このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

コ蘭短編小説

寝室に、一人の少年が寝息を立てて眠っていた。

少年は、風邪を拗らせて今朝から体調が悪くなっていた。

お姉さん代わりの蘭は、朝からせかせかとコナンの看病をするも、中々熱の下がらないコナンを心配していた。


「コナン君、大丈夫!?」

そう、声を掛けながら…お水が入った洗面器を持って寝室に入っていく。

コナンは薄っすらと瞳を開けて、蘭を見つめた。

「蘭ねーちゃん………ゴホッゴホッ……大丈夫少し寝てれば…治るから………」

少しも大丈夫そうに見えない、コナンの口から大丈夫という言葉を蘭は耳にすると。

小さく微笑んで、ぬるくなったタオルをコナンの額から外す。

コナンの額を蘭の手のひらで覆いながら、熱を確かめる。

「まだ、熱高いね……さっきより、上がっちゃったかな?」

そう心配しながら、新しく替えたタオルを再度コナンの額に当てた。

「大丈夫……ご飯食べて、薬飲んだらすぐ治るから!」
「ごめんね、蘭ねーちゃん………」
「いいのよ!ちょっと待っててね!お粥作ってくるから!」
「うん!!」

蘭の後ろ姿を見送りながら、コナンは再び瞳を閉じた…。



暫くして、お粥を持って寝室にやって来た蘭は、苦しそうに熱に魘され寝ているコナンに声を掛けた。

「コナン君、起きて!お粥作って来たわよ!」
「う、ううっ……」
「少し、起きられそう?」

眉間にシワを寄せて、蘭にそう問いかけられるとゆっくり頷いた。

蘭はコナンの身体をゆっくり起こし、身体を支えると…ふーふーしながら、コナンの口元にお粥を持っていく。

「え…いいよ!」

蘭のその行為に照れ臭そうに頬を赤く染める。

「いいから、自分で食べるのも怠いんでしょ?」

そう言われながら、コナンはあーんと口を開ける。

二三度繰り返し、食べさせてくれる蘭を見るコナン。

「ら、蘭ねーちゃん………」
「どうしたの?もう、食べられない…?」

そう、不思議な顔して質問する蘭にコナンは首を横に振りながら言う。

「あ、ありがとう…」

照れながらお礼を言うコナンに、蘭は微笑んで再度口元にお粥を持っていく。



そのあと、薬を飲んだコナンは蘭によって寝かされ、布団を掛けられた。

「じゃあ、コナン君…私向こうにいるから、何かあったら言うのよ?」
「あ、蘭ねーちゃん………」
「どうしたの?」

不思議な顔をする蘭にコナンは手を差し伸べる。

「もうちょっとだけ、ここにいてくれない?」

蘭は、そう言うコナンに微笑むと差し伸べた手を握った。

「いいわよ、コナン君が眠るまでここにいてあげる!」

そう、言うと蘭は、コナンの手をしっかり握りめた。

コナンもまた、握り締められた手に安心するとゆっくり瞳を閉じた…。

いつもは、強がってばかりのコナンの甘えに、蘭は少し安心した。

「早く元気になってね、コナン君!!」

そう呟いて、眠ったコナンを見つめながら…そのまま暫く見守っていた。
8/10ページ
スキ