お姉さんシリーズ 南くん編
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「……シフト減らす?」
「はい……そろそろ就活が本格化するので。」
あと数ヶ月で大学4回生となる私は、2年半以上続けている近所のバイト先の薬局、南龍生堂のシフトを減らしたいと申し出ていた。
「就活?何言うてるんですか名前さん、南龍生堂やったらとっくに内定決まってるやないですか。ほんでオレと一緒に住んだらええんですよ。衣食住つきの職場やで。」
「あの、坊っちゃん……?」
目の前の坊っちゃんこと、私の雇い主の息子さん、南烈くんは、私の肩に両手をポンっと置いて次のように続けた。
「おめでとう、早くも就職先決定やね。名前さん。ほな、来週からもいつも通りうちに来ることや。
あ、オレのこと坊っちゃんって言ったらもうアカンですよ。ちゃんとこれからは烈って言ってもらわんと。アンタの将来のダンナやねんから。」
「ぼ、坊っちゃんがグイグイ来るぅぅ……。」
坊っちゃん……烈くんは、最初はこんなに押しが強いわけではなかった。
何故、こんなことになってしまっているのか……。
坊っちゃんと私の、思い出を遡っていきたいと思う。
【一年目・春】
大学生になった春。私は他の地方から進学のために大阪へと来た。
全く違う地方から、慣れない土地で1人。不安ではあったけれど、家が決して裕福ではなかった私は仕送りが少なく、大阪に来たら早くバイト先を見つけたいと思っていた。
『 急募 学生アルバイト
週X回~ 時給XXX円
レジ打ち、品出し、清掃等 南龍生堂』
下宿先のアパートの近くには薬局があり、ちょうどバイト募集の貼り紙がされているのを見て応募した。それが、これから2年半以上お世話になる南龍生堂さんだった。
家族経営のお店で、バイトは私1人。店主と奥さんは暖かく私を迎え入れてくれた。
「名前ちゃん、こいつはうちの倅の烈や。」
「はじめまして、烈くん。よろしくお願いしますね。」
「よろしゅう。」
「烈が高校でえらい強豪のバスケ部入ってもうて、練習三昧で全然手伝いできへんくなったんよ。名前ちゃんが来てくれて、ほんま助かるわあ~。」
出会った時の坊っちゃんは入学したての高校生で、今より髪が短く、まだ初々しく少し大きめの制服を着ていた。
奥さんの言う通り、全国強豪レベルの部活に入っている坊っちゃんは平日は夜まで、休みの日も練習漬け。とてもでは無いが実家の手伝いをする余裕は無さそうだった。
私は薬局のバイトをした事はなかったけれど、ご夫婦はとにかく優しく教えてくれて、お客さんから「おおきに」って言われるのもすぐに馴染んでしまった。
ありがたいことに、南さんご夫婦はよく「よかったら今日もご飯うちで食べてってな。」と言ってくれて、食費の面でも救われた。部活帰りの坊っちゃんと一緒に食卓を囲むことも少なくはなかった。
「坊っちゃん、毎日がんばってますね。部活、楽しいですか?
あっ、お米のおかわり持ってきましょうか?」
「おおきに名前さん、頼みますわ。
……部活はまあ、ぼちぼちですわ。」
そのような感じで、地方から1人きりで出てきて心細かった私にとっては、南さんのおうちは大阪での第2の家のようなものになっていった。
【次回へ続く】
「はい……そろそろ就活が本格化するので。」
あと数ヶ月で大学4回生となる私は、2年半以上続けている近所のバイト先の薬局、南龍生堂のシフトを減らしたいと申し出ていた。
「就活?何言うてるんですか名前さん、南龍生堂やったらとっくに内定決まってるやないですか。ほんでオレと一緒に住んだらええんですよ。衣食住つきの職場やで。」
「あの、坊っちゃん……?」
目の前の坊っちゃんこと、私の雇い主の息子さん、南烈くんは、私の肩に両手をポンっと置いて次のように続けた。
「おめでとう、早くも就職先決定やね。名前さん。ほな、来週からもいつも通りうちに来ることや。
あ、オレのこと坊っちゃんって言ったらもうアカンですよ。ちゃんとこれからは烈って言ってもらわんと。アンタの将来のダンナやねんから。」
「ぼ、坊っちゃんがグイグイ来るぅぅ……。」
坊っちゃん……烈くんは、最初はこんなに押しが強いわけではなかった。
何故、こんなことになってしまっているのか……。
坊っちゃんと私の、思い出を遡っていきたいと思う。
【一年目・春】
大学生になった春。私は他の地方から進学のために大阪へと来た。
全く違う地方から、慣れない土地で1人。不安ではあったけれど、家が決して裕福ではなかった私は仕送りが少なく、大阪に来たら早くバイト先を見つけたいと思っていた。
『 急募 学生アルバイト
週X回~ 時給XXX円
レジ打ち、品出し、清掃等 南龍生堂』
下宿先のアパートの近くには薬局があり、ちょうどバイト募集の貼り紙がされているのを見て応募した。それが、これから2年半以上お世話になる南龍生堂さんだった。
家族経営のお店で、バイトは私1人。店主と奥さんは暖かく私を迎え入れてくれた。
「名前ちゃん、こいつはうちの倅の烈や。」
「はじめまして、烈くん。よろしくお願いしますね。」
「よろしゅう。」
「烈が高校でえらい強豪のバスケ部入ってもうて、練習三昧で全然手伝いできへんくなったんよ。名前ちゃんが来てくれて、ほんま助かるわあ~。」
出会った時の坊っちゃんは入学したての高校生で、今より髪が短く、まだ初々しく少し大きめの制服を着ていた。
奥さんの言う通り、全国強豪レベルの部活に入っている坊っちゃんは平日は夜まで、休みの日も練習漬け。とてもでは無いが実家の手伝いをする余裕は無さそうだった。
私は薬局のバイトをした事はなかったけれど、ご夫婦はとにかく優しく教えてくれて、お客さんから「おおきに」って言われるのもすぐに馴染んでしまった。
ありがたいことに、南さんご夫婦はよく「よかったら今日もご飯うちで食べてってな。」と言ってくれて、食費の面でも救われた。部活帰りの坊っちゃんと一緒に食卓を囲むことも少なくはなかった。
「坊っちゃん、毎日がんばってますね。部活、楽しいですか?
あっ、お米のおかわり持ってきましょうか?」
「おおきに名前さん、頼みますわ。
……部活はまあ、ぼちぼちですわ。」
そのような感じで、地方から1人きりで出てきて心細かった私にとっては、南さんのおうちは大阪での第2の家のようなものになっていった。
【次回へ続く】
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