✩.*˚哀とコナンと……③✩.*˚
その日、パーティーが終わって皆が帰った後の阿笠邸に、チャイムが鳴り響いた。
出てみると、そこには…少し思い詰めた様子の工藤君が立っていた。
「どうしたの?」
「灰原……ちょっと話さない?」
不思議な顔で覗き込むと、工藤君に手を引かれ…私は誰も居ない工藤邸に招かれた。
「何かあったの?」
向かいあったテーブルに私と工藤君は座り、私はそっと聞いてみた。
「僕、来週試験なんだ…」
「公務員試験!?」
「うん…」
「そう…いよいよなのね…」
私はどう返事していいのか分からず、とりあえずそう答えた。
「僕…大丈夫かなって…さっき灰原が怖かったって言ってたから、僕も緊張して来ちゃってさ…」
「何言ってるのよ…大丈夫よ、貴方なら…」
「でも…」
工藤君の成績が落ちるような成績じゃない事くらい、私は知ってる。それでも、悩んでる工藤君に何を不安になっているのか、不思議になっていた。
「もしかして、面接!?」
「え!?」
その反応に図星だと思い、私は椅子から立ち上がって工藤君の手を持った。
「だったら、いい所に行きましょ?」
「え?どこへ?兄ちゃんとこ?だったら……」
「違うわよ、いいから来て!」
私は工藤君のその手を引いてある場所へ向かった。
「……え、神社!?」
「そうよ、少しは気が晴れると思ってね…ギリギリまだ開いてるし…」
私はそう言って、売店の方に目をやるとまだ閉まって居なかった事に安堵する。
「私も、貴方の面接が上手くいきますようにって、祈ってあげるから。」
「灰原…うん!ありがとう。」
そう言って、私達は同時にお賽銭を投げると手を合わせた。お互いに微笑み合って…願った願いがどうか、届きます様にと祈りを込めてその後合格祈願のお守りを購入して、工藤君に渡した。
「ありがとう」
工藤君の晴れやかな笑顔に私は微笑み返す。おみくじ引こうよと、工藤君は言ったのだけど、万が一凶なんて出たら工藤君の悩みが増えそうで、私は強引に連れて帰った。
工藤邸に帰宅した私達は、工藤君の部屋へまたあれから更に1年ぶりに入室した。相変わらず変わり映えはないけど、何となく落ち着くこの空間に私は留学が終えた気持ちと同時に胸を撫で下ろしていた。
「ごめんね、灰原…僕、卒業してもまだ灰原に心配ばかりかけてさ…時々思うんだ。僕なんかでいいのかって…」
本棚を眺めていた私に、工藤君から思いもよらぬ発言が私の後ろ背に飛び込んできた。
「何を言ってるのよ…」
「だって、僕…ちっとも男らしくないし、泣いてばっかりだしさ…灰原にはもっと相応しい人がいるん……」
その瞬間、私は工藤君の口を塞ぐようにキスをした。ゆっくり離す私の目を工藤君は目をぱちぱちしながら驚いていた。
「馬鹿なこと言わないでよ、私には貴方しか居ないの。余計な心配しないでくれる?」
「灰原…」
「それに、私は…貴方が待ってるって言うから、アメリカで留学して来たんじゃない。貴方が私の彼氏だったから、留学の事必死で考えたのよ…そうじゃなかったら、勝手に一人で決めて勝手に行ってたわよ」
私の言葉に俯く工藤君の横に私は静かに座った。
「今度は、貴方が頑張る番。そして、今度は私が待ってる番なのよ…信じて待ってるから。」
「灰原……」
工藤君は私の手をぎゅっと握って言った。
「灰原、ごめん…僕頑張るよ!絶対なるから、警察官に…」
「ええ、期待してる。頑張って、工藤君!」
その言葉に、今度は工藤君が私を抱きしめてくれた。ずっと余計な心配ばかり掛けられてる彼氏だけど、私はこんな工藤君を選んだの。
私を抱きしめてくれた事を思いながら私は言う。
「男らしい所あるじゃない」
「……」
そう言うと、照れて顔を伏せていた。そんな工藤君が、私は好きだから…だから、だから……。
「行ってらっしゃい、工藤君」
「……行ってきます」
あの時とは逆に、今度は私が工藤君を送り出す。いつか、警察官になって…その姿を私に見せてくれると願って……。
月明かりに照らされた私達の口付けは……二人にとって大切な時間が流れていた。
その夜…私が工藤君に捧げた証を工藤君は優しく受け取ってくれた。
お互いの心臓の鼓動の音が伝わる中…いつかやってくる未来に、微笑みをかけて。
出てみると、そこには…少し思い詰めた様子の工藤君が立っていた。
「どうしたの?」
「灰原……ちょっと話さない?」
不思議な顔で覗き込むと、工藤君に手を引かれ…私は誰も居ない工藤邸に招かれた。
「何かあったの?」
向かいあったテーブルに私と工藤君は座り、私はそっと聞いてみた。
「僕、来週試験なんだ…」
「公務員試験!?」
「うん…」
「そう…いよいよなのね…」
私はどう返事していいのか分からず、とりあえずそう答えた。
「僕…大丈夫かなって…さっき灰原が怖かったって言ってたから、僕も緊張して来ちゃってさ…」
「何言ってるのよ…大丈夫よ、貴方なら…」
「でも…」
工藤君の成績が落ちるような成績じゃない事くらい、私は知ってる。それでも、悩んでる工藤君に何を不安になっているのか、不思議になっていた。
「もしかして、面接!?」
「え!?」
その反応に図星だと思い、私は椅子から立ち上がって工藤君の手を持った。
「だったら、いい所に行きましょ?」
「え?どこへ?兄ちゃんとこ?だったら……」
「違うわよ、いいから来て!」
私は工藤君のその手を引いてある場所へ向かった。
「……え、神社!?」
「そうよ、少しは気が晴れると思ってね…ギリギリまだ開いてるし…」
私はそう言って、売店の方に目をやるとまだ閉まって居なかった事に安堵する。
「私も、貴方の面接が上手くいきますようにって、祈ってあげるから。」
「灰原…うん!ありがとう。」
そう言って、私達は同時にお賽銭を投げると手を合わせた。お互いに微笑み合って…願った願いがどうか、届きます様にと祈りを込めてその後合格祈願のお守りを購入して、工藤君に渡した。
「ありがとう」
工藤君の晴れやかな笑顔に私は微笑み返す。おみくじ引こうよと、工藤君は言ったのだけど、万が一凶なんて出たら工藤君の悩みが増えそうで、私は強引に連れて帰った。
工藤邸に帰宅した私達は、工藤君の部屋へまたあれから更に1年ぶりに入室した。相変わらず変わり映えはないけど、何となく落ち着くこの空間に私は留学が終えた気持ちと同時に胸を撫で下ろしていた。
「ごめんね、灰原…僕、卒業してもまだ灰原に心配ばかりかけてさ…時々思うんだ。僕なんかでいいのかって…」
本棚を眺めていた私に、工藤君から思いもよらぬ発言が私の後ろ背に飛び込んできた。
「何を言ってるのよ…」
「だって、僕…ちっとも男らしくないし、泣いてばっかりだしさ…灰原にはもっと相応しい人がいるん……」
その瞬間、私は工藤君の口を塞ぐようにキスをした。ゆっくり離す私の目を工藤君は目をぱちぱちしながら驚いていた。
「馬鹿なこと言わないでよ、私には貴方しか居ないの。余計な心配しないでくれる?」
「灰原…」
「それに、私は…貴方が待ってるって言うから、アメリカで留学して来たんじゃない。貴方が私の彼氏だったから、留学の事必死で考えたのよ…そうじゃなかったら、勝手に一人で決めて勝手に行ってたわよ」
私の言葉に俯く工藤君の横に私は静かに座った。
「今度は、貴方が頑張る番。そして、今度は私が待ってる番なのよ…信じて待ってるから。」
「灰原……」
工藤君は私の手をぎゅっと握って言った。
「灰原、ごめん…僕頑張るよ!絶対なるから、警察官に…」
「ええ、期待してる。頑張って、工藤君!」
その言葉に、今度は工藤君が私を抱きしめてくれた。ずっと余計な心配ばかり掛けられてる彼氏だけど、私はこんな工藤君を選んだの。
私を抱きしめてくれた事を思いながら私は言う。
「男らしい所あるじゃない」
「……」
そう言うと、照れて顔を伏せていた。そんな工藤君が、私は好きだから…だから、だから……。
「行ってらっしゃい、工藤君」
「……行ってきます」
あの時とは逆に、今度は私が工藤君を送り出す。いつか、警察官になって…その姿を私に見せてくれると願って……。
月明かりに照らされた私達の口付けは……二人にとって大切な時間が流れていた。
その夜…私が工藤君に捧げた証を工藤君は優しく受け取ってくれた。
お互いの心臓の鼓動の音が伝わる中…いつかやってくる未来に、微笑みをかけて。