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仗露

惰性で飲むタピオカは、僕には似合わない。

タピオカ飲みましょう、なんて女子みたいなことを言われた。
流行りに疎いわけではないけれど、そんなに興味もないんだよ。
別に飲まなくたって味は分かるさ。
それにカロリーも糖分も結構高いんだぜ。

あまり乗り気ではない僕の手を引いて並んだのは、人気だという専門店。
友達がここのは美味いって言ってたんスよ、と言うあいつの目が期待でキラリと輝いた。
性格は最悪最低だけどやっぱり顔だけは良いんだよな。
この場でその顔をスケッチしたいと言ったら嫌がられるだろうなァ。

渡されたタピオカミルクティーはパッケージに可愛いイラストがプリントされていて、なるほど女ウケがいいわけだな。
女っていうのは本質よりもその物のビジュアルだとか外見を重要視するもんさ。

タピオカが太めのストローに吸い込まれて僕の口へ。
うん良い意味でも悪い意味でも予想通りの味だ。
そこに感動なんてない。
1口飲んで手に持ったまま2口目が進まない僕を見て、あいつは苦笑いした。
やっぱり好きじゃない?と僕の顔を覗き込む。
でかい図体してるくせに、こちらの様子を伺う仕草がまるで子犬だな。

全然好きなんかじゃないんだけど、生憎僕は飽きたら途中で捨ててしまうような男じゃないんだ。
最後まで付き合うよ、と言って、甘ったるい味を流し込んだ。
こんなのは僕には似合わない。
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