言葉は同じだけれど…
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「…どうしよう…」
私は今、穴の中にいる。
四年生の忍たま長屋に行く途中、落とし穴に落ちてしまったのだ…
今までも何度か落ちてしまったことはあるが、今回の穴は深く、入り口に手が届かない。
よじ登ろうとしても土が崩れてしまい上れなかった。
「……………どうしよう…」
切り取られた空を見上げ、溜息を吐く。
「誰かー!いませんかー?」
声を上げて助けを求める。
何度か繰り返していると「誰か居るのか?」と外から声が聞こえ、穴の中を覗き込んだ。
「滝夜叉丸君!!」
「やす菜さん!?」
驚く滝夜叉丸君に助けを求めると、「掴まって下さい」と手を伸ばされた。
その手を取り、引っ張ってもらい穴を出た。
「ありがとう。助かったわ」
「いえ。災難でしたね」
服に付いていた土を払いながら「まだ目印覚えられなくて…」と苦笑する。
「そういえば、やす菜さんは何故ここに?ここは我々四年生の忍たま長屋に通じる道ですが…」
「三木ヱ門君に用があったの」
「三木ヱ門に?」
「うん。四年ろ組の先生に伝言を頼まれて」
「では、私も一緒に行きましょう」
「また蛸壺に落ちてしまわないか心配ですし…」と言う滝夜叉丸君に「そうねぇ」笑う。
「じゃあ、お願いします」
「はい!この滝夜叉丸が責任を持ってご案内致しましょう!!」
滝夜叉丸君と一緒に、三木ヱ門君の部屋に向かう。
だが、部屋に着く前に目的の人物の姿を見付けた。
「三木ヱ門君!」
「ん?あ、やす菜さん!?」
見ると、喜八郎君とタカ丸君もいた。
「やぁ、やす菜ちゃん」
「こんにちわ。やす菜さん」
「こんにちわ。喜八郎君、タカ丸君」
2人と挨拶を交わすと、タカ丸君に「何か用事?」と聞かれた。
「うん。三木ヱ門君に」
「私に?」
「うん。担任の先生からの伝言なんだけど…」
三木ヱ門君に伝言の内容を伝えていると、ちょいちょいと袖を引っ張られた。
「なぁに?喜八郎君」
「やす菜さんもお茶飲みませんか?」
「お茶?」
「はい。今、私達お茶してたんですよ」
言われてみれば、彼らの側に湯呑みやお茶菓子が置かれている。
「滝夜叉丸君も来たことだし、5人でお茶会しよーよ!」
「いいですね」
「…私がお邪魔しちゃってもいいの?」
「「「「もちろんです(だよ)!!」」」」
4人が一緒に頷く。それが嬉しくて思わず顔が緩んだ。
「じゃ、お言葉に甘えてお邪魔します」
私は喜八郎君の隣に腰を降ろし、滝夜叉丸君も私の隣に座った。
「どうぞ、やす菜さん」
「ありがとう」
三木ヱ門君からお茶を受け取り、息を吹きかけ少し冷ましてから一口飲む。
「美味しい!三木ヱ門君ってお茶淹れるの上手なのね!」
「いやぁ…はは」
三木ヱ門君は照れて、頭の後ろを掻いた。
「褒めすぎですよ。やす菜さんの淹れてくれるお茶の足下にも及ばない」
「何だと!?滝夜叉丸!!」
喧嘩を始めようとした2人を「こーらっ!」と注意をする。
「喧嘩はダメよ!!せっかくみんなでお茶会しているんだから、仲良くね?」
そう言うと2人は素直に「はい…」と頷いてくれた。それに笑って頷く。
「そういえば、やす菜さん…服や髪が汚れていますけど…どうなさったんですか?」
「あ、これはね…」
「喜八郎の掘った蛸壺に落ちたんだ」
三木ヱ門君の質問に、私の代わりに滝夜叉丸君が答えてくれた。
「おやまぁ」
「だから髪が汚れちゃっていたんだね~」
「ずっと気になってたんだよ~」とタカ丸君が体を乗り出して私を見る。
「よかったら髪を整えさせて貰えないかな?」
「え、いいの?」
「君の綺麗な髪が汚れたままだなんて見ていられないんだよ!!」
拳を握って言うタカ丸君に、「じゃぁ、お願いしてもいい?」と言うと、パッと笑って「まかせて!!」と頷いた。
「じゃ、始めるよ~」
私の後ろにタカ丸君は移動すると懐から櫛を取り出し私の髪に櫛を挿した。
するすると、髪に櫛の通る感触が伝わってくる。
タカ丸君はとても丁寧に髪を梳かしてくれる。
「本当に綺麗な髪だよね~」
手を止めずにタカ丸君が言う。
「櫛が全然引っかからない…手触りも、すっごくいいね~」
うっとりと呟くタカ丸君に、なんだかくすぐったい気持ちになる。
「特別、お手入れとかしてないんだけど…」
「え~!?嘘ぉ!!」
「ホントホント」
毎日普通に髪を洗って、丁寧に水気を拭うくらい。そのまま自然乾燥で乾かすと、あとは櫛で梳かすだけで十分形になる。
「それでこの髪はすごいよ~!!」
「元が丈夫なのかも」
多少乱雑に扱ってもへっちゃらなのだ。
「じゃあ、今度から僕にお手入れさせてよ!!」
「え?」
少し首を動かし、タカ丸君を見る。
「今日からでも、僕に君の髪のお手入れさせてほしいなぁ~って。だめ?」
首を傾げ、伺うように私を見るタカ丸君に、「ダメじゃないよ」と首を振る
「でも、タカ丸君が大変じゃない?」
「全然!!大変なんかじゃないよ~!!
寧ろ僕、やす菜ちゃんの髪、大好きだから、自分の手で今よりもっと綺麗に出来ると思うと、幸せなんだぁ…」
へにゃりと笑って言われたタカ丸君の言葉に、顔が熱くなる。
「タ…タカ丸君が、大丈夫なら…」
「お願いします…」と言うと、タカ丸君は「うん!」嬉しそうに笑った。
「立花仙蔵君にも負けないくらいの髪にしてみせるよ!!」
「え~?仙蔵君に勝てるかなぁ?」
「大丈夫!勝てるって!!」
笑いながらタカ丸君と話していると、喜八郎君が腕に抱きついてきた。
「…喜八郎君?」
「タカ丸さんばかり、ずるいですよ」
ギュウッ…と腕の力を強め、私の肩に頭を乗せた。
…喜八郎君のふわふわの髪が、ちょっとくすぐったい。
「やす菜さん。ちゃんと私の事もかまってください。でないと…私、拗ねちゃいますよ?」
喜八郎君が、じ…っと、上目遣いで私を見上げてくる。
(…可愛い…!)
その姿に、ちょっとキュンとした。
「お前も何抱きついているのだ!!」
ベリッと喜八郎君が引き剥がされる。
「滝、何するのさ」
「いつまでもやす菜さんにベタベタ触れているんじゃない!!」
「そうだ!喜八郎もタカ丸さんもずるいぞ!!」
ぷんぷん!と怒る滝夜叉丸君と三木ヱ門君。
「えへへ~だって~」
「私達」
「やす菜ちゃんの事が」
「大好きなんだもの」
「ね~」
顔を見合わせて首を傾げる喜八郎君とタカ丸君
「そんなの!」
「私達だって!!」
「「やす菜さんが大好きだ!!
…あっ!!」」
滝夜叉丸君と三木ヱ門君は2人にそう言い返した。
だが、言った直後にカァ…っと顔が赤くなる。
そんな2人が可愛くて、思わず笑みを零す。
「ありがとう。私も、みんなのこと大好きよ」
そう言うと、彼らはちょっと照れたように微笑んでくれた。
言葉は同じだけれど…
(私達の『大好き』は)
(貴女の言ってくれた『大好き』とは)
(意味が違うんだけど…)
(まあ…いいか)
後書き→
私は今、穴の中にいる。
四年生の忍たま長屋に行く途中、落とし穴に落ちてしまったのだ…
今までも何度か落ちてしまったことはあるが、今回の穴は深く、入り口に手が届かない。
よじ登ろうとしても土が崩れてしまい上れなかった。
「……………どうしよう…」
切り取られた空を見上げ、溜息を吐く。
「誰かー!いませんかー?」
声を上げて助けを求める。
何度か繰り返していると「誰か居るのか?」と外から声が聞こえ、穴の中を覗き込んだ。
「滝夜叉丸君!!」
「やす菜さん!?」
驚く滝夜叉丸君に助けを求めると、「掴まって下さい」と手を伸ばされた。
その手を取り、引っ張ってもらい穴を出た。
「ありがとう。助かったわ」
「いえ。災難でしたね」
服に付いていた土を払いながら「まだ目印覚えられなくて…」と苦笑する。
「そういえば、やす菜さんは何故ここに?ここは我々四年生の忍たま長屋に通じる道ですが…」
「三木ヱ門君に用があったの」
「三木ヱ門に?」
「うん。四年ろ組の先生に伝言を頼まれて」
「では、私も一緒に行きましょう」
「また蛸壺に落ちてしまわないか心配ですし…」と言う滝夜叉丸君に「そうねぇ」笑う。
「じゃあ、お願いします」
「はい!この滝夜叉丸が責任を持ってご案内致しましょう!!」
滝夜叉丸君と一緒に、三木ヱ門君の部屋に向かう。
だが、部屋に着く前に目的の人物の姿を見付けた。
「三木ヱ門君!」
「ん?あ、やす菜さん!?」
見ると、喜八郎君とタカ丸君もいた。
「やぁ、やす菜ちゃん」
「こんにちわ。やす菜さん」
「こんにちわ。喜八郎君、タカ丸君」
2人と挨拶を交わすと、タカ丸君に「何か用事?」と聞かれた。
「うん。三木ヱ門君に」
「私に?」
「うん。担任の先生からの伝言なんだけど…」
三木ヱ門君に伝言の内容を伝えていると、ちょいちょいと袖を引っ張られた。
「なぁに?喜八郎君」
「やす菜さんもお茶飲みませんか?」
「お茶?」
「はい。今、私達お茶してたんですよ」
言われてみれば、彼らの側に湯呑みやお茶菓子が置かれている。
「滝夜叉丸君も来たことだし、5人でお茶会しよーよ!」
「いいですね」
「…私がお邪魔しちゃってもいいの?」
「「「「もちろんです(だよ)!!」」」」
4人が一緒に頷く。それが嬉しくて思わず顔が緩んだ。
「じゃ、お言葉に甘えてお邪魔します」
私は喜八郎君の隣に腰を降ろし、滝夜叉丸君も私の隣に座った。
「どうぞ、やす菜さん」
「ありがとう」
三木ヱ門君からお茶を受け取り、息を吹きかけ少し冷ましてから一口飲む。
「美味しい!三木ヱ門君ってお茶淹れるの上手なのね!」
「いやぁ…はは」
三木ヱ門君は照れて、頭の後ろを掻いた。
「褒めすぎですよ。やす菜さんの淹れてくれるお茶の足下にも及ばない」
「何だと!?滝夜叉丸!!」
喧嘩を始めようとした2人を「こーらっ!」と注意をする。
「喧嘩はダメよ!!せっかくみんなでお茶会しているんだから、仲良くね?」
そう言うと2人は素直に「はい…」と頷いてくれた。それに笑って頷く。
「そういえば、やす菜さん…服や髪が汚れていますけど…どうなさったんですか?」
「あ、これはね…」
「喜八郎の掘った蛸壺に落ちたんだ」
三木ヱ門君の質問に、私の代わりに滝夜叉丸君が答えてくれた。
「おやまぁ」
「だから髪が汚れちゃっていたんだね~」
「ずっと気になってたんだよ~」とタカ丸君が体を乗り出して私を見る。
「よかったら髪を整えさせて貰えないかな?」
「え、いいの?」
「君の綺麗な髪が汚れたままだなんて見ていられないんだよ!!」
拳を握って言うタカ丸君に、「じゃぁ、お願いしてもいい?」と言うと、パッと笑って「まかせて!!」と頷いた。
「じゃ、始めるよ~」
私の後ろにタカ丸君は移動すると懐から櫛を取り出し私の髪に櫛を挿した。
するすると、髪に櫛の通る感触が伝わってくる。
タカ丸君はとても丁寧に髪を梳かしてくれる。
「本当に綺麗な髪だよね~」
手を止めずにタカ丸君が言う。
「櫛が全然引っかからない…手触りも、すっごくいいね~」
うっとりと呟くタカ丸君に、なんだかくすぐったい気持ちになる。
「特別、お手入れとかしてないんだけど…」
「え~!?嘘ぉ!!」
「ホントホント」
毎日普通に髪を洗って、丁寧に水気を拭うくらい。そのまま自然乾燥で乾かすと、あとは櫛で梳かすだけで十分形になる。
「それでこの髪はすごいよ~!!」
「元が丈夫なのかも」
多少乱雑に扱ってもへっちゃらなのだ。
「じゃあ、今度から僕にお手入れさせてよ!!」
「え?」
少し首を動かし、タカ丸君を見る。
「今日からでも、僕に君の髪のお手入れさせてほしいなぁ~って。だめ?」
首を傾げ、伺うように私を見るタカ丸君に、「ダメじゃないよ」と首を振る
「でも、タカ丸君が大変じゃない?」
「全然!!大変なんかじゃないよ~!!
寧ろ僕、やす菜ちゃんの髪、大好きだから、自分の手で今よりもっと綺麗に出来ると思うと、幸せなんだぁ…」
へにゃりと笑って言われたタカ丸君の言葉に、顔が熱くなる。
「タ…タカ丸君が、大丈夫なら…」
「お願いします…」と言うと、タカ丸君は「うん!」嬉しそうに笑った。
「立花仙蔵君にも負けないくらいの髪にしてみせるよ!!」
「え~?仙蔵君に勝てるかなぁ?」
「大丈夫!勝てるって!!」
笑いながらタカ丸君と話していると、喜八郎君が腕に抱きついてきた。
「…喜八郎君?」
「タカ丸さんばかり、ずるいですよ」
ギュウッ…と腕の力を強め、私の肩に頭を乗せた。
…喜八郎君のふわふわの髪が、ちょっとくすぐったい。
「やす菜さん。ちゃんと私の事もかまってください。でないと…私、拗ねちゃいますよ?」
喜八郎君が、じ…っと、上目遣いで私を見上げてくる。
(…可愛い…!)
その姿に、ちょっとキュンとした。
「お前も何抱きついているのだ!!」
ベリッと喜八郎君が引き剥がされる。
「滝、何するのさ」
「いつまでもやす菜さんにベタベタ触れているんじゃない!!」
「そうだ!喜八郎もタカ丸さんもずるいぞ!!」
ぷんぷん!と怒る滝夜叉丸君と三木ヱ門君。
「えへへ~だって~」
「私達」
「やす菜ちゃんの事が」
「大好きなんだもの」
「ね~」
顔を見合わせて首を傾げる喜八郎君とタカ丸君
「そんなの!」
「私達だって!!」
「「やす菜さんが大好きだ!!
…あっ!!」」
滝夜叉丸君と三木ヱ門君は2人にそう言い返した。
だが、言った直後にカァ…っと顔が赤くなる。
そんな2人が可愛くて、思わず笑みを零す。
「ありがとう。私も、みんなのこと大好きよ」
そう言うと、彼らはちょっと照れたように微笑んでくれた。
言葉は同じだけれど…
(私達の『大好き』は)
(貴女の言ってくれた『大好き』とは)
(意味が違うんだけど…)
(まあ…いいか)
後書き→