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秘密基地◆小3クオリティ

秋になって寒くなってきたある日。
枯れ枝を振り回しながら林を進んで秘密基地に向かった俺たちは、そこで信じられない光景を見た。


俺たちの秘密基地が・・・めちゃくちゃに壊されていたんだ。


ダンボールの基地は、無残にもぺしゃんこに潰され、空色のブルーシートは土で汚れていた。

基地の中に置いていた物がそこら中に散乱してる。
ランプは半透明のカバーが割れて壊れていた。大きな缶の中にみんなで入れていたお菓子が、ばら撒かれている。ポッキーの箱には、靴で踏んだ跡があった。

そして・・・俺たちが必死で集めてプラスチックのケースに大切に保管していたエロ本たちも・・・そこいら中にばら撒かれていた。ページがビリビリに破かれているもの、誰かが投げたのか、遠い場所にまで散乱しているもの…。
雨と露に濡れた俺たちの本は、水を吸って膨れあがり、手に持つとぶよぶよしていた。



「ない!ないッ!」


潰されてしまったダンボールハウスの中に潜り込んでいた悠斗が泣きそうな声をあげた。

「おい、何がないんや?」

「ラジオ、ラジオがない・・・」

悠斗はおばあちゃんに買ってもらった、風呂場でも聴ける防水型ラジオを基地に持ってきてくれてたのだ。いつも俺たちはそれでラジオを聴きながら遊んでいた。ラジオは悠斗が持ってきてくれたから、電池はほかのみんなが小遣いをちょっとずつ出し合って買う決まりになっていた。

「マジで?」

全員が基地に集まり、潰されてしまったダンボールを持ち上げてひっくり返した。いつも薄暗かった基地の中が、外に現れる。
部屋の中もぐちゃぐちゃになっていた。レジャーシートをめくり、スノコもどかしてみんなでラジオを探した。けれど、基地のあった場所にはどこにもみつからなかった。

「そのへんに投げられてるかも」

みんなで手分けして基地の周辺を探した。草の下も、木の根元も、枝の上さえも探した。
20分だったか、30分だったかわからないけど、みんなで必死で探したけど悠斗のラジオはみつからなかった。
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