✩.*˚哀とコナンと……③✩.*˚
「そう言えば、皆は進路何にしたんだ?」
工藤君が思い出した様に、三人に質問する。
その質問に、頬張っていたクッキーをひとまず置いて、私達に三人は夢を語ってくれた。
「私は看護師さん!」
「僕は大学教員になろうかと…最終的には大学教授まで目指す予定です」
「俺は酒屋継ぐことになってるんだ。仕入れとか色々勉強しねーと行けねーから大変だけどな!」
私は三人がしっかりと夢へ歩み出してる事に関心していた。しっかり決めてる三人だからこそ、工藤君が夢を決めかねている状況を心配していた事に頷けた。
「へー、三人ともしっかり決めていたのね…」
「うん!私が看護師になったら、哀ちゃんと一緒に仕事する事になるかもしれないもんね」
「そうですね、灰原さんの夢は薬剤師ですし…有り得るかもです!」
「二十歳になったら絶対皆で集まろうね!」
「そんときは俺がみんなに酒奢ってやるよ」
「ほんとですかー?」
「おう!」
三人のやり取りを聞きながら、私と工藤君は顔を見合わせて笑っていた。さっきの喧嘩が無かったように。
「本当…夢を叶えるの、待ち遠しいって感じね、みんな…」
「誰が1番最初に夢を叶えるのかな?」
「そうね…競走しましょうか?」
「あ、でもそれぞれの試験の時期っていうものがありますし…」
「じゃあ、全員が夢を叶えたら元太君の家に集まろうよ」
「うん、そうしよう」
そんな事話しながら、私達は各々が抱いた未来を夢見て瞳を輝かせていた。今は正直、未来なんて分からない。ただ、どんな未来になっても、何年後…何十年後、またこの同級生と集まれたらと…私は密かに思っていた。
そんな事を話していると、吉田さんが工藤君の顔を見てぽつりと言う。
「コナン君、眼鏡掛けてないと新一さんにそっくりよね…コナン君の方がちょっと子供っぽいけど…」
「当たり前だろ、兄ちゃんなんだから…」
「もう眼鏡掛けないんですか!?」
「いつか必要になる時あると思って…カバンにはちゃんと持ってるんだ。」
そう言って、工藤君は自分のカバンからそっと眼鏡ケースと一緒に、小さい頃から掛けていたメガネを取り出した。
コンタクトにしてからあまり掛けなくなったメガネを見つめ、工藤君は言う。
「僕、眼鏡掛けなきゃいけなくなった時、大騒ぎしたらしいんだ…」
「知ってるわ…大泣きして、クラスの皆凄く心配してた。あんまり泣き止まないものだから、お母さん呼んで連れて帰ったみたいだけど…」
「あの頃すっごい泣き虫だったよね、コナン君…」
「それは今もよ?」
「今は違うよ」
「そうかしら?」
工藤君をからかいながら、今も大事に持ってるメガネを握りしめる彼から当時の思い出が時より蘇っては消えていく。
泣き虫は今も変わらないけど…この眼鏡ケースから始まったのよね、私達の友情は。クラスで泣いてる彼に駆け寄って心配していたのは、私達だけだったから。
今でも鮮明に思い出す。教室に戻ってきた工藤君が両手で目を擦りながら泣き続け、その彼を取り囲む様にして私達は工藤君を心配し続けていた……。
泣き止ませることは出来なかったけど、工藤君が帰った後、私達四人は工藤君を迎えに行こうと計画していたのよね。その時から私達は五人でもっと一緒になる事が多くなったのを思い出す。
「あまり掛けなくなりそうだけど…これ、お守り代わりに持ってるよ。僕が成長してきた証だから…」
そう言って、彼はまた静かにバックへと眼鏡ケースごと戻した。
それからしばらくして私達はまたねとサヨナラをし、私と工藤君は工藤君のご両親へ報告に行った。
もちろん、工藤君が無事に進路を決めた事を報告をしに…。
「え!?警察官…」
案の定、有希子さんは驚きを隠せないで声が漏れていた。
「大丈夫かしら……」
「大丈夫です!甘ったれの工藤君には丁度いいと思いますから。」
私が工藤君の言葉に続いて説明すると、優作さんはふっと笑うと口を開いた。
「そうだな。コナンにはいい機会かも知れなんな。ただ、耐えられるといいのだが…」
「え!?耐えられるって?」
「訓練…お前が思ってる以上にかなり厳しい訓練が待ち受けてると思うのだが。」
そう聞かされた工藤君は、困った顔をしていた。その様子に隣に座っていた私は心配になっていた。
いつもの様に不安な言葉を口をすると思っていたけど、彼の言葉より先に優作さんは工藤君に向けて口を開いた。
「まあ、大丈夫。男に二言はないさ……そうだろ?コナン。お前もそろそろ、大人にならないといかんからな。」
「え……う、うん。」
きっと工藤君が弱音を口にするのを知ってて、先に先手を打ったのかも知れない。その言葉に工藤君は何も言えなくなり……黙ってしまった。
それよりも、二人はお兄さんと同様に応援の言葉を投げかけていた。
「コナンちゃんなら大丈夫よ…無事に卒業出来る事、応援してるわ~それに向けて…公務員試験頑張らないとね」
「そうだな、まずはそれに受からないと話にはならないからな。頑張れよ」
「……」
もう、後戻り出来ないと二人の声援を受けながら、工藤君は苦笑いを浮かべていた。きっと不安いっぱいで堪らないだろう。だけど、今の工藤君に誰一人として警察官への道を遮断する様な言葉を掛ける人はいなかった。むしろ、みんなが工藤君の事を応援していた。
その期待に応えられるか分からない工藤君の熱意を知りたくて…私と工藤君は二人きりで工藤君の部屋へ向かった。
工藤君が思い出した様に、三人に質問する。
その質問に、頬張っていたクッキーをひとまず置いて、私達に三人は夢を語ってくれた。
「私は看護師さん!」
「僕は大学教員になろうかと…最終的には大学教授まで目指す予定です」
「俺は酒屋継ぐことになってるんだ。仕入れとか色々勉強しねーと行けねーから大変だけどな!」
私は三人がしっかりと夢へ歩み出してる事に関心していた。しっかり決めてる三人だからこそ、工藤君が夢を決めかねている状況を心配していた事に頷けた。
「へー、三人ともしっかり決めていたのね…」
「うん!私が看護師になったら、哀ちゃんと一緒に仕事する事になるかもしれないもんね」
「そうですね、灰原さんの夢は薬剤師ですし…有り得るかもです!」
「二十歳になったら絶対皆で集まろうね!」
「そんときは俺がみんなに酒奢ってやるよ」
「ほんとですかー?」
「おう!」
三人のやり取りを聞きながら、私と工藤君は顔を見合わせて笑っていた。さっきの喧嘩が無かったように。
「本当…夢を叶えるの、待ち遠しいって感じね、みんな…」
「誰が1番最初に夢を叶えるのかな?」
「そうね…競走しましょうか?」
「あ、でもそれぞれの試験の時期っていうものがありますし…」
「じゃあ、全員が夢を叶えたら元太君の家に集まろうよ」
「うん、そうしよう」
そんな事話しながら、私達は各々が抱いた未来を夢見て瞳を輝かせていた。今は正直、未来なんて分からない。ただ、どんな未来になっても、何年後…何十年後、またこの同級生と集まれたらと…私は密かに思っていた。
そんな事を話していると、吉田さんが工藤君の顔を見てぽつりと言う。
「コナン君、眼鏡掛けてないと新一さんにそっくりよね…コナン君の方がちょっと子供っぽいけど…」
「当たり前だろ、兄ちゃんなんだから…」
「もう眼鏡掛けないんですか!?」
「いつか必要になる時あると思って…カバンにはちゃんと持ってるんだ。」
そう言って、工藤君は自分のカバンからそっと眼鏡ケースと一緒に、小さい頃から掛けていたメガネを取り出した。
コンタクトにしてからあまり掛けなくなったメガネを見つめ、工藤君は言う。
「僕、眼鏡掛けなきゃいけなくなった時、大騒ぎしたらしいんだ…」
「知ってるわ…大泣きして、クラスの皆凄く心配してた。あんまり泣き止まないものだから、お母さん呼んで連れて帰ったみたいだけど…」
「あの頃すっごい泣き虫だったよね、コナン君…」
「それは今もよ?」
「今は違うよ」
「そうかしら?」
工藤君をからかいながら、今も大事に持ってるメガネを握りしめる彼から当時の思い出が時より蘇っては消えていく。
泣き虫は今も変わらないけど…この眼鏡ケースから始まったのよね、私達の友情は。クラスで泣いてる彼に駆け寄って心配していたのは、私達だけだったから。
今でも鮮明に思い出す。教室に戻ってきた工藤君が両手で目を擦りながら泣き続け、その彼を取り囲む様にして私達は工藤君を心配し続けていた……。
泣き止ませることは出来なかったけど、工藤君が帰った後、私達四人は工藤君を迎えに行こうと計画していたのよね。その時から私達は五人でもっと一緒になる事が多くなったのを思い出す。
「あまり掛けなくなりそうだけど…これ、お守り代わりに持ってるよ。僕が成長してきた証だから…」
そう言って、彼はまた静かにバックへと眼鏡ケースごと戻した。
それからしばらくして私達はまたねとサヨナラをし、私と工藤君は工藤君のご両親へ報告に行った。
もちろん、工藤君が無事に進路を決めた事を報告をしに…。
「え!?警察官…」
案の定、有希子さんは驚きを隠せないで声が漏れていた。
「大丈夫かしら……」
「大丈夫です!甘ったれの工藤君には丁度いいと思いますから。」
私が工藤君の言葉に続いて説明すると、優作さんはふっと笑うと口を開いた。
「そうだな。コナンにはいい機会かも知れなんな。ただ、耐えられるといいのだが…」
「え!?耐えられるって?」
「訓練…お前が思ってる以上にかなり厳しい訓練が待ち受けてると思うのだが。」
そう聞かされた工藤君は、困った顔をしていた。その様子に隣に座っていた私は心配になっていた。
いつもの様に不安な言葉を口をすると思っていたけど、彼の言葉より先に優作さんは工藤君に向けて口を開いた。
「まあ、大丈夫。男に二言はないさ……そうだろ?コナン。お前もそろそろ、大人にならないといかんからな。」
「え……う、うん。」
きっと工藤君が弱音を口にするのを知ってて、先に先手を打ったのかも知れない。その言葉に工藤君は何も言えなくなり……黙ってしまった。
それよりも、二人はお兄さんと同様に応援の言葉を投げかけていた。
「コナンちゃんなら大丈夫よ…無事に卒業出来る事、応援してるわ~それに向けて…公務員試験頑張らないとね」
「そうだな、まずはそれに受からないと話にはならないからな。頑張れよ」
「……」
もう、後戻り出来ないと二人の声援を受けながら、工藤君は苦笑いを浮かべていた。きっと不安いっぱいで堪らないだろう。だけど、今の工藤君に誰一人として警察官への道を遮断する様な言葉を掛ける人はいなかった。むしろ、みんなが工藤君の事を応援していた。
その期待に応えられるか分からない工藤君の熱意を知りたくて…私と工藤君は二人きりで工藤君の部屋へ向かった。