✩.*˚哀とコナンと……②✩.*˚
その後、コナンに一人でもう少し考えた方がいいわよと言って、有希子はコナンを自室に誘導した。
それにコナンは応え、誰もいない自室に一人になった。
子供の頃は新一と二人で過ごしていた部屋に思い出が募る。コナンが小学三年生辺りになってからは新一とは別々の部屋になり、一人で過ごす事が増えていた。
最初は一人部屋になった事に嬉しくなったけど、今となっては、一人部屋が何とも言えない静かな寂しさが漂っていた。
隅の本棚にコナンがここで育ってきたという証が並んでいた。有希子がまとめてくれたアルバムもある。ふと見ると、コナンが子供の頃に優作が作ってくれた小学生向けの推理小説に目が止まる。
それを手に取るコナンはそれを見て、クスッと笑う。幼少の頃は何でも新一の持っているものを欲しがっていたなと思い出に浸っていた。
優作から貰ってから何度も読んでいた本。警察官が何人も出て来ても解けなかった事件を最後は探偵があっという間に解決してしまう事件。その探偵は何となく、新一に似せて書いてあった。
当時、兄ちゃん兄ちゃんとくっついて離れなかったコナンにとっては嬉しい代物だった。新一にとっては、とても気恥しいものだったらしいが…。
そんな思い出の本を開いていくうちに、コナンは将来についてのヒントを見つけた気がした。
そんな事も知らず、コナンや灰原さんが帰った俺と蘭は家でくつろいでいたそんな時……。
俺の携帯が鳴った。
(兄ちゃん、僕相談したい事があるんだけど)
コナンからメールが届いた文章に何となく深刻な悩みを抱えてる気がした。
(ああ、いいよ。兄ちゃんがそっちに行こうか?)
(ううん。僕が行くよ、明日兄ちゃんちに行ってもいい?)
(ああ、いいよ。気をつけて来るんだぞ)
そこでコナンとのやり取りは終わった。文面から、コナンが元気の無い様に伺えて、俺は蘭に頼むことにしたんだ。
「蘭、明日コナンが相談しに来るらしいんだ……」
「コナン君が?」
「ああ、ただ何となく……元気ないみたいでさ、悪いんだけど…少しの間でいいから、席外してくれねーかな?と思って。妊婦のお前にこんな事言うのは、ちょっと…気が引けるんだけどさ……」
そう話す俺に蘭は気持ちを汲んで応えてくれた。
「何言ってるのよ~それじゃあ…私お父さんに赤ちゃんの事話して来ようかな?」
「え、でもそれは二人で……」
「大丈夫よ、それより今はコナン君の相談聞いてあげる方が先決じゃない。まだ、決まってないんでしょ?進路の事…」
「蘭……本当に悪いな。」
「いいのよ、だって…大切なたった一人の弟じゃない。お兄ちゃんが力になってあげるのは、当然でしょ。」
そんな蘭の優しさに、俺は感謝している。コナンが赤ん坊の頃から一緒にいるからか…何となく、特別な感じがしていた。
コナンが困っている今でも蘭は文句を言わずに協力してくれてる事に俺はただ黙って蘭に甘えていた。
それが俺達兄弟にとって、どれだけ助かっているか…。蘭じゃなかったらと考えると、今の生活はないんじゃないかさえ思う。
そして、翌日…。
コナンはある物を持って困った表情をさせながらやって来た。
「よっ」
そう言って、俺はコナンをリビングへと誘導する。
「ごめんね、兄ちゃん…」
「気にすんなよ」
「蘭ねーちゃんは?」
「毛利のおっちゃんの所に行ってるよ…」
「え!?……僕のせい?」
俺とコナンはスリッパをパタパタと響かせながら、テーブルまでたどり着く手前で足が止まる。
気にしてるコナンの事を思いながら、俺は気にするなと言い、椅子に座らせた。
俺とコナン、向かい合って座った時……。
しばしの沈黙が流れた。
「兄ちゃん、実はね…」
そう切り出すコナンから不安いっぱいの声が漏れる。
「進路の事か?」
「うん。」
俺がその事を言うと反応する様に俯いていたコナンはハッとし顔を上げる。
「やっぱり分かってた?」
そう苦笑いを浮かべるコナンの口からゆっくりと俺にひとつの質問が投げかけられた。
それにコナンは応え、誰もいない自室に一人になった。
子供の頃は新一と二人で過ごしていた部屋に思い出が募る。コナンが小学三年生辺りになってからは新一とは別々の部屋になり、一人で過ごす事が増えていた。
最初は一人部屋になった事に嬉しくなったけど、今となっては、一人部屋が何とも言えない静かな寂しさが漂っていた。
隅の本棚にコナンがここで育ってきたという証が並んでいた。有希子がまとめてくれたアルバムもある。ふと見ると、コナンが子供の頃に優作が作ってくれた小学生向けの推理小説に目が止まる。
それを手に取るコナンはそれを見て、クスッと笑う。幼少の頃は何でも新一の持っているものを欲しがっていたなと思い出に浸っていた。
優作から貰ってから何度も読んでいた本。警察官が何人も出て来ても解けなかった事件を最後は探偵があっという間に解決してしまう事件。その探偵は何となく、新一に似せて書いてあった。
当時、兄ちゃん兄ちゃんとくっついて離れなかったコナンにとっては嬉しい代物だった。新一にとっては、とても気恥しいものだったらしいが…。
そんな思い出の本を開いていくうちに、コナンは将来についてのヒントを見つけた気がした。
そんな事も知らず、コナンや灰原さんが帰った俺と蘭は家でくつろいでいたそんな時……。
俺の携帯が鳴った。
(兄ちゃん、僕相談したい事があるんだけど)
コナンからメールが届いた文章に何となく深刻な悩みを抱えてる気がした。
(ああ、いいよ。兄ちゃんがそっちに行こうか?)
(ううん。僕が行くよ、明日兄ちゃんちに行ってもいい?)
(ああ、いいよ。気をつけて来るんだぞ)
そこでコナンとのやり取りは終わった。文面から、コナンが元気の無い様に伺えて、俺は蘭に頼むことにしたんだ。
「蘭、明日コナンが相談しに来るらしいんだ……」
「コナン君が?」
「ああ、ただ何となく……元気ないみたいでさ、悪いんだけど…少しの間でいいから、席外してくれねーかな?と思って。妊婦のお前にこんな事言うのは、ちょっと…気が引けるんだけどさ……」
そう話す俺に蘭は気持ちを汲んで応えてくれた。
「何言ってるのよ~それじゃあ…私お父さんに赤ちゃんの事話して来ようかな?」
「え、でもそれは二人で……」
「大丈夫よ、それより今はコナン君の相談聞いてあげる方が先決じゃない。まだ、決まってないんでしょ?進路の事…」
「蘭……本当に悪いな。」
「いいのよ、だって…大切なたった一人の弟じゃない。お兄ちゃんが力になってあげるのは、当然でしょ。」
そんな蘭の優しさに、俺は感謝している。コナンが赤ん坊の頃から一緒にいるからか…何となく、特別な感じがしていた。
コナンが困っている今でも蘭は文句を言わずに協力してくれてる事に俺はただ黙って蘭に甘えていた。
それが俺達兄弟にとって、どれだけ助かっているか…。蘭じゃなかったらと考えると、今の生活はないんじゃないかさえ思う。
そして、翌日…。
コナンはある物を持って困った表情をさせながらやって来た。
「よっ」
そう言って、俺はコナンをリビングへと誘導する。
「ごめんね、兄ちゃん…」
「気にすんなよ」
「蘭ねーちゃんは?」
「毛利のおっちゃんの所に行ってるよ…」
「え!?……僕のせい?」
俺とコナンはスリッパをパタパタと響かせながら、テーブルまでたどり着く手前で足が止まる。
気にしてるコナンの事を思いながら、俺は気にするなと言い、椅子に座らせた。
俺とコナン、向かい合って座った時……。
しばしの沈黙が流れた。
「兄ちゃん、実はね…」
そう切り出すコナンから不安いっぱいの声が漏れる。
「進路の事か?」
「うん。」
俺がその事を言うと反応する様に俯いていたコナンはハッとし顔を上げる。
「やっぱり分かってた?」
そう苦笑いを浮かべるコナンの口からゆっくりと俺にひとつの質問が投げかけられた。