✩.*˚哀とコナンと……③✩.*˚
そして、翌日…。
お兄さんに報告があるからと言い…連絡し、鈴ちゃんが眠った後の夜頃に私達二人は訪問した。
「ごめんね、兄ちゃん…大丈夫?」
「ああ、ちょっと時々泣くかも知れねーけど、今のとこ大丈夫だぜ」
そう言って通された私達は、お兄さんを前にして報告する事になった。
「ごめんね~ちょっとぐずっちゃって~」
「いえ、すいません。大変な時に…」
「いいのよ、話って何?」
「実は…」
そう言って、私が口を開こうとしたら…工藤君に僕から言うといい、止められた。
「兄ちゃん、あのね…僕、灰原と結婚する事にしたんだ」
そう言ったのを聞いて、順番が違う事に慌てて工藤君に言う。
「違うでしょ?それは後!」
「え?ああ…」
「結婚するのか?お前ら…」
「えっとね、結婚はいずれするんだけど、その前に灰原が子供産むんだけど…それで、なんて言うか…」
「私、妊娠したんです!」
言いずらそうにしている彼の言葉を遮って、私はお兄さんと蘭さんに向けて言い放った。
「「妊娠!?」」
そう言った私の言葉に反応し、二人は驚きのあまり声を上げた。
「あ、だから…実は、その話で来たんだけど…灰原から話を聞いて、僕びっくりしちゃって…」
「びっくりしたのは私の方よ…」
照れながら言う工藤君を見て、私も頬を赤らめていた。
「いや、俺だってびっくりだぜ」
「私も…」
そう言って、二人して私達を見て笑っていた。
「にしても、お前手がはえーな…」
「新一!」
「に、兄ちゃんまで、そんな言い方しないでよ…」
「え!?」
そう工藤君に言い返され、私は昨日の事を説明する。
「あ、昨日…優作さんと有希子さんに散々いじられたので…」
「ああ、なるほど…で、父さん達はなんて?」
「おめでとうって…」
「そっか、母さんも結構早く出産したんだけど…お前らはそれよりも早いな…」
「そんなじゃないって、僕そういうつもりじゃなかったんだって…」
「じゃあ、どういうつもりだったのよ?」
色んな人に突っ込まれる度に頬を赤く染める彼を見て、私はその慌てっぷりに微笑ましくなっていた。結果はどうであれ、私は工藤君の間に出来た小さな命がとても嬉しく感じている。
「でも、大切な命を授かって…よかったじゃない、おめでとう…哀ちゃん、コナン君!」
「ありがとうございます」
「う、うん…ありがとう」
こんなに早く授かれると思っていなかった私は…早くに亡くした家族を思い、子供を作ってくれた彼に感謝していた。それと、天国にいる両親や姉が授からせてくれたのかもしれないと…私は身に染みて感じていた。
「警察学校も同時に頑張れよ?折角受かったんだからな…行かないなんて言うんじゃねーぞ!」
「うん!分かってるよ、絶対行くよ!」
彼のその言葉に私の心は安心していた。少し前の彼なら、きっと…"でも…"って言葉が口をついて出ていたのかもしれない。だけど、今は違う。隣にいる彼は、少しだけ大人になった事を私は感じていた。
きっとこれが、父親になる心の表れなのかもしれない。
「兄ちゃん…僕達まだ卒業したばかりだし、成人してもないしさ…だから、色々迷惑かけるかもしれないけど、その時は…」
「ああ、大丈夫だ。そん時は、いつでも相談しろ」
「うん!ありがとう」
私達の周りには沢山支えてくれる人達がいる。出来る事は二人で乗り越えていくつもりだけど…こんなに素敵なお兄さんや蘭さん、優作さんや有希子さんが傍にいてくれるんだもの。
だから、大丈夫。きっと乗り越えられる。
そう信じて…私達はお兄さんの家を後にして、夜の道を二人手を繋ぎながら…家に帰っていった。
「あははははは…」
翌日の阿笠邸で妊娠を報告した私と工藤君の目の前で博士の笑い声がこだました。
「そんなに笑わないでよ博士~」
「すまんすまん。」
「仕方ないわよ、色んな人になじられたんだから…」
「でもよかったじゃないか、理解がある人達ばかりで…」
「そうね…普通だったら…怒鳴られてるかもしれないわね~」
「え…」
私の言葉に工藤君はビクッとさせていた。そんな工藤君を見ていた私は、慌ててフォローする。
「冗談よ」
「やめてよ、灰原…」
「それにしても、いつかは結婚すると思ってはいたが…まさか妊娠の方が先とはの~」
「「……」」
博士の言葉に私達は恥ずかしくて黙り込んでしまっていた。でも、私達のその様子を見て博士はにこやかに声をかけてくれた。
「でもまあ、君たちの子供じゃ…きっと可愛い子が産まれてくるぞ~出産まで身体大事にな、哀くん。」
「ええ、ありがとう博士。」
小さい頃から親代わりに私を見ていてくれた博士がかけてくれた言葉。私の心に優しく届けられた。私には他に家族は居ない。でも、新しく宿った生命と一緒に家族が増える事実感させてくれた。
その後、工藤君が付き添ってくれた産婦人科に行った帰りに、私達は小嶋くん、円谷くん、吉田さんを呼び出して…昔よく遊んでいた公園に集まった。
「哀ちゃん!」
「コナン君!お久しぶりです!」
「よお!」
そう言って、三人は私達を出迎えてくれた。
「卒業パーティーぶりね」
私がそう言うと、三人とも不思議な顔して何故集められたのか気になっている様子だったから話す事にした。
「実はさ、灰原のお腹に赤ちゃんが……いるんだ」
工藤君は、少し緊張気味に三人に向けて報告する。
「「赤ちゃん!?」」
三人は驚きのあまり、声が上がる。そんな三人に、工藤君は続けた。
「僕の子。」
工藤君は照れながらそっと付け加える。
一瞬、沈黙が流れたけど…1番最初に吉田さんは口を開いた。
「すっごーい!哀ちゃん、コナン君、おめでとう!」
「よかったですね~」
「ありがと」
「おいコナン、隠れてやる事はやってんじゃねーかよ」
「そ、そんなじゃないって…」
祝福の言葉が投げかけられる中、小嶋くんは工藤君の肩を小突いてニヤニヤしていた。
三人共、驚いては居たものの…私達の事を祝ってくれた事に私はまた更にほっとしていた。
「僕、来月から警察学校なんだ…それで、土日には帰って来れるんだけど、殆ど向こうの寮に行ってるからさ、もし灰原に何かあったらいけないからこの事は報告しておこうと思って。」
「そういう事だったんですね!分かりました!おまかせください」
「私も、何か手伝えることがあったら言ってね!哀ちゃん!!」
「俺も時々配達の途中様子見に行ってやるからよ、心配すんな!それよりも、お前はしっかり学校卒業しろよな?」
「うん、分かってる」
そう心強い言葉をくれる同級生達に、私達は安心する。工藤君が言った通り、来月から工藤君は居ない。工藤君が居ない時、もし何かあった時頼れるのはこの子達。知らせておくべきだと、工藤君はいっていた。
「ねえ、赤ちゃんどうだって?病院行ったんでしょ?」
「ええ…順調に育っていて…2ヶ月だって。あの日ね、工藤君?」
そう言って、私は母子手帳を掲げて工藤君に微笑みかけた。
「ばっ…そんな事まで言わなくていいじゃないか!」
そう言った工藤君に、私達は照れる工藤君が面白くて笑っていた。少し、早かったかもしれないけど、私達のタイミング的に色々大変な時期ではあるけれど…色々な人に報告する度に、嬉しい言葉をくれる事はとても安心していた。
「おい、お前の兄ちゃんはなんて言ってたんだよ?」
「え!?」
「お兄さんにも報告行ったんですよね?」
そう聞かれ、口ごもっている工藤君の代わりに、私は言う。
「手が早いって言われていたわよ」
その言葉に反応し、工藤君は顔を真っ赤にして俯いていた。
笑い合う三人にまたしてもからかわれる工藤君が真っ赤になるのを見て、何か言われる度にいちいち真っ赤になるこの先が心配になっていく。
でも…。
「ごめんごめん」
と慰められている工藤君は頭をかいて笑みを浮かべた。その様子を見て、昔泣いてた工藤君を慰めていた場面が重なって、次の日には笑顔を見せていた事を思い出し、きっと大丈夫。と願っていた。
お兄さんに報告があるからと言い…連絡し、鈴ちゃんが眠った後の夜頃に私達二人は訪問した。
「ごめんね、兄ちゃん…大丈夫?」
「ああ、ちょっと時々泣くかも知れねーけど、今のとこ大丈夫だぜ」
そう言って通された私達は、お兄さんを前にして報告する事になった。
「ごめんね~ちょっとぐずっちゃって~」
「いえ、すいません。大変な時に…」
「いいのよ、話って何?」
「実は…」
そう言って、私が口を開こうとしたら…工藤君に僕から言うといい、止められた。
「兄ちゃん、あのね…僕、灰原と結婚する事にしたんだ」
そう言ったのを聞いて、順番が違う事に慌てて工藤君に言う。
「違うでしょ?それは後!」
「え?ああ…」
「結婚するのか?お前ら…」
「えっとね、結婚はいずれするんだけど、その前に灰原が子供産むんだけど…それで、なんて言うか…」
「私、妊娠したんです!」
言いずらそうにしている彼の言葉を遮って、私はお兄さんと蘭さんに向けて言い放った。
「「妊娠!?」」
そう言った私の言葉に反応し、二人は驚きのあまり声を上げた。
「あ、だから…実は、その話で来たんだけど…灰原から話を聞いて、僕びっくりしちゃって…」
「びっくりしたのは私の方よ…」
照れながら言う工藤君を見て、私も頬を赤らめていた。
「いや、俺だってびっくりだぜ」
「私も…」
そう言って、二人して私達を見て笑っていた。
「にしても、お前手がはえーな…」
「新一!」
「に、兄ちゃんまで、そんな言い方しないでよ…」
「え!?」
そう工藤君に言い返され、私は昨日の事を説明する。
「あ、昨日…優作さんと有希子さんに散々いじられたので…」
「ああ、なるほど…で、父さん達はなんて?」
「おめでとうって…」
「そっか、母さんも結構早く出産したんだけど…お前らはそれよりも早いな…」
「そんなじゃないって、僕そういうつもりじゃなかったんだって…」
「じゃあ、どういうつもりだったのよ?」
色んな人に突っ込まれる度に頬を赤く染める彼を見て、私はその慌てっぷりに微笑ましくなっていた。結果はどうであれ、私は工藤君の間に出来た小さな命がとても嬉しく感じている。
「でも、大切な命を授かって…よかったじゃない、おめでとう…哀ちゃん、コナン君!」
「ありがとうございます」
「う、うん…ありがとう」
こんなに早く授かれると思っていなかった私は…早くに亡くした家族を思い、子供を作ってくれた彼に感謝していた。それと、天国にいる両親や姉が授からせてくれたのかもしれないと…私は身に染みて感じていた。
「警察学校も同時に頑張れよ?折角受かったんだからな…行かないなんて言うんじゃねーぞ!」
「うん!分かってるよ、絶対行くよ!」
彼のその言葉に私の心は安心していた。少し前の彼なら、きっと…"でも…"って言葉が口をついて出ていたのかもしれない。だけど、今は違う。隣にいる彼は、少しだけ大人になった事を私は感じていた。
きっとこれが、父親になる心の表れなのかもしれない。
「兄ちゃん…僕達まだ卒業したばかりだし、成人してもないしさ…だから、色々迷惑かけるかもしれないけど、その時は…」
「ああ、大丈夫だ。そん時は、いつでも相談しろ」
「うん!ありがとう」
私達の周りには沢山支えてくれる人達がいる。出来る事は二人で乗り越えていくつもりだけど…こんなに素敵なお兄さんや蘭さん、優作さんや有希子さんが傍にいてくれるんだもの。
だから、大丈夫。きっと乗り越えられる。
そう信じて…私達はお兄さんの家を後にして、夜の道を二人手を繋ぎながら…家に帰っていった。
「あははははは…」
翌日の阿笠邸で妊娠を報告した私と工藤君の目の前で博士の笑い声がこだました。
「そんなに笑わないでよ博士~」
「すまんすまん。」
「仕方ないわよ、色んな人になじられたんだから…」
「でもよかったじゃないか、理解がある人達ばかりで…」
「そうね…普通だったら…怒鳴られてるかもしれないわね~」
「え…」
私の言葉に工藤君はビクッとさせていた。そんな工藤君を見ていた私は、慌ててフォローする。
「冗談よ」
「やめてよ、灰原…」
「それにしても、いつかは結婚すると思ってはいたが…まさか妊娠の方が先とはの~」
「「……」」
博士の言葉に私達は恥ずかしくて黙り込んでしまっていた。でも、私達のその様子を見て博士はにこやかに声をかけてくれた。
「でもまあ、君たちの子供じゃ…きっと可愛い子が産まれてくるぞ~出産まで身体大事にな、哀くん。」
「ええ、ありがとう博士。」
小さい頃から親代わりに私を見ていてくれた博士がかけてくれた言葉。私の心に優しく届けられた。私には他に家族は居ない。でも、新しく宿った生命と一緒に家族が増える事実感させてくれた。
その後、工藤君が付き添ってくれた産婦人科に行った帰りに、私達は小嶋くん、円谷くん、吉田さんを呼び出して…昔よく遊んでいた公園に集まった。
「哀ちゃん!」
「コナン君!お久しぶりです!」
「よお!」
そう言って、三人は私達を出迎えてくれた。
「卒業パーティーぶりね」
私がそう言うと、三人とも不思議な顔して何故集められたのか気になっている様子だったから話す事にした。
「実はさ、灰原のお腹に赤ちゃんが……いるんだ」
工藤君は、少し緊張気味に三人に向けて報告する。
「「赤ちゃん!?」」
三人は驚きのあまり、声が上がる。そんな三人に、工藤君は続けた。
「僕の子。」
工藤君は照れながらそっと付け加える。
一瞬、沈黙が流れたけど…1番最初に吉田さんは口を開いた。
「すっごーい!哀ちゃん、コナン君、おめでとう!」
「よかったですね~」
「ありがと」
「おいコナン、隠れてやる事はやってんじゃねーかよ」
「そ、そんなじゃないって…」
祝福の言葉が投げかけられる中、小嶋くんは工藤君の肩を小突いてニヤニヤしていた。
三人共、驚いては居たものの…私達の事を祝ってくれた事に私はまた更にほっとしていた。
「僕、来月から警察学校なんだ…それで、土日には帰って来れるんだけど、殆ど向こうの寮に行ってるからさ、もし灰原に何かあったらいけないからこの事は報告しておこうと思って。」
「そういう事だったんですね!分かりました!おまかせください」
「私も、何か手伝えることがあったら言ってね!哀ちゃん!!」
「俺も時々配達の途中様子見に行ってやるからよ、心配すんな!それよりも、お前はしっかり学校卒業しろよな?」
「うん、分かってる」
そう心強い言葉をくれる同級生達に、私達は安心する。工藤君が言った通り、来月から工藤君は居ない。工藤君が居ない時、もし何かあった時頼れるのはこの子達。知らせておくべきだと、工藤君はいっていた。
「ねえ、赤ちゃんどうだって?病院行ったんでしょ?」
「ええ…順調に育っていて…2ヶ月だって。あの日ね、工藤君?」
そう言って、私は母子手帳を掲げて工藤君に微笑みかけた。
「ばっ…そんな事まで言わなくていいじゃないか!」
そう言った工藤君に、私達は照れる工藤君が面白くて笑っていた。少し、早かったかもしれないけど、私達のタイミング的に色々大変な時期ではあるけれど…色々な人に報告する度に、嬉しい言葉をくれる事はとても安心していた。
「おい、お前の兄ちゃんはなんて言ってたんだよ?」
「え!?」
「お兄さんにも報告行ったんですよね?」
そう聞かれ、口ごもっている工藤君の代わりに、私は言う。
「手が早いって言われていたわよ」
その言葉に反応し、工藤君は顔を真っ赤にして俯いていた。
笑い合う三人にまたしてもからかわれる工藤君が真っ赤になるのを見て、何か言われる度にいちいち真っ赤になるこの先が心配になっていく。
でも…。
「ごめんごめん」
と慰められている工藤君は頭をかいて笑みを浮かべた。その様子を見て、昔泣いてた工藤君を慰めていた場面が重なって、次の日には笑顔を見せていた事を思い出し、きっと大丈夫。と願っていた。