【3.ファイアウォール突破】

南米各国のサーバーを経由した響たちのハッキングプログラム＝ステルス機は、インド経由で中国に侵入。瀬名が事前に調べておいた怪しげなサーバーに最終的に到着した。

「なにこれ？正規のサーバーやないやろ。怪しげな連中がいっぱいやん」

「でしょ。裏ルートで日本国内に侵入できるのよね～」

「こういうのがあったのか。国家的スパイや産業スパイが暗躍するハッキングルートじゃないのか？」

「ま、そのへんはね・・・私の企業秘密ってことで」

「うわッ！何あれ？戦艦級のハッキングプログラムがおるがな！」

「あんなのに関わったら、こっちなんか一瞬で粉砕されるわよ。さ、行くわよ。我が母国へ～」

機体は猛スピードでチューブに突入。ファイアーウォール(防御壁)や検疫プログラムに邪魔されることなく、日本に潜入することに成功した。

日本国内に存在する怪しく偽装されたサーバーから、東京の個人所有のサーバーへ。そして複数の企業が共同で所有する汎用サーバーに到着した。

そこでプログラムを変更。一般ユーザーが使用する卵型のビークルに「変形」する。

獰猛なステルス戦闘機が、可愛い卵型の乗り物に変化した。

「よし。ここからは地道に行くぞ」

彼らのビークルは、眼下の光の道、主要幹線のビークルの列に降下、合流する。周囲のビークルは普通にインターネットを利用している、一般の人々の群れだ。

「ROLL OUT コーポレーションに向かうぞ」

さあ。いよいよだ。ビークルは幹線道路を逸れ、その企業の入口へ向かう。「ＲＯＬＬ　ＯＵＴ　ＧＲＯＵＰ」の看板がギラギラ光るゲートを潜ると、目の前に巨大な要塞のようなバーチャル建造物がそびえ立った。

「うわぁ…ごっついなぁ」

「うん。普通の企業にしては、システムが大きいね」

「これは凄いわねぇ。防衛関連産業の企業システムに匹敵するゴツさだわね」

「ネット商売とエロ産業だけのはずやのに・・・こいつら、何もんやねん」

「潜入し甲斐のある相手だよね。みんな、油断するなよ」

エントランスに入ると、企業グループごとにルートが枝分かれしていた。Ｇマイレージ運営元のＧ'zコーポレーションに進む。

【CAUTION！ここから先は成人指定領域です。18歳未満のお客様のご入場はお断りしています。ＩＤの確認を行います】

警告サインが中空に点滅し、一般利用者のビークルは年齢認証のために一旦停止させられている。しかし響たちの乗り込むビークルは、形態は卵型の可愛い姿のままで、そのまま滑るようにゲートを通過し、中に侵入した。