予算会議withトリップ主
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二番手・保健
「さて、二番手は保健委員会…なんですが…」
「何があったし」
予算会議が始まってまだ少ししか経っていないにもかかわらず、保健委員はみんなボロボロになっていた。
「ここに来る間に…まあ、その…色々と…」
「…どこかの委員会が仕掛けた罠にはまりまくったんですね…」
「おーい、喜八郎ー!あとで罠全部外しとけよ~」
「何で名指しなんです?」
暁之丞がそう言うと、綾部は首を傾げながら聞いた。
「ここに来るまでの道にまで罠を作るのはお前くらいだからだよ。外すまでしなくても、わかりやすく目印置いとけ。半分以上の罠に置いてなかったろ」
「おやまぁ」
「うっかり」と後頭部に手を当てる綾部に「『うっかり』じゃねーよ」と暁之丞は溜息を吐いた。
「たく…」
「まぁ、とりあえず保健委員会の交渉を始めましょう」
三木ヱ門の言葉に暁之丞は「そうだな」と返し、文次郎も頷いた。
「保健委員会の今期の予算だが…」
文次郎は会計委員会で制作した保健委員会の予算案を保健委員長善法寺伊作の前に置いた。
「…あれ…思ったよりも悪くない…」
予算案に目を通した伊作が意外そうに呟く。
「文次郎のことだからバッサリ削ってるかと思ったのに…」
「お前は俺を何だと思ってるんだ。まぁ、俺はもう少し削ろうとしたんだが暁之丞が…」
「暁之丞が?」
「保健委員会の予算はあまり削るべきではない。と…」
「当たり前でしょ」
文次郎の隣で暁之丞は当然という顔で腕を組んだ。
「学園の医務室の薬や包帯などの必需品は多少学園からも費用の支給があるとはいえ、八割は委員会の予算で購入しているんです。
赤字ってわけでもないのに不必要に予算を削るべきじゃない。
実技の授業や実習、鍛錬で怪我をする生徒は後を絶ちませんしね」
「でも、自分専用の救急セットを持っている生徒は多いと思いますけど…」
左門の言葉に暁之丞は「そうだな」と頷く。
「自主的に鍛錬を行う生徒…特に上級生のほとんどは自分用の救急セットを持っていたりする。俺もだ。
だが、それは擦り傷切り傷等、素人が一人でも手当てが出来る程度のもので、大きな怪我をしたら医務室に頼るしかない」
「それに」と暁之丞は続ける。
「今のご時世、何が起こるかわかったもんじゃないし、学年が上がるにつれて危険な実習だって多くなる。
…何年何組の誰々さんが大怪我として医務室に運び込まれたけれど予算が足りないせいで薬も包帯も充分に買っていませんでした。
いつもなら完備されていた薬が今回無かったせいでその誰々さんは助かりませんでした。
なーんてことになったら、洒落にならねえだろ。
そんなことにならねぇように、医務室の薬や必需品は充分に揃えておくべきだ」
「本当にいざとなった時に必要なのは金じゃなくて物資だからな」と言って暁之丞は左門に笑いかけた。
「節約、貯金ももちろん大事だけどな~使うべき時には惜しみなく使った方がいい。
金はただ貯め込むだけじゃ意味がない。
物と交換出来るから価値があるんであって、それが出来なきゃただの金属だ。
金は使ってこそ意味があると、俺は思うよ」
そう言い切った暁之丞に伊作は「はぁ~…」と感嘆したように息を吐き、会計・保健の後輩達はキラキラとした目を向けていた。
「暁之丞先輩…カッコイイ!!」
団蔵が後輩’sの気持ちを代表するように言った。
「はっはー。ありがとな団蔵」
「いやぁ…暁之丞はすごいなぁ…そんな風に考えられるなんて」
「こっちでの親父や兄貴の受け売りですよ。
それに、委員長とは考え方が食い違って言い争いになることもありますし」
「ね。潮江委員長」と暁之丞は隣の文次郎に顔を向けた。
「お前の考えは大体正しいし、一理もある。が、どれもこれも認めるわけにはいかん。
一人の意見だけだとどうしても偏りも出るしな」
毅然とした態度でそう言う文次郎に暁之丞は「さすが潮江先輩」と笑った。
「話が逸れたが、今期の保健の予算は今渡した書類通りだ。それ以上の増額は認めんぞ」
「十分だよ」
文次郎の言葉に、伊作は笑った。
「これぐらい予算があれば、薬や消耗品を減った分だけ買い足すことができる。暁之丞の進言のお陰だね」
「いやぁ…善法寺先輩、俺は自分の考えを言っただけですから」
「それでも、ありがとう。じゃ、保健委員会はこれで」
「ああ」
「お疲れ様でしたー」
伊作は立ち上がり、その場を退こうとした。
が、次の瞬間…
ツルッ
「えっ!?」
ドコッ バキャッ ズドーン
『…………………』
その場にいた会計委員・保健委員、そして少し離れた場所で自分達の番を待っていた他の委員会の者達は唖然とした表情で音の発生源を見ていた。
詳しく状況を説明すると…
足を滑らせた伊作が、体勢を崩して会計室の障子戸に突っ込んだのだ。
「……暁之丞」
「……はい」
文次郎に呼ばれて暁之丞は立ち上がり、伊作に近寄った。
「善法寺先輩…大丈夫ですか?」
「う、うん…平気だよ」
「お怪我はありませんね?よかった。で、大変申し訳ないのですが…」
「うん…」
「…障子戸の修理代…予算から引かせてもらいます」
「……うん」
保健委員会が何事もなく終わるはずがないのでした…
「さて、二番手は保健委員会…なんですが…」
「何があったし」
予算会議が始まってまだ少ししか経っていないにもかかわらず、保健委員はみんなボロボロになっていた。
「ここに来る間に…まあ、その…色々と…」
「…どこかの委員会が仕掛けた罠にはまりまくったんですね…」
「おーい、喜八郎ー!あとで罠全部外しとけよ~」
「何で名指しなんです?」
暁之丞がそう言うと、綾部は首を傾げながら聞いた。
「ここに来るまでの道にまで罠を作るのはお前くらいだからだよ。外すまでしなくても、わかりやすく目印置いとけ。半分以上の罠に置いてなかったろ」
「おやまぁ」
「うっかり」と後頭部に手を当てる綾部に「『うっかり』じゃねーよ」と暁之丞は溜息を吐いた。
「たく…」
「まぁ、とりあえず保健委員会の交渉を始めましょう」
三木ヱ門の言葉に暁之丞は「そうだな」と返し、文次郎も頷いた。
「保健委員会の今期の予算だが…」
文次郎は会計委員会で制作した保健委員会の予算案を保健委員長善法寺伊作の前に置いた。
「…あれ…思ったよりも悪くない…」
予算案に目を通した伊作が意外そうに呟く。
「文次郎のことだからバッサリ削ってるかと思ったのに…」
「お前は俺を何だと思ってるんだ。まぁ、俺はもう少し削ろうとしたんだが暁之丞が…」
「暁之丞が?」
「保健委員会の予算はあまり削るべきではない。と…」
「当たり前でしょ」
文次郎の隣で暁之丞は当然という顔で腕を組んだ。
「学園の医務室の薬や包帯などの必需品は多少学園からも費用の支給があるとはいえ、八割は委員会の予算で購入しているんです。
赤字ってわけでもないのに不必要に予算を削るべきじゃない。
実技の授業や実習、鍛錬で怪我をする生徒は後を絶ちませんしね」
「でも、自分専用の救急セットを持っている生徒は多いと思いますけど…」
左門の言葉に暁之丞は「そうだな」と頷く。
「自主的に鍛錬を行う生徒…特に上級生のほとんどは自分用の救急セットを持っていたりする。俺もだ。
だが、それは擦り傷切り傷等、素人が一人でも手当てが出来る程度のもので、大きな怪我をしたら医務室に頼るしかない」
「それに」と暁之丞は続ける。
「今のご時世、何が起こるかわかったもんじゃないし、学年が上がるにつれて危険な実習だって多くなる。
…何年何組の誰々さんが大怪我として医務室に運び込まれたけれど予算が足りないせいで薬も包帯も充分に買っていませんでした。
いつもなら完備されていた薬が今回無かったせいでその誰々さんは助かりませんでした。
なーんてことになったら、洒落にならねえだろ。
そんなことにならねぇように、医務室の薬や必需品は充分に揃えておくべきだ」
「本当にいざとなった時に必要なのは金じゃなくて物資だからな」と言って暁之丞は左門に笑いかけた。
「節約、貯金ももちろん大事だけどな~使うべき時には惜しみなく使った方がいい。
金はただ貯め込むだけじゃ意味がない。
物と交換出来るから価値があるんであって、それが出来なきゃただの金属だ。
金は使ってこそ意味があると、俺は思うよ」
そう言い切った暁之丞に伊作は「はぁ~…」と感嘆したように息を吐き、会計・保健の後輩達はキラキラとした目を向けていた。
「暁之丞先輩…カッコイイ!!」
団蔵が後輩’sの気持ちを代表するように言った。
「はっはー。ありがとな団蔵」
「いやぁ…暁之丞はすごいなぁ…そんな風に考えられるなんて」
「こっちでの親父や兄貴の受け売りですよ。
それに、委員長とは考え方が食い違って言い争いになることもありますし」
「ね。潮江委員長」と暁之丞は隣の文次郎に顔を向けた。
「お前の考えは大体正しいし、一理もある。が、どれもこれも認めるわけにはいかん。
一人の意見だけだとどうしても偏りも出るしな」
毅然とした態度でそう言う文次郎に暁之丞は「さすが潮江先輩」と笑った。
「話が逸れたが、今期の保健の予算は今渡した書類通りだ。それ以上の増額は認めんぞ」
「十分だよ」
文次郎の言葉に、伊作は笑った。
「これぐらい予算があれば、薬や消耗品を減った分だけ買い足すことができる。暁之丞の進言のお陰だね」
「いやぁ…善法寺先輩、俺は自分の考えを言っただけですから」
「それでも、ありがとう。じゃ、保健委員会はこれで」
「ああ」
「お疲れ様でしたー」
伊作は立ち上がり、その場を退こうとした。
が、次の瞬間…
ツルッ
「えっ!?」
ドコッ バキャッ ズドーン
『…………………』
その場にいた会計委員・保健委員、そして少し離れた場所で自分達の番を待っていた他の委員会の者達は唖然とした表情で音の発生源を見ていた。
詳しく状況を説明すると…
足を滑らせた伊作が、体勢を崩して会計室の障子戸に突っ込んだのだ。
「……暁之丞」
「……はい」
文次郎に呼ばれて暁之丞は立ち上がり、伊作に近寄った。
「善法寺先輩…大丈夫ですか?」
「う、うん…平気だよ」
「お怪我はありませんね?よかった。で、大変申し訳ないのですが…」
「うん…」
「…障子戸の修理代…予算から引かせてもらいます」
「……うん」
保健委員会が何事もなく終わるはずがないのでした…