」
「もう、いや~」
あまりの苦しさに、灰原の口から弱音が零れる。分娩台の上で長時間にも及ぶ出産に耐えきれない灰原は涙と汗でどうにもならない状況に陥っていた。
「灰原、頑張って!」
「諦めちゃダメよ!しっかり」
看護師さんに励まされながら、分娩は続いていく。時より汗を拭きながら、喉を乾いた灰原に水を飲ませてあげたりしながら、その後もずっと声を掛け続けながら身体を支えてあげていた。
「工藤君…」
「大丈夫、僕ちゃんと付いているから!」
灰原はコナンの手を握って賢明に産まれてくる赤ちゃんを産み出そうとしていた。悲鳴にも似た灰原の声を傍で聞き、コナンは今にも泣きそうになっていたが、それだけは零してはいけないと必死に我慢していた。
「う~はぁはぁ…」
呼吸が荒くなっていく灰原から滴り落ちる汗を拭いながら、コナンは灰原の名前を呼び続けた。力みながら、早く会いたい初めての家族の誕生に焦れば焦る程気を失いそうになっていきながら賢明に頑張っていた。
「灰原…」
「赤ちゃん…に、会いたい……」
灰原は絞り出す様に口を開き、この苦しさを紛らわす様に会いたい願望が口から出てくる。中々産まれてくれない赤ちゃんに呼びかける様に灰原は口にした。
「大丈夫、会えるよ。会えるよ、灰原…赤ちゃんに…絶対会えるよ。」
その後も順調ですよと看護師さんに声をかけられながら、息を吐き出していく。"もう力まなくていいよ"という言葉で、あと少しで出てくる事を察した。
「灰原、もう少しだよ!頑張って!」
コナンは賢明に灰原に声を掛け続け、徐々に看護師さんの数が増えていく。そして、その時…。
「出てきたぞ」
その時、顔が少し出て来たのを見る先生は二人に声をかける。コナンは少し覗き込みながら、頭が出て来たのを確認すると、灰原にそれを伝えた。
「灰原!もう少し、もう少しだよ!」
そして、その時最初の産声と同時に赤ちゃんはゆっくりと産まれた。
「おぎゃー、おぎゃー」
16:20。その瞬間、灰原のお腹の中で元気に動いていた赤ちゃんは、無事に産まれた。初めての我が子の産声が分娩室に響き渡るのを聞いて、笑みを浮かべながら同時に涙を零していた。
「よかった、よかった灰原~」
傍にいたコナンと目を合わせながら、安心した様に笑みを浮かべる灰原の前で、コナンは涙と共に我が子の誕生を喜んでいた。
「よく頑張ったね、灰原…」
そう言いながら、コナンは零れ落ちる涙をシャツの袖て拭っていた。
「もう…泣き虫」
「灰原だって…」
お互いに言い合いながら、笑ってるのか泣いてるのか分からない表情で見つめ合った。
看護師さんに抱かれた赤ちゃんの顔を見るなり、更に涙が頬を伝う。産まれたばかりの赤ちゃんは、とても小さく…だけど、どことなく優しい表情で泣いていた。
「おめでとうございます、男の子ですよ」
「ありがとうございます」
「男の子…」
そう言われ、初めての赤ちゃんを灰原の隣にそっと置いてくれた。
「可愛いね~」
「ええ。」
「今日からお母さんだね。」
無邪気に笑うコナンの言葉にハッとする灰原。
「お母さん…」
「どうしたの?」
「なんか、自覚無くて…」
灰原にとっては、血の繋がった本当の家族というものに、初めて会えた感覚を味わった事に不思議な感覚が心の中を支配していた。
赤ちゃんを一度預け、2時間は安静にと言われた灰原は、コナンと一緒に過ごしていた。よかったねと声を掛けるコナンの傍で、笑みを浮かべる灰原は母親の顔をしている事に、コナンは密かに思っていた。
それから、2時間後…分娩室から病室に移動させてもらうと…赤ちゃんと再開すると共に、待っててくれた有希子や阿笠博士、駆けつけてくれた新一と蘭は鈴を連れてやって来た。
「お疲れ様、哀ちゃん!」
「有希子さん、色々ありがとうございました。」
「よかったの~哀くん。」
「博士もありがとう。」
「よかったね、コナン君。今度は男の子で…」
「え!?」
「だって前言ってたじゃない?男の子がいいって…」
「え!?そうだっけ?」
「たくっ、忘れてんじゃねーよ!」
病院が賑やかになり、沢山の人達に迎えられながら産まれたコナンと灰原の赤ちゃんは、心地よさそうに眠っている。
「灰原、元太達も来るって言ってたよ!」
「そう…」
そうコナンに声を掛けられて、灰原は嬉しそうに微笑んでいた。
その反面、コナンは警察学校に戻らないと行けない事を思い出し、嫌な現実が脳裏に呼び起こされた。
折角産まれたのに、戻らなきゃ行けないなんて…と、コナンは心の中で不満に思っていた時あの三人は病室に顔を出した。
「哀ちゃん!」
「灰原さん、産まれたって本当ですか?」
「ええ、さっき。」
「よかったな!」
そう声を掛ける三人の目線は赤ちゃんに釘付けになった。
「「わあ~」」
と歓声があがる三人は、産まれたばかりの赤ちゃんを目の前にして興奮していた。
「可愛い~やっぱコナン君に似てるね~」
「そうかな?」
「じゃあ、泣き虫に育ちそうですね」
「なんだよ、それ…」
「でも、目の辺りは灰原にそっくりだな」
「本当ですね~気の強そうな感じです」
光彦は赤ちゃんを見るなり、わぁ~と顔を輝かせながらポツリと言った。
「失礼ね」
「あ、いえ…別にそんな意味じゃありませんので…」
慌てる光彦に笑みを浮かべると、灰原はクスッと笑って口を開いた。
「でも、もう一人…家族が増えたわ。ありがとう。」
「よかったね、哀ちゃん!」
「ええ。」
灰原の瞳からまた涙が零れる。物心が着いた頃、灰原には家族が居なくなっていた。皆はそれを知ってるから、尚更祝福してくれていた。
「名前何にしたの?」
そう言われて、灰原はコナンを見て言う。
「それが…まだ決めてないの。ねえ?」
「う、うん。」
「出生届は14日以内に出せばいいんだが、早めに決めないとな!」
「うん。考えては居たんだけど…」
そう言って悩むコナンに、またしても皆から心配する眼差しが向けられていた。
「そう言えばコナン、そろそろ戻らないとじゃねーか?警察学校の教官心配してるぞ?」
「え、まだいいよ」
「私の事は心配しなくていいわよ、また週末に会いましょ?」
「え、でも…」
分娩室に入ってから、20時間は超えていた。その間、警察学校には新一が連絡してくれていたから心配はなかったけど、産まれたらすぐ帰る様に伝えられていた。
「今なら訓練も終わってる頃だし、後は寮で休んでおけ、お前もずっと寝ずに立ち合って居たんだからよ」
そう言って、コナンは声を掛けられなくなく帰る事になった。本当はもっと見ていたい赤ちゃん…哀しげな表情を浮かべながらコナンは灰原に声を掛けた。
「じゃあ、また週末に帰ってくるから…」
「ええ。ありがとう、頑張って!」
「うん。行ってくる」
そう言って、コナンは足早に病室を出て警察学校の寮へ帰っていった。
寮に帰宅するコナンは、教官や同期生達に祝福され照れくさくはあったが、無事に産まれた初めての息子に嬉しくなっていた。
その夜、コナンは産まれたばかりの息子を思い出しながら、中々寝つけないでいた。携帯電話は預ける事になってる警察学校で、送ってもらった写真を見ることも困難だった。
寂しくも思いながら、コナンは子供の名前を何にしようかと、就寝時間を過ぎても一人ベットに寝そべりながら必死に考えていた。