竹谷くんの妹
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そんな兄や兄の友人達の心も知らずに、やす菜は中庭へと続く道を走っていた。
「もうすぐ孫先輩の所だよ!じゅんちゃん!!」
走りながらやす菜は腰に付けた虫取り用に改良した蓋付きの魚籠に声を掛けた。
するとその中から伊賀崎孫兵の愛蛇であるじゅんこが顔を出し、しゅるるるる…っと鳴いた。
その頃、中庭
「じゅんこー!!」
じゅんこの飼い主である伊賀崎孫兵が彼女を捜して名前を呼びながら植木を掻き分けたりしながら駆け回っていた。
「じゅんこ、いないね~…」
「どこ行っちゃったんだろうな~」
そして彼の級友である三反田数馬と浦風籐内も孫兵を手伝ってじゅんこを捜していた。
「左門と三之助はどこ行きやがった~!!」
そしてその傍らで一緒にじゅんこを捜していたはずが、方向音痴二人組が例のごとく迷子になってしまったのでその二人を捜索している富松作兵衛もいた。
「あー!!いた!!」
そんな中、その場には無かった少女の声が響いた。
「孫先ぱーい!!」
その声の主であると思われる少女は茂みを覗き込みじゅんこを捜している孫兵に駆け寄った。
「君は確か生物委員会の…」
「くのいち教室の竹谷やす菜です!!三反田先輩・浦風先輩こんにちわ!!」
孫兵に駆け寄ると側にいた数馬と籐内がやす菜の姿を認め、やす菜はそんな二人に元気よく挨拶をした。
「孫先輩もこんにちわ!!」
「なんだ!!やす菜、今僕は忙しい!!用事なら後にしてくれ!!ていうか、お前も僕のじゅんこをさが「その愛しのじゅんこ姫をお届けに上がりましたー!!」
言葉を遮り、顔をこちらに向けずにじゅんこ捜索を続ける孫兵に、やす菜はじゅんこの入った魚籠を顔の横に差し出した。
するとじゅんこは魚籠から孫兵の首へと巻き付いた。
「じゅっ…じゅんこぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
孫兵はようやく再会することの出来た愛しい蝮のじゅんこを潰さない程度の力加減でひっしっと抱き締める。
じゅんこはそんな孫兵の抱擁に応えるようにチロチロと赤い舌で彼の頬を舐めた。
「よかったですねぇ、孫先輩。じゅんちゃんも、もう勝手に逃げ出したりしちゃあダメだよ」
「孫先輩は君が居なくなると死ぬほど心配するんだから。」と言ってやす菜はじゅんこの頭を指先で撫でるとじゅんこは気持ちよさそうに目を細めた。
「お、じゅんこ見つかったのか」
そこに迷子二人組を捜していた作兵衛がやって来た。
「ああ。生物のくのたまの子が連れてきてくれたよ」
「お、やす菜じゃねぇか」
「富松先輩こんにちわー!!」
生物委員の虫籠などを用具委員に修理して貰ったりしていたので富松とやす菜は顔見知りだった。
「そっちは三之助が見つかったんだね」
その手には三之助に繋がれた縄を手にしていた。
「つぎゃー先輩もこんにちわー!!」
「おう」
「つぎゃーじゃなくて次屋だよ」
三之助の苗字の言い間違いを数馬がさりげなく訂正する。
「けど左門がまだ見つかんねぇ…」
「まったく、どこ行きやがった…」と作兵衛は溜息を吐いた。
「神崎先輩ですか?ならあたしいる場所分かるかもしれませんよ」
「本当か!?」
やす菜の言葉に作兵衛が反応する。
「はい!こっちです!!」
やす菜が方向を指差しながら走り出す。
作兵衛達もその後についていった。
「あ、ちょっとストップ!!」
しばらく走った所でやす菜が立ち止まった。それに続き、富松達も立ち止まる。
「おい、どうした「しっ」
立ち止まった理由を聞こうと作兵衛が声を掛けようとしたがやす菜は人差し指を口に当ててそれを制した。
そして…
「近い…」
しばらく黙って耳を澄ました後、そう呟いた。
すると、ズダダダダダダダダっと他の三年生にも聞こえるくらいにまで走ってくる音が近付いてきていた。
「あ!!来た!!」
うおおおおおおおお!!と勢いよく走る神崎左門の姿が見えた。
丁度、こちらの前を通りそうだ。すると…
「とぉ!!」
「え!?」
タイミングを見計らってやす菜が廊下の床を蹴り庭に飛び出した。
「うおっ!?」
そして目の前を通りかかった左門にタックルをかますと同時にがっちりと抱きつき、その勢いで左門とやす菜は庭園をゴロゴロと転がった。
「やす菜ー!?」
「さもーん!?」
その情景に作兵衛・籐内・数馬が二人の名前を叫ぶ。
「ななな、なんなんだー!?いきなりー!!」
「捕まえました!!神崎先輩!!」
「む、やす菜じゃないか!!なんなんだいきなり抱きついてきたりして!!女が男にいきなり抱きつくなんてはしたないぞ!!離れろ!!」
「もうしわけありませんが、それはできません!!」
「何故だ!?」
「離れたら神崎先輩、どっか行っちゃうでしょう?」
ギュッと抱きつく腕に力を込める。
「(また捜すことになって大変だから)お願いだからどこにも行かないで下さい!!」
「よしわかった!結婚しよう!!」
「何でそうなる!!?」
二人に駆け寄った作兵衛が「アホかー!!」と左門の頭をボカッと叩く。
「痛いじゃないか!!作兵衛!!」
「やかましい!!勝手に居なくなった上に何寝言ほざいてるんだ!!」
「寝言じゃない!!僕は今やす菜から『生涯ずっと私の側に居て下さい』とプロポーズされたばかりだ!!」
「そんな要素がどこにあった!?」
作兵衛と左門がギャーギャー言い合っていると孫兵が近付いてまだ左門に張り付いていたやす菜を突いた。
「作兵衛が来たからもう左門を押さえていなくて良いぞ」
「あ、はーい!」
やす菜は左門から手を外して立ち上がった。
その服に付いた土を孫兵が軽く叩いてやった。
「相変わらず突然驚くような行動をするな。曲がりなりにも女なんだから少しくらい気を使った方がいいぞ?」
「あははー、すみません」
「孫兵が女の子に優しくしてる…!?」
「あの毒を持っている生き物以外に興味を示さない孫兵が…!?」
「何て珍しい…」
孫兵のやす菜への接し方に、数馬と籐内が意外そうに呟く。
「ほら、綺麗になったぞ」
「ありがとうございます。孫先輩」
「いや、僕の方こそ…じゅんこを見付けてくれて感謝する。…そうだ」
孫兵は懐から小さな袋を取り出した。
「これ」
「う?」
孫兵が包みを差し出し、やす菜は反射的に手を出した。
ちょこん。とその手の上に袋を乗せる。
「何ですか?これ…おほー!」
袋を開けて中身を見たやす菜は兄譲りの変わった口癖を言って目を輝かせた。
「金平糖だぁ!!」
「やす菜は甘い物好きだろ?やろう」
「い、いいんですか?」
「ああ。じゅんこを見付けて送り届けてくれた礼だ」
「わぁ…ありがとうございます!!」
頭を下げながらお礼を言うと、金平糖を一粒摘み口に入れた。
「~~~~~おいしーい!!」
「もう食べるのか。早いな…」
「孫先輩!!この金平糖、すっごくおいしいです!!」
「そうか。よかったな」
「はい!!」
幸せそうに金平糖を食べるやす菜を見ている孫兵の顔が心なしか優しい。
「孫兵が…!!じゅんこたち以外にあんな表情をするなんて…!!」
「ちょっ…何あれぇぇぇぇぇ!?幻覚!?夢!?え?僕寝ているの?」
「おおお、落ち着け!!数馬!!これは現実だ!!多分!!」
「…なんだ、騒がしい…」
いつもと違う孫兵の姿に、籐内・数馬・作兵衛が少し離れた場所で慌ててた。
それを孫兵は怪訝そうな顔で見ていた。
やす菜はポリポリと幸せそうに金平糖を数粒食べた後、袋の口を縛った。
「?何だ、もう食べないのか?」
「一気に食べちゃうの、もったいないから…少しずつ大事に食べます」
いそいそと懐に入れ、大事そうに上から押さえる。
「孫先輩、ごちそうさまです」
「…金平糖くらいで、大袈裟だなぁ」
本当に嬉しそうに笑っているやす菜に孫兵はちょっと笑って頭を撫でた。
「じゃ、また委員会で!!」
「ああ、またな」
ブンブンと手を振りながらやす菜は走って去っていった。
それに孫兵は「転ぶなよ」と言いながら軽く手を振り替えした。
「ま、孫兵…」
「?何だ、籐内」
「孫兵は…その…いまの子のこと…好きなのか?」
やす菜に対する孫兵の態度が怖いくらい優しかったので、籐内が恐怖半分、好奇心半分で聞いてみた。
「は?僕がやす菜を?なんでそうなる」
「だって…なんか孫兵あの子に対して異様に優しかったから…」
「え、そうか?…そうだな…やす菜は見てると…」
「見ていると…?」
「見ていると、無性に…
食べ物を与えたくなる」
「……………それって、ペット扱いって事じゃね?」
「そうみたい…」
「もうすぐ孫先輩の所だよ!じゅんちゃん!!」
走りながらやす菜は腰に付けた虫取り用に改良した蓋付きの魚籠に声を掛けた。
するとその中から伊賀崎孫兵の愛蛇であるじゅんこが顔を出し、しゅるるるる…っと鳴いた。
その頃、中庭
「じゅんこー!!」
じゅんこの飼い主である伊賀崎孫兵が彼女を捜して名前を呼びながら植木を掻き分けたりしながら駆け回っていた。
「じゅんこ、いないね~…」
「どこ行っちゃったんだろうな~」
そして彼の級友である三反田数馬と浦風籐内も孫兵を手伝ってじゅんこを捜していた。
「左門と三之助はどこ行きやがった~!!」
そしてその傍らで一緒にじゅんこを捜していたはずが、方向音痴二人組が例のごとく迷子になってしまったのでその二人を捜索している富松作兵衛もいた。
「あー!!いた!!」
そんな中、その場には無かった少女の声が響いた。
「孫先ぱーい!!」
その声の主であると思われる少女は茂みを覗き込みじゅんこを捜している孫兵に駆け寄った。
「君は確か生物委員会の…」
「くのいち教室の竹谷やす菜です!!三反田先輩・浦風先輩こんにちわ!!」
孫兵に駆け寄ると側にいた数馬と籐内がやす菜の姿を認め、やす菜はそんな二人に元気よく挨拶をした。
「孫先輩もこんにちわ!!」
「なんだ!!やす菜、今僕は忙しい!!用事なら後にしてくれ!!ていうか、お前も僕のじゅんこをさが「その愛しのじゅんこ姫をお届けに上がりましたー!!」
言葉を遮り、顔をこちらに向けずにじゅんこ捜索を続ける孫兵に、やす菜はじゅんこの入った魚籠を顔の横に差し出した。
するとじゅんこは魚籠から孫兵の首へと巻き付いた。
「じゅっ…じゅんこぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
孫兵はようやく再会することの出来た愛しい蝮のじゅんこを潰さない程度の力加減でひっしっと抱き締める。
じゅんこはそんな孫兵の抱擁に応えるようにチロチロと赤い舌で彼の頬を舐めた。
「よかったですねぇ、孫先輩。じゅんちゃんも、もう勝手に逃げ出したりしちゃあダメだよ」
「孫先輩は君が居なくなると死ぬほど心配するんだから。」と言ってやす菜はじゅんこの頭を指先で撫でるとじゅんこは気持ちよさそうに目を細めた。
「お、じゅんこ見つかったのか」
そこに迷子二人組を捜していた作兵衛がやって来た。
「ああ。生物のくのたまの子が連れてきてくれたよ」
「お、やす菜じゃねぇか」
「富松先輩こんにちわー!!」
生物委員の虫籠などを用具委員に修理して貰ったりしていたので富松とやす菜は顔見知りだった。
「そっちは三之助が見つかったんだね」
その手には三之助に繋がれた縄を手にしていた。
「つぎゃー先輩もこんにちわー!!」
「おう」
「つぎゃーじゃなくて次屋だよ」
三之助の苗字の言い間違いを数馬がさりげなく訂正する。
「けど左門がまだ見つかんねぇ…」
「まったく、どこ行きやがった…」と作兵衛は溜息を吐いた。
「神崎先輩ですか?ならあたしいる場所分かるかもしれませんよ」
「本当か!?」
やす菜の言葉に作兵衛が反応する。
「はい!こっちです!!」
やす菜が方向を指差しながら走り出す。
作兵衛達もその後についていった。
「あ、ちょっとストップ!!」
しばらく走った所でやす菜が立ち止まった。それに続き、富松達も立ち止まる。
「おい、どうした「しっ」
立ち止まった理由を聞こうと作兵衛が声を掛けようとしたがやす菜は人差し指を口に当ててそれを制した。
そして…
「近い…」
しばらく黙って耳を澄ました後、そう呟いた。
すると、ズダダダダダダダダっと他の三年生にも聞こえるくらいにまで走ってくる音が近付いてきていた。
「あ!!来た!!」
うおおおおおおおお!!と勢いよく走る神崎左門の姿が見えた。
丁度、こちらの前を通りそうだ。すると…
「とぉ!!」
「え!?」
タイミングを見計らってやす菜が廊下の床を蹴り庭に飛び出した。
「うおっ!?」
そして目の前を通りかかった左門にタックルをかますと同時にがっちりと抱きつき、その勢いで左門とやす菜は庭園をゴロゴロと転がった。
「やす菜ー!?」
「さもーん!?」
その情景に作兵衛・籐内・数馬が二人の名前を叫ぶ。
「ななな、なんなんだー!?いきなりー!!」
「捕まえました!!神崎先輩!!」
「む、やす菜じゃないか!!なんなんだいきなり抱きついてきたりして!!女が男にいきなり抱きつくなんてはしたないぞ!!離れろ!!」
「もうしわけありませんが、それはできません!!」
「何故だ!?」
「離れたら神崎先輩、どっか行っちゃうでしょう?」
ギュッと抱きつく腕に力を込める。
「(また捜すことになって大変だから)お願いだからどこにも行かないで下さい!!」
「よしわかった!結婚しよう!!」
「何でそうなる!!?」
二人に駆け寄った作兵衛が「アホかー!!」と左門の頭をボカッと叩く。
「痛いじゃないか!!作兵衛!!」
「やかましい!!勝手に居なくなった上に何寝言ほざいてるんだ!!」
「寝言じゃない!!僕は今やす菜から『生涯ずっと私の側に居て下さい』とプロポーズされたばかりだ!!」
「そんな要素がどこにあった!?」
作兵衛と左門がギャーギャー言い合っていると孫兵が近付いてまだ左門に張り付いていたやす菜を突いた。
「作兵衛が来たからもう左門を押さえていなくて良いぞ」
「あ、はーい!」
やす菜は左門から手を外して立ち上がった。
その服に付いた土を孫兵が軽く叩いてやった。
「相変わらず突然驚くような行動をするな。曲がりなりにも女なんだから少しくらい気を使った方がいいぞ?」
「あははー、すみません」
「孫兵が女の子に優しくしてる…!?」
「あの毒を持っている生き物以外に興味を示さない孫兵が…!?」
「何て珍しい…」
孫兵のやす菜への接し方に、数馬と籐内が意外そうに呟く。
「ほら、綺麗になったぞ」
「ありがとうございます。孫先輩」
「いや、僕の方こそ…じゅんこを見付けてくれて感謝する。…そうだ」
孫兵は懐から小さな袋を取り出した。
「これ」
「う?」
孫兵が包みを差し出し、やす菜は反射的に手を出した。
ちょこん。とその手の上に袋を乗せる。
「何ですか?これ…おほー!」
袋を開けて中身を見たやす菜は兄譲りの変わった口癖を言って目を輝かせた。
「金平糖だぁ!!」
「やす菜は甘い物好きだろ?やろう」
「い、いいんですか?」
「ああ。じゅんこを見付けて送り届けてくれた礼だ」
「わぁ…ありがとうございます!!」
頭を下げながらお礼を言うと、金平糖を一粒摘み口に入れた。
「~~~~~おいしーい!!」
「もう食べるのか。早いな…」
「孫先輩!!この金平糖、すっごくおいしいです!!」
「そうか。よかったな」
「はい!!」
幸せそうに金平糖を食べるやす菜を見ている孫兵の顔が心なしか優しい。
「孫兵が…!!じゅんこたち以外にあんな表情をするなんて…!!」
「ちょっ…何あれぇぇぇぇぇ!?幻覚!?夢!?え?僕寝ているの?」
「おおお、落ち着け!!数馬!!これは現実だ!!多分!!」
「…なんだ、騒がしい…」
いつもと違う孫兵の姿に、籐内・数馬・作兵衛が少し離れた場所で慌ててた。
それを孫兵は怪訝そうな顔で見ていた。
やす菜はポリポリと幸せそうに金平糖を数粒食べた後、袋の口を縛った。
「?何だ、もう食べないのか?」
「一気に食べちゃうの、もったいないから…少しずつ大事に食べます」
いそいそと懐に入れ、大事そうに上から押さえる。
「孫先輩、ごちそうさまです」
「…金平糖くらいで、大袈裟だなぁ」
本当に嬉しそうに笑っているやす菜に孫兵はちょっと笑って頭を撫でた。
「じゃ、また委員会で!!」
「ああ、またな」
ブンブンと手を振りながらやす菜は走って去っていった。
それに孫兵は「転ぶなよ」と言いながら軽く手を振り替えした。
「ま、孫兵…」
「?何だ、籐内」
「孫兵は…その…いまの子のこと…好きなのか?」
やす菜に対する孫兵の態度が怖いくらい優しかったので、籐内が恐怖半分、好奇心半分で聞いてみた。
「は?僕がやす菜を?なんでそうなる」
「だって…なんか孫兵あの子に対して異様に優しかったから…」
「え、そうか?…そうだな…やす菜は見てると…」
「見ていると…?」
「見ていると、無性に…
食べ物を与えたくなる」
「……………それって、ペット扱いって事じゃね?」
「そうみたい…」