生きたい。生きていたい。
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「それにしても…初めは本当に驚いたよ。
あの日の夜、いきなり雑渡さんが来て…」
コポコポと二人分のお茶を湯飲みに注ぎながら僕は話した。
「いきなり来るだけならともかく、瀕死状態の女の子を抱えているし…」
~回想~
「伊作君」
「っ!?雑渡さん!?」
「悪いんだけど、この子を手当してやってくれないか?」
「え?っ…なんて酷い怪我…」
「一応応急手当はしたけどね…死にかけてるんだ」
「すぐに医務室に運んで、新野先生に看て貰わなければ…!!」
「よろしく、頼んだよ。伊作君」
~回想終了~
「しかもその女の子は次の日様子を見に来てみたら幽体離脱してるし」
その女の子というのが、今僕の目の前にいるやす菜だ。
目の前で困ったように笑う彼女は透けていて、向こう側の景色が見える。
そう…彼女は今体から離れ、魂だけの状態だ。
『私もまさか魂が体から離れるとは…初めてのことだし…』
「まあ…そうだろうね。普通の人間は魂抜けないものね」
「まあ、戻るから大丈夫だよ」と言って湯飲みを彼女の前に置く。
魂だけの状態なので、飲めるわけではないが気持ちの問題だ。
「そのあと、説明を聞く前に雑渡さんはいなくなっちゃって聞けなかったけど…君と雑渡さんはまったく面識無いんだね?」
まあ、一般人である彼女がタソガレドキの忍組頭と知り合いなわけがないと思うけれど…
『全然。今度会ったらお礼を申し上げなきゃ…命の恩人だもの』
「そうだね。」
『伊作君と新野先生にも…なんとお礼を言ったらいいか…』
「新野先生はともかく、僕は大したことしてないよ。それに…
怪我した人間を手当するのは当たり前だよ」
僕がそう言うと、やす菜はふんわりと微笑んだ。
『伊作君は、とても優しいんだね。』
「それが、保健委員である僕の仕事だからね」
『保健委員だからだとしても、そんなことが言えるのは伊作君自身が優しいからだと、私は思う』
『そういう人、私好きだわ』と言って笑う彼女に、少し赤面する。
「いや…うん…ありがとう」
『それに、伊作君が居てくれて、私はホントに救われたの。普通なら、魂が体から抜けたら誰だって死んだと思うじゃない。
伊作君が見えてなかったら、私は間違いなく三途の川渡ってたわ』
「昔からね、なんか見えるんだ。他の人には見えない、幽霊とかそういうの」
それを言うと気味悪がられるから、極力言わないようにしている。
「それが、役に立ってよかった」
『すごく、役に立ってるよ』
顔を見合わせて、二人で笑う。
「それにしても…僕がここに来る度に出てくること無いのに…」
『だって…ただ寝ているだけよりも、伊作君と話をしていた方がずっと楽しいんだもの』
『体に入っていてもちっとも動かないし…』とやす菜は溜息を吐く。
『伊作君…』
名前を呼ばれたので、「何?」と訊くと、彼女は目を伏せ、手元に視線を落とした。
『私…正直、もうダメだと思ってた』
僕は黙って言葉の続きを待った。
『あの城の中で、死んでしまうのだと…本気で、思ってた。
でも…
生きてた』
雑渡さんに城の中から助け出され、新野先生の手当のお陰で、彼女の体はちゃんと呼吸をして、脈を打っている。
『今だって…すごく不安よ。
…いつ、自分の心臓が止まってしまうのかって、すごく心配。』
彼女は自分の体に目を向ける。
少し離れた所にある彼女の体は、このまま心臓が止まる可能性だってゼロではない。
『でも、あのまま炎の中にいるよりは、ずっと…生きられる可能性は高い。
…伊作君』
やす菜は顔を上げて、僕をまっすぐ見た。
『私、生きたい。まだまだ…生きて、大切な人と一緒にいたいわ!』
まっすぐな瞳に、僕は「うん」と頷いた。
「大丈夫。君の魂と、肉体を繋ぐ糸はちゃんと繋がっている。…生きられるよ。」
もう一度「生きられるよ」と言うと、彼女はくしゃり、と泣きそうな笑顔で「うん」と頷いた。
生きたい。生きていたい。
(命はたった一つしかないから)
(とことん、縋り付いてやる!)
あの日の夜、いきなり雑渡さんが来て…」
コポコポと二人分のお茶を湯飲みに注ぎながら僕は話した。
「いきなり来るだけならともかく、瀕死状態の女の子を抱えているし…」
~回想~
「伊作君」
「っ!?雑渡さん!?」
「悪いんだけど、この子を手当してやってくれないか?」
「え?っ…なんて酷い怪我…」
「一応応急手当はしたけどね…死にかけてるんだ」
「すぐに医務室に運んで、新野先生に看て貰わなければ…!!」
「よろしく、頼んだよ。伊作君」
~回想終了~
「しかもその女の子は次の日様子を見に来てみたら幽体離脱してるし」
その女の子というのが、今僕の目の前にいるやす菜だ。
目の前で困ったように笑う彼女は透けていて、向こう側の景色が見える。
そう…彼女は今体から離れ、魂だけの状態だ。
『私もまさか魂が体から離れるとは…初めてのことだし…』
「まあ…そうだろうね。普通の人間は魂抜けないものね」
「まあ、戻るから大丈夫だよ」と言って湯飲みを彼女の前に置く。
魂だけの状態なので、飲めるわけではないが気持ちの問題だ。
「そのあと、説明を聞く前に雑渡さんはいなくなっちゃって聞けなかったけど…君と雑渡さんはまったく面識無いんだね?」
まあ、一般人である彼女がタソガレドキの忍組頭と知り合いなわけがないと思うけれど…
『全然。今度会ったらお礼を申し上げなきゃ…命の恩人だもの』
「そうだね。」
『伊作君と新野先生にも…なんとお礼を言ったらいいか…』
「新野先生はともかく、僕は大したことしてないよ。それに…
怪我した人間を手当するのは当たり前だよ」
僕がそう言うと、やす菜はふんわりと微笑んだ。
『伊作君は、とても優しいんだね。』
「それが、保健委員である僕の仕事だからね」
『保健委員だからだとしても、そんなことが言えるのは伊作君自身が優しいからだと、私は思う』
『そういう人、私好きだわ』と言って笑う彼女に、少し赤面する。
「いや…うん…ありがとう」
『それに、伊作君が居てくれて、私はホントに救われたの。普通なら、魂が体から抜けたら誰だって死んだと思うじゃない。
伊作君が見えてなかったら、私は間違いなく三途の川渡ってたわ』
「昔からね、なんか見えるんだ。他の人には見えない、幽霊とかそういうの」
それを言うと気味悪がられるから、極力言わないようにしている。
「それが、役に立ってよかった」
『すごく、役に立ってるよ』
顔を見合わせて、二人で笑う。
「それにしても…僕がここに来る度に出てくること無いのに…」
『だって…ただ寝ているだけよりも、伊作君と話をしていた方がずっと楽しいんだもの』
『体に入っていてもちっとも動かないし…』とやす菜は溜息を吐く。
『伊作君…』
名前を呼ばれたので、「何?」と訊くと、彼女は目を伏せ、手元に視線を落とした。
『私…正直、もうダメだと思ってた』
僕は黙って言葉の続きを待った。
『あの城の中で、死んでしまうのだと…本気で、思ってた。
でも…
生きてた』
雑渡さんに城の中から助け出され、新野先生の手当のお陰で、彼女の体はちゃんと呼吸をして、脈を打っている。
『今だって…すごく不安よ。
…いつ、自分の心臓が止まってしまうのかって、すごく心配。』
彼女は自分の体に目を向ける。
少し離れた所にある彼女の体は、このまま心臓が止まる可能性だってゼロではない。
『でも、あのまま炎の中にいるよりは、ずっと…生きられる可能性は高い。
…伊作君』
やす菜は顔を上げて、僕をまっすぐ見た。
『私、生きたい。まだまだ…生きて、大切な人と一緒にいたいわ!』
まっすぐな瞳に、僕は「うん」と頷いた。
「大丈夫。君の魂と、肉体を繋ぐ糸はちゃんと繋がっている。…生きられるよ。」
もう一度「生きられるよ」と言うと、彼女はくしゃり、と泣きそうな笑顔で「うん」と頷いた。
生きたい。生きていたい。
(命はたった一つしかないから)
(とことん、縋り付いてやる!)
