✩.*˚哀とコナンと……②✩.*˚
「兄ちゃんって、進路どうやって決めたの?」
コナンは俺にそんな質問をぶつけてきた。
真っ直ぐ見る弟に、俺はゆっくり答えた。
「進路か~俺は子供の頃から夢って言うのは決まっていたからな…進路決める頃にはすぐ出せたんだ。父さんが小説家って言う影響もあったし、お前が産まれるまでは一人であの大量の本を読み漁っていたんだ…まあ、俺の場合は父親の影響だな」
そう淡々と語る俺の話をコナンは黙って聞いていた。進路が決まっていないのは自分だけと言うのもあり、少し落ち込み気味なコナンはぽつりと言う。
「兄ちゃんは…いいな。ちゃんと決められて。僕なんか、どうしていいか分からなくてさ…」
「そう言えば、元太くん達は?もう出したのか?」
「うん。もう皆出したって…僕だけなんだ、まだ出してないの。だから、皆…お父さんもお母さんも僕の事凄く心配してくれるんだ…でもさ、僕…心配されると、焦っちゃってさ…どうすればいいか分からないんだ」
「そうか」
コナンの話を聞いて、俺は何となくコナンが答えを出しに来たのかと感じ、俺は言ってみた。
「でも、何かあるんだろ?何となくだけど、お前の中で…将来について、何か思い描いてるものがあるはずだ」
「……」
俺がそういうと、コナンは俺の方を見て、目をぱちぱちしながら覗いてきた。
そんな反応をしたのを見て、俺は当たりだなと心の中で納得する。
「子供の頃からお前が俺に相談だと言ってきた時、だいたい答えが決まっていたからな。何かあるならちょっと言ってみろよ」
俺がそう煽ると、コナンは黙って持ってきたバックから1冊の本を取り出し、俺に見せた。
「兄ちゃん…これ、覚えてる?子供の頃にお父さんが僕の為に作ってくれた推理小説。」
「ああ…懐かしいな。警察がわんさか出てくる内容だったよな…」
「うん。これ貰ってからずっと、何度も読んでたんだ……あの頃、僕兄ちゃんのもの何でも真似して欲しがって…そんな僕を見兼ねてお父さんが作ってくれたんだよね」
コナンは子供の頃の懐かしい記憶に浸りながら、時より照れながら頬を染めてゆっくり話していた。
「それでね……」
そう切り出すコナンに、俺はコナンの言葉をじっと待ち続けた。
「僕、警察官になろうかなって思ったんだ」
「警察官!?」
「うん。でも、殺人課じゃなくて…市民安全課の方の警察官に……」
思いもよらぬコナンの発言に、俺は驚いた。コナンがどんな道に進もうと賛成して応援するつもりではあるが、コナンの口から警察官という職業が出てくるとは微ちりも思わなかったから。
ただ……こんな甘ったれの弟に、警察官が務まるのかは、心配だった。けど、それを灰原さんに言えば過保護だと言われる事は見え見えだった。
だから、俺は必死に考え抜いたんだろうこの事を打ち明けた恥ずかしがり屋の弟を……応援してやろうと口を開いた。
「いいんじゃないか?コナンが決めたんだ。兄ちゃんは応援する。」
「兄ちゃん……」
「でも、何で安全課なんだ?」
「それは、灰原が……灰原が危険な仕事を選ばないでって…あいつ、子供の頃に家族無くしてるからさ、悲しい思いしたくないんだと思う」
「ああ、そう言えば…そうだったな」
俯きながら話すコナンを見て、まだ小さかった頃に、心細そうな灰原さんが博士と一緒に家に来た事を思い出す。
「じゃあこれから頑張らないとな!公務員試験は四月だったな!無事に受かるように勉強しないと…兄ちゃん応援してるからな。頑張れよ!」
「うん、兄ちゃんありがとう!僕頑張るよ!」
「だけど…公務員試験に受かったら、またしばらく灰原さんと離れ離れになるんだな」
「え!?」
詳しく調べていないコナンは俺のその発言に、驚いた様に顔を上げた。
「公務員試験に合格したら警察大学校に入ってお前の場合は10ヶ月の研修を経て、やっと警察官になれるんだ。」
「……」
俺の説明を聞いたコナンはポカーンと口を開けて、静かに"うそ…"とだけ呟いた。だけど、1度決めた事だ。コナンには後ろを振り向いて欲しくなくかった俺は言った。
「10ヶ月なんて、あっという間だ。お前一人じゃないし、他にも警察官目指す同期の仲間が沢山いるんだから…そいつらと一緒に頑張ればすぐに終わるさ!」
「僕、出来るかな…」
そう励ます俺の言葉が届いてないらしく、コナンは再び俯いてしまった。何より、灰原さんとまた離れ離れになる事が…たまらなく寂しいのかと目の前でシュンと項垂れるコナンを見て思っていた。
「コナン…」
俺がそっと名前を呼ぶと、今にも泣きそうな瞳でこちらを向いてくるコナンに、俺は言葉をかけた。
「コナン、あのな…夢って言うのは、そうなりたいと思った瞬間に、もうその夢に向かって歩き出してるんだよ…まだ何もやってないとお前は思うかもしれないけど、灰原さんの為に何課を目指すのかお前は調べた。それだけでも、夢に向かって目指してる証拠だ。」
「……」
「不安はあるかもしれないけど、警察官になって、灰原さんを安心させてやれよ。きっと喜ぶからさ!お前は人見知りだけど、慣れると人懐っこい一面がある……きっと友達なんてすぐに出来るさ!」
「……うん。」
「頑張れよ、コナン!灰原さんの安心した顔見たいだろ?」
俺が最後にそう付け加えると、コナンは何かを思い出した様に顔を真っ赤にして照れていた。
俺はコナンが持ってきた本を手に取ると、それをコナンに掲げながら言う。
「俺達はやっぱり兄弟だな!俺もお前も、父親の影響で、夢に向かう事になったんだ……頑張ろうな!」
「兄ちゃん……うん!」
俺は、コナンの最後の力強い言葉に嬉しく思う。子供の頃より甘ったれでは無くなって来たものの、やっぱりまだ甘えは抜けない。
子供のように元気よく返事をしたコナンに、俺は警察官を目指すというコナンの意志を期待しつつ、甘ったれのまま警察官になろうとするコナンに不安いっぱいだった。
コナンは俺にそんな質問をぶつけてきた。
真っ直ぐ見る弟に、俺はゆっくり答えた。
「進路か~俺は子供の頃から夢って言うのは決まっていたからな…進路決める頃にはすぐ出せたんだ。父さんが小説家って言う影響もあったし、お前が産まれるまでは一人であの大量の本を読み漁っていたんだ…まあ、俺の場合は父親の影響だな」
そう淡々と語る俺の話をコナンは黙って聞いていた。進路が決まっていないのは自分だけと言うのもあり、少し落ち込み気味なコナンはぽつりと言う。
「兄ちゃんは…いいな。ちゃんと決められて。僕なんか、どうしていいか分からなくてさ…」
「そう言えば、元太くん達は?もう出したのか?」
「うん。もう皆出したって…僕だけなんだ、まだ出してないの。だから、皆…お父さんもお母さんも僕の事凄く心配してくれるんだ…でもさ、僕…心配されると、焦っちゃってさ…どうすればいいか分からないんだ」
「そうか」
コナンの話を聞いて、俺は何となくコナンが答えを出しに来たのかと感じ、俺は言ってみた。
「でも、何かあるんだろ?何となくだけど、お前の中で…将来について、何か思い描いてるものがあるはずだ」
「……」
俺がそういうと、コナンは俺の方を見て、目をぱちぱちしながら覗いてきた。
そんな反応をしたのを見て、俺は当たりだなと心の中で納得する。
「子供の頃からお前が俺に相談だと言ってきた時、だいたい答えが決まっていたからな。何かあるならちょっと言ってみろよ」
俺がそう煽ると、コナンは黙って持ってきたバックから1冊の本を取り出し、俺に見せた。
「兄ちゃん…これ、覚えてる?子供の頃にお父さんが僕の為に作ってくれた推理小説。」
「ああ…懐かしいな。警察がわんさか出てくる内容だったよな…」
「うん。これ貰ってからずっと、何度も読んでたんだ……あの頃、僕兄ちゃんのもの何でも真似して欲しがって…そんな僕を見兼ねてお父さんが作ってくれたんだよね」
コナンは子供の頃の懐かしい記憶に浸りながら、時より照れながら頬を染めてゆっくり話していた。
「それでね……」
そう切り出すコナンに、俺はコナンの言葉をじっと待ち続けた。
「僕、警察官になろうかなって思ったんだ」
「警察官!?」
「うん。でも、殺人課じゃなくて…市民安全課の方の警察官に……」
思いもよらぬコナンの発言に、俺は驚いた。コナンがどんな道に進もうと賛成して応援するつもりではあるが、コナンの口から警察官という職業が出てくるとは微ちりも思わなかったから。
ただ……こんな甘ったれの弟に、警察官が務まるのかは、心配だった。けど、それを灰原さんに言えば過保護だと言われる事は見え見えだった。
だから、俺は必死に考え抜いたんだろうこの事を打ち明けた恥ずかしがり屋の弟を……応援してやろうと口を開いた。
「いいんじゃないか?コナンが決めたんだ。兄ちゃんは応援する。」
「兄ちゃん……」
「でも、何で安全課なんだ?」
「それは、灰原が……灰原が危険な仕事を選ばないでって…あいつ、子供の頃に家族無くしてるからさ、悲しい思いしたくないんだと思う」
「ああ、そう言えば…そうだったな」
俯きながら話すコナンを見て、まだ小さかった頃に、心細そうな灰原さんが博士と一緒に家に来た事を思い出す。
「じゃあこれから頑張らないとな!公務員試験は四月だったな!無事に受かるように勉強しないと…兄ちゃん応援してるからな。頑張れよ!」
「うん、兄ちゃんありがとう!僕頑張るよ!」
「だけど…公務員試験に受かったら、またしばらく灰原さんと離れ離れになるんだな」
「え!?」
詳しく調べていないコナンは俺のその発言に、驚いた様に顔を上げた。
「公務員試験に合格したら警察大学校に入ってお前の場合は10ヶ月の研修を経て、やっと警察官になれるんだ。」
「……」
俺の説明を聞いたコナンはポカーンと口を開けて、静かに"うそ…"とだけ呟いた。だけど、1度決めた事だ。コナンには後ろを振り向いて欲しくなくかった俺は言った。
「10ヶ月なんて、あっという間だ。お前一人じゃないし、他にも警察官目指す同期の仲間が沢山いるんだから…そいつらと一緒に頑張ればすぐに終わるさ!」
「僕、出来るかな…」
そう励ます俺の言葉が届いてないらしく、コナンは再び俯いてしまった。何より、灰原さんとまた離れ離れになる事が…たまらなく寂しいのかと目の前でシュンと項垂れるコナンを見て思っていた。
「コナン…」
俺がそっと名前を呼ぶと、今にも泣きそうな瞳でこちらを向いてくるコナンに、俺は言葉をかけた。
「コナン、あのな…夢って言うのは、そうなりたいと思った瞬間に、もうその夢に向かって歩き出してるんだよ…まだ何もやってないとお前は思うかもしれないけど、灰原さんの為に何課を目指すのかお前は調べた。それだけでも、夢に向かって目指してる証拠だ。」
「……」
「不安はあるかもしれないけど、警察官になって、灰原さんを安心させてやれよ。きっと喜ぶからさ!お前は人見知りだけど、慣れると人懐っこい一面がある……きっと友達なんてすぐに出来るさ!」
「……うん。」
「頑張れよ、コナン!灰原さんの安心した顔見たいだろ?」
俺が最後にそう付け加えると、コナンは何かを思い出した様に顔を真っ赤にして照れていた。
俺はコナンが持ってきた本を手に取ると、それをコナンに掲げながら言う。
「俺達はやっぱり兄弟だな!俺もお前も、父親の影響で、夢に向かう事になったんだ……頑張ろうな!」
「兄ちゃん……うん!」
俺は、コナンの最後の力強い言葉に嬉しく思う。子供の頃より甘ったれでは無くなって来たものの、やっぱりまだ甘えは抜けない。
子供のように元気よく返事をしたコナンに、俺は警察官を目指すというコナンの意志を期待しつつ、甘ったれのまま警察官になろうとするコナンに不安いっぱいだった。