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魔核奪還編




混乱する城内。忙しない足音。
そんな最中、1人の少女が決意を胸に走り出した。

雪のように白く長い髪を揺らし、小柄な体を生かして誰にも見つからぬように城を駆け抜ける。その手にはその小柄な体には似合わぬ大きな杖が存在感を示していた。

城内で何が起きているのか少女は知らない。だが、こんな機会はもう来ない事を彼女は知っていた。
その足に迷いも恐れも無い。例えこの大きな門の先が未知の世界であろうと、足を踏み出す覚悟が少女にはあった。

踏み出した足で1歩、また1歩と未知の世界を踏み締め、駆け抜けた。少女を出迎えた青い空も、街ゆく人々の喧騒も、今の少女には輝いて見える。風変わりなその赤い瞳を瞬かせ、その光景を目に焼き付けていく。

これは、少女が世界を知る物語。
これは、少女が自らを知る物語。

少女の物語は、今ここから始まった―――。

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