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☆コ哀の短編小説集☆

私達は、とうとう時間に間に合わなかった……。



「灰原、とりあえず行くぞ……」



チャイムの音に立ち止まっていた私達だったけど……突然工藤君が私の手を引っ張って歩きだした……。


私も黙って引っ張られながら、その後ろを付いて行った……。


下駄箱で靴を履き替えながら私は言った……。



「工藤君……先に行ってて……私、博士に電話して来るから……」

「じゃ、俺も一緒に行くよ……」

「貴方はいいから……あそこで私が止まらなかったら、間に合ったかも知れないんだもの……ここまで付き合ってくれてありがとう……」



そう、言葉を残すと私は工藤君に背を向けてそそくさと歩きだした……。


すると、突然…工藤君は私の手を強引に引っ張った……。



「宿題なんて……また明日持ってくればいいだろ!?とりあえず、教室いこーぜ!!」

「ちょっと……」



そういう彼に手を引かれながら、私達は教室に向かった……。


教室の前まで着くと、もう既に授業が始まっていた……。


ドキドキしながら教室の扉の前で佇んでいる私に彼は言った……。



「なんて顔してんだよ……一人じゃねーんだから、平気だって……」

「よく平気な顔して居られるわね……」

「入るぞ……」

「ちょっと……」



そういう私に声をかけると、彼は何の戸惑いもなく一年Bぐみの教室の扉を開けた……。



「あら、コナン君と灰原さん……やっぱり遅刻だったのね、お家の人に電話したら出かけたって言ってたから……」

「あっ、ちょっと寝坊しちゃって……」

「二人とも席に着いて……」



小林先生の優しい声かけに、私達は安心して自分の席へと着いた……。


二人で席に着きながら……隣の席から彼が言った……。



「なっ、心配する事なかったろ!?」



そんな彼に対して私は言った……。



「借りは後で返すから……」

「たくっ、素直じゃねーんだから……」



呆れる彼を尻目に心の中でホッとしている自分がいた……。
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