今なら、なんだってできそうだ
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「この問題集を三日以内に全部終わらせろよ」
「はい」
大量の問題集を受け取り、僕は担任の先生の部屋を出た。
何故、僕がこんなにたくさんの宿題を出されたかというと、夏休みの宿題が不合格だったからだ。
僕の宿題は、『タソガレドキ軍の旗を一本取ってこい』というものだった。
どさくさに紛れ、一度は手にしたものの、怪我人がいたため、その旗を包帯にして使ってしまい、不合格になった。
一度、手に入れた旗を怪我人の治療のための包帯に使ったことは後悔していない。
怪我人を手当することは僕が保健委員であるから当然のことだ。
でも…
(任務を果たすことが出来ないなんて…忍者としては失格だよなぁ…)
溜息を吐きながら歩いていたら…
「あ、伊作君!その廊下…!!」
「え?」
誰かに名前を呼ばれたと思ったら、つるっと足が滑ってしまった。
ドンッ
バサバサバサー
「いたた…」
勢いよく転んだ瞬間に、持っていた問題集が宙を舞い、僕の上に降ってきた。
……まあ、これくらいのことは日常茶飯事だから慣れてるけど…
「伊作君、大丈夫!?」
「やす菜!」
トトト…と軽い足音と共に姿を現したのは頭に三角巾を巻き、割烹着姿のやす菜。
「…その廊下、今拭き掃除したばかりで滑りやすいよって言おうとしたんだけど…遅かったね…」
「ごめんね。」と申し訳なさそうな顔をするやす菜に、僕は笑って「気にしないでいいよ。いつものことだし」と言った。
「本、拾うね。立てる?」
「ありがとう。平気だよ」
やす菜が落ちている本を拾い集める。
僕もよっこらせ。と廊下に足を着けると、本を拾った。
「それにしても…すごい数の本だね」
「ああ、これ宿題なんだ」
「宿題?」
「うん。夏休みの宿題が不合格だったから、代わりにこれをやれって言われちゃって…」
本を拾いながら、この大量の宿題をするはめになった経緯をやす菜に話した。
「宿題で取ってくるはずだったタソガレドキ軍の旗を、怪我人を手当するための包帯に使っちゃってね…ダメなんだよなぁ…怪我している人を見付けるとついつい手当しちゃって…保健委員として、それは当然のことだけど…こんなんだから僕、『忍びに向いていない』って言われちゃうんだよねぇ…」
あはは…と苦笑気味に笑う。
ふと、やす菜の方を見ると、手が止まっていた。
「?…やす菜?」
顔を上げたと同時に、頭にポンと手が置かれた。
「…伊作君がしたことは、いかなることでも任務を成功させなきゃいけないっていう、忍者としては、いけないことだったかもしれないね。」
「宿題、不合格になっちゃったしね…」とやす菜がちょっと苦笑する。
「でも…伊作君のしたことは、人としては…とても素晴らしい事だと思う。
人のために、せっかく手に入れた宿題の旗を使っちゃうなんて…中々出来る事じゃないよ!
だから…」
にっこりと、やす菜は笑った。
「私が、伊作君に花丸をあげる!伊作君、よくできました!!偉い!!」
そう言って、やす菜は僕の頭を撫でた。
それは、照れくさかったけれど…とても、嬉しかった。
今なら、なんだってできそうだ
「やす菜」
「ん?」
「ありがとう!」
「ふふっ…どういたしまして」
後書き→
「はい」
大量の問題集を受け取り、僕は担任の先生の部屋を出た。
何故、僕がこんなにたくさんの宿題を出されたかというと、夏休みの宿題が不合格だったからだ。
僕の宿題は、『タソガレドキ軍の旗を一本取ってこい』というものだった。
どさくさに紛れ、一度は手にしたものの、怪我人がいたため、その旗を包帯にして使ってしまい、不合格になった。
一度、手に入れた旗を怪我人の治療のための包帯に使ったことは後悔していない。
怪我人を手当することは僕が保健委員であるから当然のことだ。
でも…
(任務を果たすことが出来ないなんて…忍者としては失格だよなぁ…)
溜息を吐きながら歩いていたら…
「あ、伊作君!その廊下…!!」
「え?」
誰かに名前を呼ばれたと思ったら、つるっと足が滑ってしまった。
ドンッ
バサバサバサー
「いたた…」
勢いよく転んだ瞬間に、持っていた問題集が宙を舞い、僕の上に降ってきた。
……まあ、これくらいのことは日常茶飯事だから慣れてるけど…
「伊作君、大丈夫!?」
「やす菜!」
トトト…と軽い足音と共に姿を現したのは頭に三角巾を巻き、割烹着姿のやす菜。
「…その廊下、今拭き掃除したばかりで滑りやすいよって言おうとしたんだけど…遅かったね…」
「ごめんね。」と申し訳なさそうな顔をするやす菜に、僕は笑って「気にしないでいいよ。いつものことだし」と言った。
「本、拾うね。立てる?」
「ありがとう。平気だよ」
やす菜が落ちている本を拾い集める。
僕もよっこらせ。と廊下に足を着けると、本を拾った。
「それにしても…すごい数の本だね」
「ああ、これ宿題なんだ」
「宿題?」
「うん。夏休みの宿題が不合格だったから、代わりにこれをやれって言われちゃって…」
本を拾いながら、この大量の宿題をするはめになった経緯をやす菜に話した。
「宿題で取ってくるはずだったタソガレドキ軍の旗を、怪我人を手当するための包帯に使っちゃってね…ダメなんだよなぁ…怪我している人を見付けるとついつい手当しちゃって…保健委員として、それは当然のことだけど…こんなんだから僕、『忍びに向いていない』って言われちゃうんだよねぇ…」
あはは…と苦笑気味に笑う。
ふと、やす菜の方を見ると、手が止まっていた。
「?…やす菜?」
顔を上げたと同時に、頭にポンと手が置かれた。
「…伊作君がしたことは、いかなることでも任務を成功させなきゃいけないっていう、忍者としては、いけないことだったかもしれないね。」
「宿題、不合格になっちゃったしね…」とやす菜がちょっと苦笑する。
「でも…伊作君のしたことは、人としては…とても素晴らしい事だと思う。
人のために、せっかく手に入れた宿題の旗を使っちゃうなんて…中々出来る事じゃないよ!
だから…」
にっこりと、やす菜は笑った。
「私が、伊作君に花丸をあげる!伊作君、よくできました!!偉い!!」
そう言って、やす菜は僕の頭を撫でた。
それは、照れくさかったけれど…とても、嬉しかった。
今なら、なんだってできそうだ
「やす菜」
「ん?」
「ありがとう!」
「ふふっ…どういたしまして」
後書き→