「…………」
「……////」

…まず、今の状況について確認しようか。

ここは放課後の屋上。
日が傾いてきて頭上には夕焼けの空が広がっている。とても綺麗だ。

私の右手には購買部で購入したメロンパン、左手にはコーヒー牛乳。
膝の上には今度文芸部で発行するための小説の下書きが書かれたノートとシャープペンシル。
そして左隣には…


耳まで顔を赤くした同じクラスの食満留三郎


食満留三郎は所属する委員会が同じな為、クラスの中でも比較的仲が良い男子だ。
食満は顔が整っているのと、誰にでも優しい世話焼きな性格なので女子の中でも人気がある。

…そのクラスメイトが、なぜ私の隣で顔を真っ赤にしているのかというと…

さっき、私達がキスをしたからだ。


キス…と言っても、食満が私の膝の上に乗っているノートを覗き込み、そのあと顔を上げた瞬間にそこにあった私の顔とぶつかってしまっただけの、いわゆる事故チュウという奴なのだけど…

「…………」
「……////」
「……………」
「………////」

先程から食満は顔を真っ赤にしたまま固まっている。
…私としては、別に気にするほどのことでもないと思うのだけど…
私達ももう高校三年生なのだから、キスくらいでそこまで動揺しなくても…

「…食満？」
「結婚しよう!!」
「………は？」

何時までも固まったままに食満に声を掛けると、左手を握られ、そう言われた。
あまりの勢いにコーヒー牛乳を落としそうになった。

「