敵機から離脱して180度の急旋回をする響たちの機体。

その下で連結プログラムは轟音を立てて自爆し、飛散する。

「追えるか？」

「ヤベぇ・・・早すぎる！」

「あれはこっちの身元を分析したデータだ。あれが向こうに回収されたら、こっちの身元がバレる！」

「捕捉はムリね。深追いするともっとヤバいことになるわよ」

「どうすればいい？」

「ある程度は擬装してるから、すぐにはこっちの個人までは特定できないはず。ここからは早く離脱したほうがいいわね」

「ごめん・・・追えなくて・・・」

「軍曹、しかたないわよ。あたしもこういうの、何回も経験してるから」

「よし。離脱しよう。接続を切ったら、回収したデータを解析するよ」

「わかった。解析は響くんにまかせるわね」

「あの～、そのナノシステムなんとか、っての、またあとで俺に教えてな。なんか疎外感いっぱいなのよね俺いま」

「あ、ごめん。ほったらかしで」

「俺、意外と繊細で寂しがりやなのよね・・・」

「あら、軍曹ちゃんカワイイとこあるじゃない♪あたしが抱いてあげようか？」

「ははは　よかったね、軍曹」

「おっさんふたりで・・・俺をイジメル・・・。オヤジ、キライ」

無機質なサイバースペースの裏世界を抜け、仮想の道路や商店が並ぶサイバーダイブ空間に帰還した彼らのステルス機は、再び平和な卵型ビークルに姿を変え、システムからログアウトした。