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✩.*˚哀とコナンと……①✩.*˚

それから、五年後…。

コナンが12歳になった時…俺と蘭は22歳になり、ついに結婚を決めた。

蘭と俺が結婚した歳…。

コナンは素直に喜べずにいた。

10年近く一緒に住んでいた俺が、家を出て行ってしまう事に…コナンは寂しさを覚えていたのを薄々感じていた…。

「兄ちゃん、本当に結婚するの?」

コナンは俺に、懇願する様に問いかけてくる。

「何だよ、コナン…」

工藤家の廊下で、二人きりになったコナンと俺。

コナンは俺の引越しの片付けを手伝っている傍らで、だんだん悲しみが立ち込めていたのを俺は影を落とすコナンの様子で感じていた…。

「本当に、出て行っちゃうの?」
「コナン…」

自分を抑えられずに、コナンは悲しい言葉が口から出ていく。

「コナンっ!一生の別れじゃねーだぞ?悲しそうにするなよ!」
「だって…」
「それに、新居だって…遠くないんだぜ?ここからすぐ近くじゃねーか!いつでも、遊びに来い!な!?」

コナンの頭に手を置いた俺に、コナンの頬を涙が伝う。

「コナン~~」
「うっうっ…兄ちゃん、幸せになってね!!」

泣きじゃくるコナンの頭をがしがし掻きながら言うと、コナンは精一杯俺へお祝いの言葉を言ってくれた…。

そんなコナンに、俺も少しだけ目頭が熱くなったけど…俺は涙は流さなかった…。






その後、蘭が迎えに来て…俺と蘭は蘭の両親に挨拶した後、再び工藤家へ顔を出した…。

「コナン…じゃあな!元気でやれよ!」
「うん…」

俺はコナンに声を掛けるけど、コナンは俯いたまま返事だけしかしなかった。

小学生高学年になり、どんどん身長が伸びて行ったコナンの成長を、俺も少なからず微笑んでいたが。

幼い頃の甘えはまだ少し残っていた。

そんなコナンに、俺は少しばかり心配が募る。

だけど…。

「大丈夫よ!私が付いてるから!」
「あ、そうだな…」

きっと、灰原さんがいれば大丈夫だろうと…。

コナンの事を引っ張ってくれるんじゃないかと俺は密かに思っていた。

「じゃあ、私達はこれで…色々有難うございました!」
「蘭ちゃん、新一の事…宜しくね!!」
「はい!任せてくださいっ!!」
「おい、蘭…」
「新一、しっかりな!」
「ちゃんと蘭ちゃんの事エスコートするのよ!」
「分かってるよ!」

そう言って、暫く別れの言葉を交わした後…俺と蘭は、博士の運転する車で新居へと移って行った。

これから、始まる蘭との生活にうきうきしながら…それと、同時に…俺がいなくなった事で、心にぽっかり穴が空いたコナンを気になりつつ…新しい生活が始まった。
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