おさななじみのオベロンちゃん
私にはお姫様のような幼馴染がいる。
お隣の西洋風のお家に、5歳の時に引っ越してきたオベロンちゃん。
ツヤツヤしたプラチナブロンドの髪と、透き通った青空のような瞳の、とても可愛い女の子。
引っ越ししてきた日に、お隣のお家の人が挨拶に来てくれたときにふわふわのフリルが可愛いお洋服を着たオベロンちゃんも一緒に来て、それで私たちは初めましての挨拶をして仲良くなった。
その日からオベロンちゃんと私は一番のお友達。オベロンちゃんは保育園にも幼稚園にも行ってなかったけれど、私が帰ってきたらほぼ毎日一緒に遊んだし、同じ小学校に入学してからも毎日一緒に登下校して、お互いのお家に行き来したりしてた。
「オベロンちゃんは本当に可愛いね」
その日はオベロンちゃんのお家にお邪魔して、オベロンちゃんのお部屋でおやつ食べておしゃべりをしたり、挿絵の綺麗な本を眺めていたりしていた。
「どうしたの?急に?」
突然の言葉に、オベロンちゃんは見ていた本から彼女の右隣に座っていた私に顔を向ける。さらっと肩から零れ落ちた髪がとても綺麗だな…と思った。
「んー?今ね、本を読んでいるオベロンちゃんを見ていたら改めて可愛いなぁって」
本を見ていた横顔も、今私に向けている顔もどちらもとても可愛い。
「私が男の子だったら、『お嫁さんになってください』って絶対言ってた」
私がそう言ったら、オベロンちゃんは目をまあるく見開いた。どんな顔してもすごく可愛い。
私は今でもオベロンちゃんが大好きで仕方が無いのに、男の子だったらさらにメロメロだったに違いない。
「…私は…」
オベロンちゃんは少し目線を泳がせた後、手に持っていた本を閉じて私が座る方とは反対側に置いた。そして、オベロンちゃんはもじもじと恥ずかしそうにしていたが、ぽつりと口を開く。
「私は、立香をお嫁さんにしたいよ…」
今度は私が目を大きく見開く番だった。そして、じわじわと胸がくすぐったくて顔がぽぽぽっと熱くなった。
「…嬉しい!!じゃあ、立香とオベロンちゃん両想いなんだね!!」
嬉しくて堪らなくて、私はオベロンちゃんに抱き着く。オベロンちゃんは花の様にいい香りがした。
オベロンちゃんは急に抱き着いた私にびっくりしていたけれど、すぐにぎゅうっと抱きしめ返してくれた。
可愛いオベロンちゃんが私は大好きで、オベロンちゃんも私を同じ位大好きだと言って貰えたことが嬉しかった。
でもオベロンちゃんはお姫様だから、きっといつか王子様みたいな素敵な男の子が迎えにくるのだ。
「あーあ!!やっぱり私、男の子だったらよかった!!」
そうしたら、この可愛いお姫様の王子様になれたのに!!
*
オベロンちゃんの王子様になれないと思った私は、ならばせめて王子様が現れるまでの間彼女の一番の親友で、彼女の騎士になりたいと思った。
だから騎士が題材のアニメや本をいっぱい見たり読んだりして騎士道精神のようなものを学んでみたり、子供ながらに騎士っぽさを考えた結果両親にお願いしてフェンシングを習い始めたりした。
フェンシングを習い始めた時、オベロンちゃんは「なんでフェンシング始めたの?」と驚いていたけど、私がちょっと照れながら「…オベロンちゃんの、騎士になりたいなー…って…えへへ…なんちゃって…」と言ったらますます驚いて「…私の為…?」と目を丸くした後ちょっと困ったように笑って「立香って、ちょっとずれてるよね…」って言われた。けれど耳が赤かったから照れてるのだとすぐにわかって可愛すぎてまた抱きしめてしまった。
そんな感じで、私はオベロンちゃんの騎士のように振舞って、愛らしいお姫様である彼女のできる限り近くにいた。
オベロンちゃんは小学校でも可愛くてモテモテだったけど、中学校に上がってからさらに美しさに磨きが掛かってずっと可愛くて綺麗なお姫様になった。
そんな可愛いオベロンちゃんに想いを寄せる男の子も、憧れる女の子もたくさんいた。
私はそんなオベロンちゃんの一番の親友だったから、オベロンちゃん宛の手紙を預かったり仲を取り持つように頼まれたりすることも多かった。でも、手紙は一応渡すけど積極的にオベロンちゃんとの仲を取り持つのは違うから…と自力で頑張れ!といつも応援だけしている。オベロンちゃんの王子様になりたいのなら人に頼らずに自分でどうにかして欲しい。そうでもしないと、騎士の私を超えては行けないと思うから。
「オベロンちゃんと恋人になりたいなら、まずは私を超えて見せろ!ってね!」
と言ってみたらオベロンちゃんは
「立香以上の人なんて現れないよ」
と言ってくれた。嬉しすぎて私はますますオベロンちゃんの騎士である為に鍛えようと思った。
そんな、日々を過ごしていた、ある日のことだった。
「あ、あの、藤丸さん」
オベロンちゃんの図書委員会の活動が終わるまで教室で宿題を片付けていた時だった。同じクラスの男の子に声を掛けられた。
「どうしたの?」と声を掛けたら「その、ずっと伝えたかったことがあって…」と顔を赤くしながら言われたのでお?これは告白かな?と思った。オベロンちゃんへの。オベロンちゃんは可愛いけど可愛すぎるから中々声掛けづらいよね~わかるわかる。と私のお姫様のような幼馴染の姿を頭に思い浮かべながら男の子の続きを待った。
「ずっと、好きだったんだ!」
やっぱり愛の告白だ!でもそれはオベロンちゃん本人に伝えなきゃ!私伝いには愛の言葉は届かないよ!と思っていた。そしたら…
「藤丸さんのことが!」
「………え、?私?」
*
その後の事はあまり覚えていなかった。
とりあえず、顔を真っ赤にした男の子に、オベロンちゃんではなく私がずっと好きだったと告白をされて、返事はいつでもいいとは言われたけれど自分自身に告白されたのが初めてだったものでちょっと混乱していた私は「あ、その…とりあえずお友達からで…」と答えたところまでは覚えている。その後はオベロンちゃんが教室に来るまで一人でぼーっとしてしまって気付いたらオベロンちゃんのお部屋にお邪魔していた。
「ねえ、立香…何があったの?」
いつもの定位置のふかふかのソファーに座り、私の隣にいるオベロンちゃんが心配そうに顔を覗き込んできた。
「帰り道、ずっとボーッとして…心ここに在らずって感じで…私が教室行くまで、何があったの?」
「良かったら私に話して?」と私の手の上にそっと手を重ねてくれたオベロンちゃんの手は、温かかった…
じっ…と私を見詰めるオベロンちゃんの目を見詰め返している内に段々色々と思い出して来て顔が熱くなってきた。
「オベロンちゃん…どうしよう…
私、男の子に告白されちゃった…!」
「………は?」
お隣の西洋風のお家に、5歳の時に引っ越してきたオベロンちゃん。
ツヤツヤしたプラチナブロンドの髪と、透き通った青空のような瞳の、とても可愛い女の子。
引っ越ししてきた日に、お隣のお家の人が挨拶に来てくれたときにふわふわのフリルが可愛いお洋服を着たオベロンちゃんも一緒に来て、それで私たちは初めましての挨拶をして仲良くなった。
その日からオベロンちゃんと私は一番のお友達。オベロンちゃんは保育園にも幼稚園にも行ってなかったけれど、私が帰ってきたらほぼ毎日一緒に遊んだし、同じ小学校に入学してからも毎日一緒に登下校して、お互いのお家に行き来したりしてた。
「オベロンちゃんは本当に可愛いね」
その日はオベロンちゃんのお家にお邪魔して、オベロンちゃんのお部屋でおやつ食べておしゃべりをしたり、挿絵の綺麗な本を眺めていたりしていた。
「どうしたの?急に?」
突然の言葉に、オベロンちゃんは見ていた本から彼女の右隣に座っていた私に顔を向ける。さらっと肩から零れ落ちた髪がとても綺麗だな…と思った。
「んー?今ね、本を読んでいるオベロンちゃんを見ていたら改めて可愛いなぁって」
本を見ていた横顔も、今私に向けている顔もどちらもとても可愛い。
「私が男の子だったら、『お嫁さんになってください』って絶対言ってた」
私がそう言ったら、オベロンちゃんは目をまあるく見開いた。どんな顔してもすごく可愛い。
私は今でもオベロンちゃんが大好きで仕方が無いのに、男の子だったらさらにメロメロだったに違いない。
「…私は…」
オベロンちゃんは少し目線を泳がせた後、手に持っていた本を閉じて私が座る方とは反対側に置いた。そして、オベロンちゃんはもじもじと恥ずかしそうにしていたが、ぽつりと口を開く。
「私は、立香をお嫁さんにしたいよ…」
今度は私が目を大きく見開く番だった。そして、じわじわと胸がくすぐったくて顔がぽぽぽっと熱くなった。
「…嬉しい!!じゃあ、立香とオベロンちゃん両想いなんだね!!」
嬉しくて堪らなくて、私はオベロンちゃんに抱き着く。オベロンちゃんは花の様にいい香りがした。
オベロンちゃんは急に抱き着いた私にびっくりしていたけれど、すぐにぎゅうっと抱きしめ返してくれた。
可愛いオベロンちゃんが私は大好きで、オベロンちゃんも私を同じ位大好きだと言って貰えたことが嬉しかった。
でもオベロンちゃんはお姫様だから、きっといつか王子様みたいな素敵な男の子が迎えにくるのだ。
「あーあ!!やっぱり私、男の子だったらよかった!!」
そうしたら、この可愛いお姫様の王子様になれたのに!!
*
オベロンちゃんの王子様になれないと思った私は、ならばせめて王子様が現れるまでの間彼女の一番の親友で、彼女の騎士になりたいと思った。
だから騎士が題材のアニメや本をいっぱい見たり読んだりして騎士道精神のようなものを学んでみたり、子供ながらに騎士っぽさを考えた結果両親にお願いしてフェンシングを習い始めたりした。
フェンシングを習い始めた時、オベロンちゃんは「なんでフェンシング始めたの?」と驚いていたけど、私がちょっと照れながら「…オベロンちゃんの、騎士になりたいなー…って…えへへ…なんちゃって…」と言ったらますます驚いて「…私の為…?」と目を丸くした後ちょっと困ったように笑って「立香って、ちょっとずれてるよね…」って言われた。けれど耳が赤かったから照れてるのだとすぐにわかって可愛すぎてまた抱きしめてしまった。
そんな感じで、私はオベロンちゃんの騎士のように振舞って、愛らしいお姫様である彼女のできる限り近くにいた。
オベロンちゃんは小学校でも可愛くてモテモテだったけど、中学校に上がってからさらに美しさに磨きが掛かってずっと可愛くて綺麗なお姫様になった。
そんな可愛いオベロンちゃんに想いを寄せる男の子も、憧れる女の子もたくさんいた。
私はそんなオベロンちゃんの一番の親友だったから、オベロンちゃん宛の手紙を預かったり仲を取り持つように頼まれたりすることも多かった。でも、手紙は一応渡すけど積極的にオベロンちゃんとの仲を取り持つのは違うから…と自力で頑張れ!といつも応援だけしている。オベロンちゃんの王子様になりたいのなら人に頼らずに自分でどうにかして欲しい。そうでもしないと、騎士の私を超えては行けないと思うから。
「オベロンちゃんと恋人になりたいなら、まずは私を超えて見せろ!ってね!」
と言ってみたらオベロンちゃんは
「立香以上の人なんて現れないよ」
と言ってくれた。嬉しすぎて私はますますオベロンちゃんの騎士である為に鍛えようと思った。
そんな、日々を過ごしていた、ある日のことだった。
「あ、あの、藤丸さん」
オベロンちゃんの図書委員会の活動が終わるまで教室で宿題を片付けていた時だった。同じクラスの男の子に声を掛けられた。
「どうしたの?」と声を掛けたら「その、ずっと伝えたかったことがあって…」と顔を赤くしながら言われたのでお?これは告白かな?と思った。オベロンちゃんへの。オベロンちゃんは可愛いけど可愛すぎるから中々声掛けづらいよね~わかるわかる。と私のお姫様のような幼馴染の姿を頭に思い浮かべながら男の子の続きを待った。
「ずっと、好きだったんだ!」
やっぱり愛の告白だ!でもそれはオベロンちゃん本人に伝えなきゃ!私伝いには愛の言葉は届かないよ!と思っていた。そしたら…
「藤丸さんのことが!」
「………え、?私?」
*
その後の事はあまり覚えていなかった。
とりあえず、顔を真っ赤にした男の子に、オベロンちゃんではなく私がずっと好きだったと告白をされて、返事はいつでもいいとは言われたけれど自分自身に告白されたのが初めてだったものでちょっと混乱していた私は「あ、その…とりあえずお友達からで…」と答えたところまでは覚えている。その後はオベロンちゃんが教室に来るまで一人でぼーっとしてしまって気付いたらオベロンちゃんのお部屋にお邪魔していた。
「ねえ、立香…何があったの?」
いつもの定位置のふかふかのソファーに座り、私の隣にいるオベロンちゃんが心配そうに顔を覗き込んできた。
「帰り道、ずっとボーッとして…心ここに在らずって感じで…私が教室行くまで、何があったの?」
「良かったら私に話して?」と私の手の上にそっと手を重ねてくれたオベロンちゃんの手は、温かかった…
じっ…と私を見詰めるオベロンちゃんの目を見詰め返している内に段々色々と思い出して来て顔が熱くなってきた。
「オベロンちゃん…どうしよう…
私、男の子に告白されちゃった…!」
「………は?」
1/3ページ