声も、涙も、枯れてしまいそうなほどに
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『最近のあんたって、魂が抜けたみたい』
昨日、トモミちゃんにそう言われた。
確かに、今のオレは魂が抜けているのかもしれない。
何をしていてもぼんやりと心がどこか行ってしまっているようなオレをみんな心配してくれていて、そんなみんなに大丈夫。というようにオレは笑って見せるけど、そんなオレを見てますますみんなは心配した。
オレがこんな状態である原因はわかりきっている。
(姉ちゃん…)
姉ちゃんが戦に巻き込まれて意識不明になってから、体の中が空っぽになったような感覚が、ずっと続いていた。
オレの物心付くか付かないかという頃に、父ちゃんと母ちゃんは死んだ。
あまりよく覚えてないが二人とも優しくて、温かい家庭だったと思う。
親がいなくても姉ちゃんがいたから、オレは寂しくなかった。
姉ちゃんは父ちゃんと母ちゃんの分までオレに愛情を注いで育ててくれた。
食べるものがない時に自分の食べる分譲ってまでオレに飯を食べさせてくれた。
オレが泣いた時は泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。
オレにいいことがあった日は自分のことのように、一緒に心から喜んでくれた。
オレは、姉ちゃんが大好きだ。
銭よりも、自分の命よりも、オレは姉ちゃんが大事だ。
…今、毎日怖くて怖くて仕方がない。
あのまま、眠っている姉ちゃんが一度も目を覚ますことなく、息をすることも、心臓が脈を打って全身に血を巡らせることも止めて、いつもオレの手を引いてくれた温かい手が冷たくなってしまったら…そう考えただけで、体が震えた。
…毎日、暇さえあれば姉ちゃんの様子を見に医務室に足を運ぶ。
包帯の巻かれた手を握り、温もりがあることにホッとする。
そしてその度に思う。
姉ちゃん姉ちゃん…
嫌だよ…
オレを置いて、逝ってしまわないで…
授業の終わりを告げる鐘が鳴り、見計らったように教室の扉が開いた。
「失礼します」
「新野先生」
顔を見せたのは医務室の新野先生。
土井先生がどうしたのかと新野先生に近寄った。
それを見ていたオレは、姉ちゃんに何かあったのだろうか?と思い、立ち上がって新野先生と土井先生に近付いた。
「ああ、きり丸くん。」
オレに気付いた新野先生が優しく微笑む。
「お姉さんが、目を覚ましましたよ。」
その言葉に、オレは大きく目を見開いた。
「えっ…本当…です、か?」
「本当だよ。早く会いに行ってあげなさい」
「…っはい!!」
オレは教室を飛び出した。
途中、すれ違った学園長先生に「廊下を走るなー!!」と怒鳴られたが構わず走った。
医務室の前で急ブレーキを掛ける。
転びそうになったが何とか持ち堪えて医務室の障子戸を勢い良く開いた。
「あ、来たね」
中には善法寺伊作先輩がいて、オレを見て新野先生と同じように優しく微笑んだ。
「きり丸が来たよ」
そう言いながら、今まで医務室で姉ちゃんのいるスペースを区切っていた衝立を退かした。
「きり丸」
衝立が無くなり、姉ちゃんの姿が現れる。
今までの様に蒲団に横たわり目を閉じた状態じゃなく、上体を起こしオレに笑顔を向けていた。
「きり丸」
もう一度、名前を呼ばれた。
言葉に出来ない感情が込み上げてくる。
「ね…
姉ちゃん…!!」
オレは廊下を強く蹴って足を踏み出した。
そしてそのまま一直線に姉ちゃんに抱き付い「ちょっと待った!!」
「うぐっ」
…抱き付こうとしたら伊作先輩に襟元を掴まれた。
「何すんですか!!」
感動の場面を邪魔されて怒って先輩を見る。
「そんなに勢い良く飛び付いちゃダメ!!彼女、肋骨にヒビが入ってるんだから…今度こそ折れちゃうって!!」
そう言われ、オレはハッとした。そうだ…姉ちゃん大怪我してたんだよ!…意識が戻ったことが嬉しくてすっかり忘れてた…
「君も、両手を広げて受けとめる準備をしない!まだ上体を起こすのがやっとなんだから…」
「ごめんなさい…つい」
笑っている姉ちゃんに伊作先輩が「も~…」と溜息を吐く。
「抱き締めるなら…優しくね」
オレにそう囁くと伊作先輩は手を離した。
「…姉ちゃん!」
蒲団の横に膝を着き、今度こそ姉ちゃんに抱き付く。
大好きな姉ちゃんの匂いと温もりに、鼻の奥がツーンとなって、目に涙が滲んだ。
「ね、姉、ちゃん…」
言いたいことがいっぱいあるのに、上手く、声が出ない…
そんなオレの背中に、姉ちゃんは腕を回してギュッと抱き締め返してくれた。
「きり丸…」
優しい声。
オレの涙腺が決壊してぶわっと涙が溢れ出た。
「姉ちゃん…姉ちゃーーーん!!」
うわぁぁぁぁん!と、声を上げて泣いた。
「よかっ…た…姉ちゃん…」
「うん」
「生き、てて…くれ、て…」
「うん」
「姉、ちゃん…が、生きてて、くれ、て…ほんっ、とうっ、に…!よかっ、たぁ~…」
「…うん」
姉ちゃんが、優しくオレの頭を撫でる。
「ごめんね、きり丸。ずっと、不安な思いを、させちゃったね…でも、もう大丈夫よ。私は、ちゃんと生きてるから…」
「っ…うん」
ギュウッ…と、少しだけ姉ちゃんの首に回した腕に力を入れた。
声も、涙も、枯れてしまいそうなほどに
(きっとこんなに泣いたのは、生まれて初めてだ)
昨日、トモミちゃんにそう言われた。
確かに、今のオレは魂が抜けているのかもしれない。
何をしていてもぼんやりと心がどこか行ってしまっているようなオレをみんな心配してくれていて、そんなみんなに大丈夫。というようにオレは笑って見せるけど、そんなオレを見てますますみんなは心配した。
オレがこんな状態である原因はわかりきっている。
(姉ちゃん…)
姉ちゃんが戦に巻き込まれて意識不明になってから、体の中が空っぽになったような感覚が、ずっと続いていた。
オレの物心付くか付かないかという頃に、父ちゃんと母ちゃんは死んだ。
あまりよく覚えてないが二人とも優しくて、温かい家庭だったと思う。
親がいなくても姉ちゃんがいたから、オレは寂しくなかった。
姉ちゃんは父ちゃんと母ちゃんの分までオレに愛情を注いで育ててくれた。
食べるものがない時に自分の食べる分譲ってまでオレに飯を食べさせてくれた。
オレが泣いた時は泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。
オレにいいことがあった日は自分のことのように、一緒に心から喜んでくれた。
オレは、姉ちゃんが大好きだ。
銭よりも、自分の命よりも、オレは姉ちゃんが大事だ。
…今、毎日怖くて怖くて仕方がない。
あのまま、眠っている姉ちゃんが一度も目を覚ますことなく、息をすることも、心臓が脈を打って全身に血を巡らせることも止めて、いつもオレの手を引いてくれた温かい手が冷たくなってしまったら…そう考えただけで、体が震えた。
…毎日、暇さえあれば姉ちゃんの様子を見に医務室に足を運ぶ。
包帯の巻かれた手を握り、温もりがあることにホッとする。
そしてその度に思う。
姉ちゃん姉ちゃん…
嫌だよ…
オレを置いて、逝ってしまわないで…
授業の終わりを告げる鐘が鳴り、見計らったように教室の扉が開いた。
「失礼します」
「新野先生」
顔を見せたのは医務室の新野先生。
土井先生がどうしたのかと新野先生に近寄った。
それを見ていたオレは、姉ちゃんに何かあったのだろうか?と思い、立ち上がって新野先生と土井先生に近付いた。
「ああ、きり丸くん。」
オレに気付いた新野先生が優しく微笑む。
「お姉さんが、目を覚ましましたよ。」
その言葉に、オレは大きく目を見開いた。
「えっ…本当…です、か?」
「本当だよ。早く会いに行ってあげなさい」
「…っはい!!」
オレは教室を飛び出した。
途中、すれ違った学園長先生に「廊下を走るなー!!」と怒鳴られたが構わず走った。
医務室の前で急ブレーキを掛ける。
転びそうになったが何とか持ち堪えて医務室の障子戸を勢い良く開いた。
「あ、来たね」
中には善法寺伊作先輩がいて、オレを見て新野先生と同じように優しく微笑んだ。
「きり丸が来たよ」
そう言いながら、今まで医務室で姉ちゃんのいるスペースを区切っていた衝立を退かした。
「きり丸」
衝立が無くなり、姉ちゃんの姿が現れる。
今までの様に蒲団に横たわり目を閉じた状態じゃなく、上体を起こしオレに笑顔を向けていた。
「きり丸」
もう一度、名前を呼ばれた。
言葉に出来ない感情が込み上げてくる。
「ね…
姉ちゃん…!!」
オレは廊下を強く蹴って足を踏み出した。
そしてそのまま一直線に姉ちゃんに抱き付い「ちょっと待った!!」
「うぐっ」
…抱き付こうとしたら伊作先輩に襟元を掴まれた。
「何すんですか!!」
感動の場面を邪魔されて怒って先輩を見る。
「そんなに勢い良く飛び付いちゃダメ!!彼女、肋骨にヒビが入ってるんだから…今度こそ折れちゃうって!!」
そう言われ、オレはハッとした。そうだ…姉ちゃん大怪我してたんだよ!…意識が戻ったことが嬉しくてすっかり忘れてた…
「君も、両手を広げて受けとめる準備をしない!まだ上体を起こすのがやっとなんだから…」
「ごめんなさい…つい」
笑っている姉ちゃんに伊作先輩が「も~…」と溜息を吐く。
「抱き締めるなら…優しくね」
オレにそう囁くと伊作先輩は手を離した。
「…姉ちゃん!」
蒲団の横に膝を着き、今度こそ姉ちゃんに抱き付く。
大好きな姉ちゃんの匂いと温もりに、鼻の奥がツーンとなって、目に涙が滲んだ。
「ね、姉、ちゃん…」
言いたいことがいっぱいあるのに、上手く、声が出ない…
そんなオレの背中に、姉ちゃんは腕を回してギュッと抱き締め返してくれた。
「きり丸…」
優しい声。
オレの涙腺が決壊してぶわっと涙が溢れ出た。
「姉ちゃん…姉ちゃーーーん!!」
うわぁぁぁぁん!と、声を上げて泣いた。
「よかっ…た…姉ちゃん…」
「うん」
「生き、てて…くれ、て…」
「うん」
「姉、ちゃん…が、生きてて、くれ、て…ほんっ、とうっ、に…!よかっ、たぁ~…」
「…うん」
姉ちゃんが、優しくオレの頭を撫でる。
「ごめんね、きり丸。ずっと、不安な思いを、させちゃったね…でも、もう大丈夫よ。私は、ちゃんと生きてるから…」
「っ…うん」
ギュウッ…と、少しだけ姉ちゃんの首に回した腕に力を入れた。
声も、涙も、枯れてしまいそうなほどに
(きっとこんなに泣いたのは、生まれて初めてだ)
