おさななじみのオベロンちゃん
「………は?」
『男の子に告白された』とオベロンちゃんに話したら、オベロンちゃんは聞いたことないような低い声で一言「は?」と言った。
そんなオベロンちゃんの様子に先程、告白されたことへの熱も引いて恐る恐る彼女を見る。
「…オベロンちゃん?」
オベロンちゃんは、笑ってもいない。怒ってもいない。感情が見えない真顔だった。…美人さんなオベロンちゃんが…こんな無表情だと…なんだか怖い……こういうのを、能面みたいな顔…というのだろうか…と頭の隅でそんなことを考えてしまった…
「…告白…?何それ…どこの、誰?」
なんだか、怒っているような声で、オベロンちゃんは聞いてきた。
「あの…同じクラスの子で…」
名前を言うと「ああ…あの子…」と言ってオベロンちゃんは眉を寄せた。
「で?立香はどうなの?その子の事、好きなの?付き合うの?」
ムスッとした、不機嫌そうな顔…こんなに、怖い顔のオベロンちゃんを見るのが初めてで…すごく、不安になりながら、私は「わ、わかんない…」と答えた。
「だって…初めてだもん…男の子から、告白されるの…」
本当に、初めての告白だったのだ。
いつだって、私の周りの男の子は、オベロンちゃんを好きになった。サラサラのプラチナブロンドのロングヘア。小さい顔の中に、長い睫毛に縁どられた綺麗な青い瞳と、小さな鼻と、ほんのりピンクの唇がバランスよく収まった愛らしい顔立ち。背も高いけれど、手足もすらりと長く伸びていて…本当に綺麗な、お姫様のような女の子。
一方私は、オベロンちゃんと本を読むのももちろん好きだけど、外で遊ぶのが好きで、スポーツが好きで、七五三の為に髪を伸ばしていた以外は、ばっさりと髪も切っていて短かかった。…中学に入ってからまた伸ばし始めて、ようやく肩に着くか付かないかくらいの長さまで伸びた髪の毛は癖が強くて、外向きにぴょんぴょん跳ねてしまうようなもの。顔立ちは、決して不細工ではないと思うけれど…それでも、オベロンちゃんに比べたら、私はどこにでもいるような平凡な顔立ちで…男の子とも友達にはなれたけれど、女の子として好きだと言われたことは、一度も無かった。
だから、今回初めて男の子からそういう意味で好きだと言われて、正直、ドキドキした。こんな私でも、女の子として見てくれる男の子がいるのだと…
私の言葉に、オベロンちゃんは「…ふーん」と言って目を細めると「ねえ、立香」と私の名前を呼んだ。
「昔、私が立香に言った言葉…覚えてる?」
…何の事だろう…オベロンちゃんとは長く一緒にいたから…どのことを言っているのかすぐには分からなくて首を傾げてしまった。
そんな私の様子にオベロンちゃんは「…忘れちゃったの?酷いなぁ、立香」と苦笑して、私の手の上に置いている方とは反対側の手を伸ばして私の頬にそっと添えた。
「…『私は立香をお嫁さんにしたい』…そう言ったよね?」
ぱち…と瞬きをする。ああ、あの時のことか…と思い出した…
まだ、小学校に入ったばかりの頃…私は、オベロンちゃんに『私が男の子だったら、オベロンちゃんにお嫁さんになってって絶対言ってた』と言って…それにオベロンちゃんが『私は立香をお嫁さんにしたいよ』と答えてくれたのだ。
「昔から、ずーっとその気持ち…変わってないよ。……私は、立香をお嫁さんにしたい」
オベロンちゃんの顔が、近付いてくる。あ…っと思った時には、鼻先がくっついてしまいそうなくらい…近くて…オベロンちゃんの吐息を感じたと思ったら唇に柔らかいものが触れていた……少しして、オベロンちゃんの顔が離れて…その、柔らかいものが…オベロンちゃんの唇だと理解するまで…時間はかからなかった…
私…今…オベロンちゃんとキス…しちゃった…?
びっくりして口元に手を当てながらオベロンちゃんをじっと見た。
「好きだよ。立香。大好き。初めて会った時から…ずっと…」
オベロンちゃんは、さっきの不機嫌そうな顔から一変していて…いつもの優しい視線の中に、熱が籠っているのがわかった。
私の頬に当てた手が、愛おしそうに撫でてくる。
「私も…」
ぽつり、と唇から言葉が零れる。
「私も、オベロンちゃんが、好き…」
昔から、オベロンちゃんが大好きだった…ずっと一緒にいたいくらい、大好きだった…
今だって、叶うのならばこれから先もオベロンちゃんとずーっと一緒にいたいと思ってる。
「でも…」
けれど、どの御伽噺でもお姫様には素敵な王子様が迎えに来るのが当たり前で…
「私…オベロンちゃんの王子様に、なれない…」
その王子様は優しくてかっこいい男の人だと相場が決まっているのだ…少なくとも、オベロンちゃんとたくさん読んだ本の中の王子様はそうだった。
私だって、頑張った。オベロンちゃんの側にいるのに、ふさわしい子になりたくて…かっこいい、王子様になりたくて…でも、なれなかった…
身長だって、オベロンちゃんの方が高くなっちゃったし、小学校5年生辺りから胸も膨らんできてしまって…どう頑張っても、男の子みたいな女の子にしかなれなかった。
それなら、せめてお姫様を守る、騎士になりたかった…王子様が現れる、その時まで…側にいられるように…
「…そう…」
再びオベロンちゃんの声が冷たくなったかと思うと、ぐいっと押されて、私はソファーに倒れこんでしまった。
「わっ!?」と衝撃に驚いて一度目を閉じたが、おそるおそる目を開けると…オベロンちゃんが片方の手は私の手を掴んで、もう片方は顔横に手を置いた体制で私を見下ろしていた。
そして、しばらくじっと見つめ合った後再び顔を近付けてきた。
「んんっ!?」
今度は、先程みたいに触れるだけの優しいキスじゃなかった。
私の唇をチュッ、チュッと音を立てて吸い、時に唇を柔く噛んだり、舌で舐めてきたりしてきた。
驚きはしたものの、初めは唇をきゅっと引き結んでいたのだが…オベロンちゃんが私の手を掴んでいた手を離し、するっとセーラー服の中に手を入れ脇腹を撫でたことでくすぐったさに負けてつい口を開けてしまった…
―――その隙を逃さないように、オベロンちゃんの舌が私の口の中に入ってきた―――
「ふっ…!?んっ!?んーーーーーっ!!」
舌をあっと言う間に絡めとられて、じゅうっと少し強めに吸われたり、オベロンちゃんの舌と私の舌がくちゅくちゅと絡み合ったり…オベロンちゃんは少しずつ唇を動かしながらもずっと私の口の中を自分の舌で蹂躙していた。
私の口からは私のかオベロンちゃんのかわからない唾液がつうーっと口の端から垂れて…漸く唇が離れていく時には私の口とオベロンちゃんの口から糸が引いていた…
息も絶え絶えな私に対して、オベロンちゃんは余裕そうな表情で、ぺろり。と唇を舐めて上体を起こすと再び私を見下ろした。
「…ああ…可愛くて、馬鹿な立香…王子様になんて、ならなくたって…私は、立香がいてくれれば…それでいいのに…」
酸素が足りなくて、ぼんやりとしながらオベロンちゃんを見ていると、彼女は私の乱れた髪を払う様に指先で米神をなぞった。その感触が心地よくて、思わず目を細めてしまう。
「………そもそもさぁ……」
オベロンちゃんが、体を離したかと思うと…ぐいっと私の片足の膝を掴んで広げその間に体を滑り込ませてきた。
私の足の間にぐいっと密着するように、オベロンちゃんが腰をくっつけてくる。
「…………王子様とか………お呼びじゃないんだよねぇ………」
……オベロンちゃんと密着している部分に…熱を持った、固いものが当たっている……。
「オ、ベロン…ちゃん…それ……何…?」
女の子ならば、あるはずのない…足の間に当たるもの…オベロンちゃんにそれが付いているなんて信じられなくて…私は言葉がつっかえてしまった…そんな私に、オベロンちゃんは楽しそうに笑いながら「これのこと?」と小首を傾げる。
「…立香は、何だと思う?」
そう言って、それをぐりっと私のお股に強く押し付けてきた。
「あんっ!」
押し付けられた場所から、びりっとした感覚が走って体が跳ねて変な声が出てしまった。恥ずかしくて手で口を押えるとオベロンちゃんは声を出して笑った。
「あはっ!敏感な所に当たっちゃった?…立香のえっちな声、可愛いね」
「もっと聞きたいなぁ」とオベロンちゃんは私の膝の裏に手を回して掴むと、腰をさらに強く押し付けて腰を動かしてきた。
「あっ…!ん…、やっ…!」
動いてこすって当たるところから、先ほどの変なのが続いて…私はお腹が内側からくすぐったいような感じになってきた…お股もむずむずして、声は抑えようとしても漏れて恥ずかしい…
「あっ…!オベロン、ちゃん…それ、やだぁ…ぁんっ…腰、動かさないでぇ…」
止めて欲しくて、オベロンちゃんの袖を掴む。恥ずかしさと変なくすぐったさで目に涙が溜まっていたようで、瞬きと一緒に目尻から涙がこぼれた。それを見てオベロンちゃんは動きを止めてくれた。
「…泣かせちゃった?…立香があんまりにも可愛いから…つい…」
「ごめんね」と私の目元を人差し指でちょっと拭ってくれる。オベロンちゃんに恥ずかしいことをされてしまったけれど、その様子になんだか怒る気持ちは湧かなかった。
オベロンちゃんは涙を拭い終ると指先を、すう…っと滑らせるように、目元から頬、頬から首筋、そして胸元まで手を持ってくると、私のスカーフを指先で掬い上げた。
「………ねぇ、立香?」
そして、上体を前屈みに倒して少し顔を近づけてきた。さらっと、オベロンちゃんの肩からプラチナブロンドの髪が零れ落ちる。
「このまま……いけないこと、しちゃおっか」
「優しくするから」と指先で、私のスカーフを弄びながらオベロンちゃんは微笑む。…その微笑みは、なんだかとっても色っぽくて…私は、すごくドキドキしてしまう。心臓はうるさいし、お腹はきゅうっとくすぐったいし…顔が、すごく熱い…
…いけないこと…って、なんだろう…
いけないこと…なんて言うのだから、それは悪いことなのかもしれない…まだ子供の私と、オベロンちゃんがしてはいけないような…でも…オベロンちゃんとなら…
「…………うん…」
首を、小さく縦に振る。そんな私を見て、オベロンちゃんは花が咲くように笑ってまたキスをした。
「嬉しいよ。立香。ずーっと、ずっと、大事にするね」
『男の子に告白された』とオベロンちゃんに話したら、オベロンちゃんは聞いたことないような低い声で一言「は?」と言った。
そんなオベロンちゃんの様子に先程、告白されたことへの熱も引いて恐る恐る彼女を見る。
「…オベロンちゃん?」
オベロンちゃんは、笑ってもいない。怒ってもいない。感情が見えない真顔だった。…美人さんなオベロンちゃんが…こんな無表情だと…なんだか怖い……こういうのを、能面みたいな顔…というのだろうか…と頭の隅でそんなことを考えてしまった…
「…告白…?何それ…どこの、誰?」
なんだか、怒っているような声で、オベロンちゃんは聞いてきた。
「あの…同じクラスの子で…」
名前を言うと「ああ…あの子…」と言ってオベロンちゃんは眉を寄せた。
「で?立香はどうなの?その子の事、好きなの?付き合うの?」
ムスッとした、不機嫌そうな顔…こんなに、怖い顔のオベロンちゃんを見るのが初めてで…すごく、不安になりながら、私は「わ、わかんない…」と答えた。
「だって…初めてだもん…男の子から、告白されるの…」
本当に、初めての告白だったのだ。
いつだって、私の周りの男の子は、オベロンちゃんを好きになった。サラサラのプラチナブロンドのロングヘア。小さい顔の中に、長い睫毛に縁どられた綺麗な青い瞳と、小さな鼻と、ほんのりピンクの唇がバランスよく収まった愛らしい顔立ち。背も高いけれど、手足もすらりと長く伸びていて…本当に綺麗な、お姫様のような女の子。
一方私は、オベロンちゃんと本を読むのももちろん好きだけど、外で遊ぶのが好きで、スポーツが好きで、七五三の為に髪を伸ばしていた以外は、ばっさりと髪も切っていて短かかった。…中学に入ってからまた伸ばし始めて、ようやく肩に着くか付かないかくらいの長さまで伸びた髪の毛は癖が強くて、外向きにぴょんぴょん跳ねてしまうようなもの。顔立ちは、決して不細工ではないと思うけれど…それでも、オベロンちゃんに比べたら、私はどこにでもいるような平凡な顔立ちで…男の子とも友達にはなれたけれど、女の子として好きだと言われたことは、一度も無かった。
だから、今回初めて男の子からそういう意味で好きだと言われて、正直、ドキドキした。こんな私でも、女の子として見てくれる男の子がいるのだと…
私の言葉に、オベロンちゃんは「…ふーん」と言って目を細めると「ねえ、立香」と私の名前を呼んだ。
「昔、私が立香に言った言葉…覚えてる?」
…何の事だろう…オベロンちゃんとは長く一緒にいたから…どのことを言っているのかすぐには分からなくて首を傾げてしまった。
そんな私の様子にオベロンちゃんは「…忘れちゃったの?酷いなぁ、立香」と苦笑して、私の手の上に置いている方とは反対側の手を伸ばして私の頬にそっと添えた。
「…『私は立香をお嫁さんにしたい』…そう言ったよね?」
ぱち…と瞬きをする。ああ、あの時のことか…と思い出した…
まだ、小学校に入ったばかりの頃…私は、オベロンちゃんに『私が男の子だったら、オベロンちゃんにお嫁さんになってって絶対言ってた』と言って…それにオベロンちゃんが『私は立香をお嫁さんにしたいよ』と答えてくれたのだ。
「昔から、ずーっとその気持ち…変わってないよ。……私は、立香をお嫁さんにしたい」
オベロンちゃんの顔が、近付いてくる。あ…っと思った時には、鼻先がくっついてしまいそうなくらい…近くて…オベロンちゃんの吐息を感じたと思ったら唇に柔らかいものが触れていた……少しして、オベロンちゃんの顔が離れて…その、柔らかいものが…オベロンちゃんの唇だと理解するまで…時間はかからなかった…
私…今…オベロンちゃんとキス…しちゃった…?
びっくりして口元に手を当てながらオベロンちゃんをじっと見た。
「好きだよ。立香。大好き。初めて会った時から…ずっと…」
オベロンちゃんは、さっきの不機嫌そうな顔から一変していて…いつもの優しい視線の中に、熱が籠っているのがわかった。
私の頬に当てた手が、愛おしそうに撫でてくる。
「私も…」
ぽつり、と唇から言葉が零れる。
「私も、オベロンちゃんが、好き…」
昔から、オベロンちゃんが大好きだった…ずっと一緒にいたいくらい、大好きだった…
今だって、叶うのならばこれから先もオベロンちゃんとずーっと一緒にいたいと思ってる。
「でも…」
けれど、どの御伽噺でもお姫様には素敵な王子様が迎えに来るのが当たり前で…
「私…オベロンちゃんの王子様に、なれない…」
その王子様は優しくてかっこいい男の人だと相場が決まっているのだ…少なくとも、オベロンちゃんとたくさん読んだ本の中の王子様はそうだった。
私だって、頑張った。オベロンちゃんの側にいるのに、ふさわしい子になりたくて…かっこいい、王子様になりたくて…でも、なれなかった…
身長だって、オベロンちゃんの方が高くなっちゃったし、小学校5年生辺りから胸も膨らんできてしまって…どう頑張っても、男の子みたいな女の子にしかなれなかった。
それなら、せめてお姫様を守る、騎士になりたかった…王子様が現れる、その時まで…側にいられるように…
「…そう…」
再びオベロンちゃんの声が冷たくなったかと思うと、ぐいっと押されて、私はソファーに倒れこんでしまった。
「わっ!?」と衝撃に驚いて一度目を閉じたが、おそるおそる目を開けると…オベロンちゃんが片方の手は私の手を掴んで、もう片方は顔横に手を置いた体制で私を見下ろしていた。
そして、しばらくじっと見つめ合った後再び顔を近付けてきた。
「んんっ!?」
今度は、先程みたいに触れるだけの優しいキスじゃなかった。
私の唇をチュッ、チュッと音を立てて吸い、時に唇を柔く噛んだり、舌で舐めてきたりしてきた。
驚きはしたものの、初めは唇をきゅっと引き結んでいたのだが…オベロンちゃんが私の手を掴んでいた手を離し、するっとセーラー服の中に手を入れ脇腹を撫でたことでくすぐったさに負けてつい口を開けてしまった…
―――その隙を逃さないように、オベロンちゃんの舌が私の口の中に入ってきた―――
「ふっ…!?んっ!?んーーーーーっ!!」
舌をあっと言う間に絡めとられて、じゅうっと少し強めに吸われたり、オベロンちゃんの舌と私の舌がくちゅくちゅと絡み合ったり…オベロンちゃんは少しずつ唇を動かしながらもずっと私の口の中を自分の舌で蹂躙していた。
私の口からは私のかオベロンちゃんのかわからない唾液がつうーっと口の端から垂れて…漸く唇が離れていく時には私の口とオベロンちゃんの口から糸が引いていた…
息も絶え絶えな私に対して、オベロンちゃんは余裕そうな表情で、ぺろり。と唇を舐めて上体を起こすと再び私を見下ろした。
「…ああ…可愛くて、馬鹿な立香…王子様になんて、ならなくたって…私は、立香がいてくれれば…それでいいのに…」
酸素が足りなくて、ぼんやりとしながらオベロンちゃんを見ていると、彼女は私の乱れた髪を払う様に指先で米神をなぞった。その感触が心地よくて、思わず目を細めてしまう。
「………そもそもさぁ……」
オベロンちゃんが、体を離したかと思うと…ぐいっと私の片足の膝を掴んで広げその間に体を滑り込ませてきた。
私の足の間にぐいっと密着するように、オベロンちゃんが腰をくっつけてくる。
「…………王子様とか………お呼びじゃないんだよねぇ………」
……オベロンちゃんと密着している部分に…熱を持った、固いものが当たっている……。
「オ、ベロン…ちゃん…それ……何…?」
女の子ならば、あるはずのない…足の間に当たるもの…オベロンちゃんにそれが付いているなんて信じられなくて…私は言葉がつっかえてしまった…そんな私に、オベロンちゃんは楽しそうに笑いながら「これのこと?」と小首を傾げる。
「…立香は、何だと思う?」
そう言って、それをぐりっと私のお股に強く押し付けてきた。
「あんっ!」
押し付けられた場所から、びりっとした感覚が走って体が跳ねて変な声が出てしまった。恥ずかしくて手で口を押えるとオベロンちゃんは声を出して笑った。
「あはっ!敏感な所に当たっちゃった?…立香のえっちな声、可愛いね」
「もっと聞きたいなぁ」とオベロンちゃんは私の膝の裏に手を回して掴むと、腰をさらに強く押し付けて腰を動かしてきた。
「あっ…!ん…、やっ…!」
動いてこすって当たるところから、先ほどの変なのが続いて…私はお腹が内側からくすぐったいような感じになってきた…お股もむずむずして、声は抑えようとしても漏れて恥ずかしい…
「あっ…!オベロン、ちゃん…それ、やだぁ…ぁんっ…腰、動かさないでぇ…」
止めて欲しくて、オベロンちゃんの袖を掴む。恥ずかしさと変なくすぐったさで目に涙が溜まっていたようで、瞬きと一緒に目尻から涙がこぼれた。それを見てオベロンちゃんは動きを止めてくれた。
「…泣かせちゃった?…立香があんまりにも可愛いから…つい…」
「ごめんね」と私の目元を人差し指でちょっと拭ってくれる。オベロンちゃんに恥ずかしいことをされてしまったけれど、その様子になんだか怒る気持ちは湧かなかった。
オベロンちゃんは涙を拭い終ると指先を、すう…っと滑らせるように、目元から頬、頬から首筋、そして胸元まで手を持ってくると、私のスカーフを指先で掬い上げた。
「………ねぇ、立香?」
そして、上体を前屈みに倒して少し顔を近づけてきた。さらっと、オベロンちゃんの肩からプラチナブロンドの髪が零れ落ちる。
「このまま……いけないこと、しちゃおっか」
「優しくするから」と指先で、私のスカーフを弄びながらオベロンちゃんは微笑む。…その微笑みは、なんだかとっても色っぽくて…私は、すごくドキドキしてしまう。心臓はうるさいし、お腹はきゅうっとくすぐったいし…顔が、すごく熱い…
…いけないこと…って、なんだろう…
いけないこと…なんて言うのだから、それは悪いことなのかもしれない…まだ子供の私と、オベロンちゃんがしてはいけないような…でも…オベロンちゃんとなら…
「…………うん…」
首を、小さく縦に振る。そんな私を見て、オベロンちゃんは花が咲くように笑ってまたキスをした。
「嬉しいよ。立香。ずーっと、ずっと、大事にするね」