第二章:一人の家族として
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あの島を出港してから2日経った。私はその日から厨房へ入りクルー達のご飯を作っていた。2日経った今も部屋が無くユーマと共に寝袋を貰い食堂で寝起きしている。今日、親父からの呼び出しを貰ったので多分であるが部屋の事だろう。
「おーい、ルカ。オヤジが今来いってよ。俺らも呼ばれてるから一緒に行こうぜ」
お皿を洗っていると、厨房での直属の上司にあたるサッチが顔を出した。多分でるが部屋の事もそうだが、今日はきっと私たちの所属する隊も決めるだろう。まぁ、私はサッチの隊に所属する事になると思うが。
「それにしてもよぉ、お前小さすぎじゃねぇか?ちゃんと飯食ってんか?ほれ、今日余った桃で作ったタルトだ。あとで隠れてくいな!」
桃のタルトはほんのり温かい。今すぐ食べたいが招集されている為、固唾を飲んで我慢する。それを誰にも目につかない場所に隠し、親父の部屋へと向かった。オヤジの部屋にはもう既にみんな集まっており、どうやら私達が最後らしい。
「おぉ、来たか」
「遅くなってすみません」
「構わねぇ。まずはじめにだ。ルカは1番隊に所属、ユーマは2番隊所属する事に決まった」
私は混乱していた。1番隊はマルコの隊だ。コック長であるサッチの隊に入るのではないのか?些か疑問である。それを感じた取ったのかサッチが説明してくれた。
「お前は戦闘はからきしだろ?戦闘に参加しない代わりにお前には1番隊に入ってもらって医療班として活躍してもらう予定だ」
俺の隊はサブで入ってもらう、とサッチは付け足した。マルコの隊はどうやら医療班と言うものがあるらしい。
「よろしくだよい。医療班の事はナース長のティナから聞くといいよい」
「はい!よろしくお願いします」
それと、とオヤジが口を開いた。
「部屋のことだが、空き部屋が1つある。2人で使うといい」
マルコがその言葉に反応した。他の隊長達もあまりい顔はしていない。
「オヤジ、その部屋はあの人の部屋なんだろ?いいのかい?」
オヤジは酒を一口のみ、グララララと笑い遠い目をしながらいいんだと小さく呟いた。マルコはそのまま私たちをその部屋に送り届けてくれた。部屋に入ると、小さな青い宝石の装飾がついたタガーが飾られていた。マルコはそれに一度触れると私たちを見据え話し出した。
「オヤジはああ言ったがねい…この部屋はな、オヤジが兄弟の様に慕っていた奴の部屋だよい」
ユーマの肩が少し揺れたのが分かった。マルコは話を続ける。
「本当に昔だよい。この船に乗っているクルー達は誰も会ったことはないがとても腕の立つ男だったらしいよい。仲間想いで、オヤジの事を兄貴と慕っていたんだよい。だがある日突然このタガーを残して姿を消しちまった。そいつはオヤジに言ったそうだ「すぐにもどる」と」
またマルコはそのタガーに触れ、悲しそうに顔を歪めた。
「オヤジはそれ以来ずっと一部屋空けて帰りを待ってるんだよい。」
私たちは何も言えず、ただずっとタガーに触れるマルコを見ていた。