【8.オナニー開放戦線】

あれから美咲からメールも電話も来ない。蘭丸も意地になって自分から連絡をしなかった。

写真集やＤＶＤを買ってなにが悪い？オナニーしてなにが悪い？健全な男子はみんなしてることではないか。Ｇマイレージのせいで、とんでもないことが起こっているけど、それはなにもオナニーが悪いんじゃない。

ヤケになった蘭丸は、信長書店日本橋店の全フロアで、写真集からＤＶＤからオナホール「SAMURAI」各種、そしてなぜか男性用Ｔバック(トラ柄)まで、ありとあらゆるエログッズをやけくそで大人買いしてしまった。財布はすっからかんだ。会員カードのポイントだけは、アホみたいにたくさん貯まったが…。

「お、お、お金がなぁぁぁぁいッ！　でも、オナニーに罪はないッ！」

そう叫びながらベッドの上でエログッズに囲まれながら転げ回った。

「俺にはもう失うものはなにもないッ！日本男児として、オナニーの夜明けを切り開いてやる！この股間の剣の一閃で、Ｇマイレージの陰謀をぶった切ってやるッ！」

蘭丸はトラ柄Ｔバックいっちょうでベッドに仁王立ちになり、居合い切りよろしく、腰を斜め上から斜め下へ、スイングした。

「どぉぉりゃぁぁッ！ちんこ斬鉄剣ッ！」

蘭丸の瞳はメラメラと燃え上がった。
日本中の多くのオナニー同志がいまチンコの危機に瀕している。それを救い、暗黒の淵に追いやられつつあるオナニー世界に、再び明るい光明を取り戻すのだ！

「うおぉぉッ！やるぞ！行くぜ東京！待ってろよッ！」

蘭丸の気合いに呼応するように、トラ柄Ｔバックがキリリとケツに食い込んだ。