友人の恋模様
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「~♪」
今日の八は偉くご機嫌だ。
廊下を歩く足取りは軽いし、鼻歌を歌ったりしている。
「八、何かいいことでもあったの?」
そう尋ねると、八はちょっと驚いた顔になった。
「え、何で?」
「だって今日一日何だか嬉しそうだからさ。」
俺がそう言うと、八は少し恥ずかしそうにポリポリと頬を掻いた。
「そりゃ嬉しくもなるさ。なんたって、これからも毎日、愛しのやす菜さんの顔が見られるんだからな」
面白そうな顔をして鉢屋が言った。
その言葉に八はボンッと顔を真っ赤にする。
「なっ…三郎!」
「あれ?違ったか?」
真っ赤な顔で抗議しようとする八に、鉢屋はニヤニヤと意地の悪い顔をしていた。
「やす菜さんって…今日からお手伝いさんになった人だよな?」
雷蔵と兵助に尋ねると、二人は「うん」と頷いた。
「何、八その人の事が好きなの?」
「うわ、ストレートに聞くな」
俺が率直に八に訊くと、八は耳まで赤くしたままあーだの、うーだのと唸っている。非常にわかりやすい。
「へー。やす菜さんってどんな人なんだ?」
「ああ、そういえば勘右衛門はまだやす菜さんに会ったこと無かったっけ」
思い出したように雷蔵が言う。
それに俺は「そうなんだよ」と頷いた。
実は俺、夏休みから家の事情でずっと故郷に帰っていて、昨日の夕方に学園に帰ってきたばかりなのだ。
だから俺はその八の片想いの相手であるやす菜さんという女性と、まだ話をしたことはない。
「姿は今朝食堂で見掛けたよ。チラッとだけど」
確か、柔らかい栗色の髪の人だったと思う。
「いい人だよ」
「今度紹介してあげるから一緒に行こう!」
「うん!よろしく頼むな!!」
いやぁ、楽しみだなぁ~!
「その八の想い人のやす菜さんって、どんな女の人なのかな~」
「かーんーえーもーん!!」
ちょっと怒り気味の八に、俺はアハハ。と笑う。
忍者を目指す忍たまの俺達だって、思春期の男の子。
友達に好きな人が出来たら気になっちゃうのは仕方ないんじゃない?
「お前ら、やす菜さんの前で絶対変な事を言うなよ!」
明らかに自分の色恋沙汰を面白がっている俺達(特に鉢屋)に向けて八は念を押した。
「はいはい」
「わかってるって」
「やす菜さんに迷惑を掛けるような事は、絶対しないって」
強く念を押し続ける八に、俺達は軽く笑いながら頷く。
「絶対だからな!」
「あ、やす菜さん」
「え!?」
鉢屋の言葉に反応して、八はキョロキョロと見回した。
…だが、廊下には俺達以外の人影は見当たらない。
「…さーぶーろー!!」
「ははは。青春だな。八」
からかわれた事に気付き八は三郎の胸ぐらを掴んで詰め寄った。
鉢屋はそれでも愉快そうに笑っている。
八をからかうのがよっぽど面白いらしい。
「あ、やす菜さん」
今度は兵助が声を上げた。
「むっ…兵助まで…もう俺は騙されないからな!!」
二度も騙されてたまるか!!と八は言ったが…
「いや…八。今度は本当だよ」
ほら。と雷蔵が指差した先には栗色の髪の女の人の後ろ姿だった。
なにやら大量の本を抱えて歩いている。
「あ…っ!!」
それを見た八は鉢屋から手を離し、その女の人に駆け寄った。
「やす菜さん!」と駆け寄りながら、八は彼女―――やす菜さんに声を掛ける。
やす菜さんは八に気付くと「竹谷君!こんにちわ」と柔らかい表情で挨拶をした。
八はそれに満面の笑顔を浮かべながら「こんにちわ!!」と挨拶を返し、「その本…たくさん持っていますけど、どうしたんですか?」と尋ねた。
「これ?さっき事務室に行ったら、資料を図書室に返してきてほしいって言われたの」とやす菜さんが答えると「手伝いますよ」とすかさず、八は言った。
「え?」と驚くやす菜さんに、八は「本、俺が持ちます」と言って、やす菜さんの抱えている本に少し手を伸ばす。
「悪いからいいよ…私の仕事だし」と遠慮するやす菜さんに、八は首を横に振って「暇ですし、手伝わせて下さい」と言った。
八の純粋な好意を無理に断るのも失礼だと思ったのか、やす菜さんは少し申し訳なさそうに「じゃあ…半分だけ持って貰ってもいい?」と言った。
八は頷くと、やす菜さんの持っていた本に手を伸ばして受け取った。
しかし、「半分持って貰える?」と八は言われたのだが、やす菜さんの持っていた本の半分以上の量を自分で持った。
その量の差は一目瞭然で、やす菜さんは八の持った本と自分の持っている本を見比べるとちょっと笑って「ありがとう」と言った。
それに八は「どういたしまして」と言って、ちょっと照れたように笑った。
「「「「甘酸っぺぇ~」」」」
少し離れた所からその二人の遣り取りを見ていた俺達は口を揃えてそう言った。
友人の恋模様
(八…今のお前はまさしく恋する乙女だよ)
(…男だけど)
今日の八は偉くご機嫌だ。
廊下を歩く足取りは軽いし、鼻歌を歌ったりしている。
「八、何かいいことでもあったの?」
そう尋ねると、八はちょっと驚いた顔になった。
「え、何で?」
「だって今日一日何だか嬉しそうだからさ。」
俺がそう言うと、八は少し恥ずかしそうにポリポリと頬を掻いた。
「そりゃ嬉しくもなるさ。なんたって、これからも毎日、愛しのやす菜さんの顔が見られるんだからな」
面白そうな顔をして鉢屋が言った。
その言葉に八はボンッと顔を真っ赤にする。
「なっ…三郎!」
「あれ?違ったか?」
真っ赤な顔で抗議しようとする八に、鉢屋はニヤニヤと意地の悪い顔をしていた。
「やす菜さんって…今日からお手伝いさんになった人だよな?」
雷蔵と兵助に尋ねると、二人は「うん」と頷いた。
「何、八その人の事が好きなの?」
「うわ、ストレートに聞くな」
俺が率直に八に訊くと、八は耳まで赤くしたままあーだの、うーだのと唸っている。非常にわかりやすい。
「へー。やす菜さんってどんな人なんだ?」
「ああ、そういえば勘右衛門はまだやす菜さんに会ったこと無かったっけ」
思い出したように雷蔵が言う。
それに俺は「そうなんだよ」と頷いた。
実は俺、夏休みから家の事情でずっと故郷に帰っていて、昨日の夕方に学園に帰ってきたばかりなのだ。
だから俺はその八の片想いの相手であるやす菜さんという女性と、まだ話をしたことはない。
「姿は今朝食堂で見掛けたよ。チラッとだけど」
確か、柔らかい栗色の髪の人だったと思う。
「いい人だよ」
「今度紹介してあげるから一緒に行こう!」
「うん!よろしく頼むな!!」
いやぁ、楽しみだなぁ~!
「その八の想い人のやす菜さんって、どんな女の人なのかな~」
「かーんーえーもーん!!」
ちょっと怒り気味の八に、俺はアハハ。と笑う。
忍者を目指す忍たまの俺達だって、思春期の男の子。
友達に好きな人が出来たら気になっちゃうのは仕方ないんじゃない?
「お前ら、やす菜さんの前で絶対変な事を言うなよ!」
明らかに自分の色恋沙汰を面白がっている俺達(特に鉢屋)に向けて八は念を押した。
「はいはい」
「わかってるって」
「やす菜さんに迷惑を掛けるような事は、絶対しないって」
強く念を押し続ける八に、俺達は軽く笑いながら頷く。
「絶対だからな!」
「あ、やす菜さん」
「え!?」
鉢屋の言葉に反応して、八はキョロキョロと見回した。
…だが、廊下には俺達以外の人影は見当たらない。
「…さーぶーろー!!」
「ははは。青春だな。八」
からかわれた事に気付き八は三郎の胸ぐらを掴んで詰め寄った。
鉢屋はそれでも愉快そうに笑っている。
八をからかうのがよっぽど面白いらしい。
「あ、やす菜さん」
今度は兵助が声を上げた。
「むっ…兵助まで…もう俺は騙されないからな!!」
二度も騙されてたまるか!!と八は言ったが…
「いや…八。今度は本当だよ」
ほら。と雷蔵が指差した先には栗色の髪の女の人の後ろ姿だった。
なにやら大量の本を抱えて歩いている。
「あ…っ!!」
それを見た八は鉢屋から手を離し、その女の人に駆け寄った。
「やす菜さん!」と駆け寄りながら、八は彼女―――やす菜さんに声を掛ける。
やす菜さんは八に気付くと「竹谷君!こんにちわ」と柔らかい表情で挨拶をした。
八はそれに満面の笑顔を浮かべながら「こんにちわ!!」と挨拶を返し、「その本…たくさん持っていますけど、どうしたんですか?」と尋ねた。
「これ?さっき事務室に行ったら、資料を図書室に返してきてほしいって言われたの」とやす菜さんが答えると「手伝いますよ」とすかさず、八は言った。
「え?」と驚くやす菜さんに、八は「本、俺が持ちます」と言って、やす菜さんの抱えている本に少し手を伸ばす。
「悪いからいいよ…私の仕事だし」と遠慮するやす菜さんに、八は首を横に振って「暇ですし、手伝わせて下さい」と言った。
八の純粋な好意を無理に断るのも失礼だと思ったのか、やす菜さんは少し申し訳なさそうに「じゃあ…半分だけ持って貰ってもいい?」と言った。
八は頷くと、やす菜さんの持っていた本に手を伸ばして受け取った。
しかし、「半分持って貰える?」と八は言われたのだが、やす菜さんの持っていた本の半分以上の量を自分で持った。
その量の差は一目瞭然で、やす菜さんは八の持った本と自分の持っている本を見比べるとちょっと笑って「ありがとう」と言った。
それに八は「どういたしまして」と言って、ちょっと照れたように笑った。
「「「「甘酸っぺぇ~」」」」
少し離れた所からその二人の遣り取りを見ていた俺達は口を揃えてそう言った。
友人の恋模様
(八…今のお前はまさしく恋する乙女だよ)
(…男だけど)