お姉さんシリーズ 南くん編
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【一年目・秋】
南龍生堂で働き始めてから半年程経った頃。
大学の講義が終わりバイトに向かった私は、ナントカ心と秋の空、とはよく言ったもので、移ろいやすい秋空にすっかりしてやられてしまった。
その日一日晴れ渡っていた空は、私が最寄り駅から南家まで歩いている最中に、突如として大雨へと変わっていったのだ。
全身雨に打たれてずぶ濡れで南家へ着いた私を最初に見たのは、いつもはその時間には居ないはずの坊っちゃんだった。
「名前さん……!?傘、持ってへんかったんですか。」
「あれ、坊っちゃん?アハハ、ちょうど歩いてる時に降られてしまいました。
ごめんなさい、とりあえず乾かさないとバイト入れないですね。出来れば服も脱ぎたいです……。」
ひたひたと濡れた白いブラウスが肌にぺっとりと張りつく妙な感触が、気持ち悪くて落ち着かない。私は思わず腕を組んで俯いてしまった。
「…………っ!?」
「あらあら名前ちゃん、そないに濡れてもうて。こういう時は無理してバイト来なくてええんよ?」
そんな私の姿に気づいた奥さんが、優しく声をかけてくれた。
「奥さん、ご迷惑おかけしてすみません。」
「年頃のお嬢ちゃんが風邪ひくのはいかんから、ゆっくりうちの風呂入ってき。
今日は烈がテストの日で部活がないんよ。だからバイトのことは気にせんでええよ。」
「店主、ありがとうございます。お風呂お借りしますね。でも、坊っちゃんもお勉強しないと……出たらすぐに交代します!」
「そうねえ……じゃあ、お風呂出たら烈の勉強の面倒見たってくれへん?ほんで、手伝って欲しい時は声かけるから。今日はそれが、名前ちゃんのお仕事。どう?」
「母ちゃん!?何言うてんのや、オレは別に、」
「わかりました、奥さん。坊っちゃん、あとで一緒にお勉強がんばりましょうね。」
「よろしゅうね。濡れたお洋服は、今日の洗濯で一緒に洗っとくわね。」
こうしてお風呂を借りてからなるべく颯爽と済ませた私は、用意されていた奥さんのものと思われるTシャツと短めのズボンを着た。でも、奥さんはスリムでスタイルのいい女性のため、私にはややピチピチサイズ、胸の部分は、だいぶ窮屈なことになってしまった。
「あ、あの……。」
私は、少し気恥ずかしげにお店の方に顔を出した。
「ん、名前さ……!?!?」
「あら名前ちゃん。もうお風呂出たん?」
「奥さん……ごめんなさい、もう少し大きめの服はありますか?」
デブだと思われていないだろうか……という気まずさでもじもじとしてしまった私を見て、坊っちゃんは何やら固まってしまっていた。
「あらあら~ごめんね。名前ちゃんお胸がグラマーやもんねえ。じゃあ一緒に上に上がろか。」
「すみません……。」
そうして奥さんと2階へ来た私は、先程のよりはだいぶ大きめのTシャツを手渡された。
「ちょうど名前ちゃんに合いそうなサイズのやつがなさそうなんよ。私のやとちっちゃいと思うから、烈のTシャツ着ててね」
「恐れ入ります……。」
坊っちゃんはバスケをしているのもあるのか、高一と言っても平均的な男子よりずっと背が高く、筋肉も整っている。私が勝手に借りてしまった坊っちゃんのTシャツは、さっきとは逆に丈が太ももに近いぶかぶかサイズだった。
でも、大は小を兼ねる。窮屈よりは楽に着れる方が余程いいだろう。
「すみません坊っちゃん。坊っちゃんの服借りてしまいました。さあ、お勉強はじめましょうか!」
「ぐ……!名前さん……。」
「明日の教科はなんですか?何が1番不安ですか?」
「ハハ……とりあえずオレは宿題の問題集ひたすら解くんで、名前さんには採点してもらいたいですわ……。」
坊っちゃんはなぜだか頭が少し痛そうな様子で顔がひきつり、私に視線を向けることなく問題集と向き合うのだった。
採点をした私は、文句なしの出来に思わず笑顔で坊っちゃんの頭を撫でてしまった。
「すごいです坊っちゃん、これならなんの問題もないですよ!
バスケも凄くてお勉強もできるんですね!」
「堪忍してや……。」
【次回へ続く】
南龍生堂で働き始めてから半年程経った頃。
大学の講義が終わりバイトに向かった私は、ナントカ心と秋の空、とはよく言ったもので、移ろいやすい秋空にすっかりしてやられてしまった。
その日一日晴れ渡っていた空は、私が最寄り駅から南家まで歩いている最中に、突如として大雨へと変わっていったのだ。
全身雨に打たれてずぶ濡れで南家へ着いた私を最初に見たのは、いつもはその時間には居ないはずの坊っちゃんだった。
「名前さん……!?傘、持ってへんかったんですか。」
「あれ、坊っちゃん?アハハ、ちょうど歩いてる時に降られてしまいました。
ごめんなさい、とりあえず乾かさないとバイト入れないですね。出来れば服も脱ぎたいです……。」
ひたひたと濡れた白いブラウスが肌にぺっとりと張りつく妙な感触が、気持ち悪くて落ち着かない。私は思わず腕を組んで俯いてしまった。
「…………っ!?」
「あらあら名前ちゃん、そないに濡れてもうて。こういう時は無理してバイト来なくてええんよ?」
そんな私の姿に気づいた奥さんが、優しく声をかけてくれた。
「奥さん、ご迷惑おかけしてすみません。」
「年頃のお嬢ちゃんが風邪ひくのはいかんから、ゆっくりうちの風呂入ってき。
今日は烈がテストの日で部活がないんよ。だからバイトのことは気にせんでええよ。」
「店主、ありがとうございます。お風呂お借りしますね。でも、坊っちゃんもお勉強しないと……出たらすぐに交代します!」
「そうねえ……じゃあ、お風呂出たら烈の勉強の面倒見たってくれへん?ほんで、手伝って欲しい時は声かけるから。今日はそれが、名前ちゃんのお仕事。どう?」
「母ちゃん!?何言うてんのや、オレは別に、」
「わかりました、奥さん。坊っちゃん、あとで一緒にお勉強がんばりましょうね。」
「よろしゅうね。濡れたお洋服は、今日の洗濯で一緒に洗っとくわね。」
こうしてお風呂を借りてからなるべく颯爽と済ませた私は、用意されていた奥さんのものと思われるTシャツと短めのズボンを着た。でも、奥さんはスリムでスタイルのいい女性のため、私にはややピチピチサイズ、胸の部分は、だいぶ窮屈なことになってしまった。
「あ、あの……。」
私は、少し気恥ずかしげにお店の方に顔を出した。
「ん、名前さ……!?!?」
「あら名前ちゃん。もうお風呂出たん?」
「奥さん……ごめんなさい、もう少し大きめの服はありますか?」
デブだと思われていないだろうか……という気まずさでもじもじとしてしまった私を見て、坊っちゃんは何やら固まってしまっていた。
「あらあら~ごめんね。名前ちゃんお胸がグラマーやもんねえ。じゃあ一緒に上に上がろか。」
「すみません……。」
そうして奥さんと2階へ来た私は、先程のよりはだいぶ大きめのTシャツを手渡された。
「ちょうど名前ちゃんに合いそうなサイズのやつがなさそうなんよ。私のやとちっちゃいと思うから、烈のTシャツ着ててね」
「恐れ入ります……。」
坊っちゃんはバスケをしているのもあるのか、高一と言っても平均的な男子よりずっと背が高く、筋肉も整っている。私が勝手に借りてしまった坊っちゃんのTシャツは、さっきとは逆に丈が太ももに近いぶかぶかサイズだった。
でも、大は小を兼ねる。窮屈よりは楽に着れる方が余程いいだろう。
「すみません坊っちゃん。坊っちゃんの服借りてしまいました。さあ、お勉強はじめましょうか!」
「ぐ……!名前さん……。」
「明日の教科はなんですか?何が1番不安ですか?」
「ハハ……とりあえずオレは宿題の問題集ひたすら解くんで、名前さんには採点してもらいたいですわ……。」
坊っちゃんはなぜだか頭が少し痛そうな様子で顔がひきつり、私に視線を向けることなく問題集と向き合うのだった。
採点をした私は、文句なしの出来に思わず笑顔で坊っちゃんの頭を撫でてしまった。
「すごいです坊っちゃん、これならなんの問題もないですよ!
バスケも凄くてお勉強もできるんですね!」
「堪忍してや……。」
【次回へ続く】