恥ずかしいこと

 指先。手のひら。鎖骨。首筋。
 立香は、蘭陵王の指先から始めて、少しずつ頭にのぼっていくように口付けをする。
 ちゅ、ちゅ、と唇が触れるだけのキスをしている立香の顔は真っ赤だった。
 蘭陵王の頬に接吻したところで、

「も、もうやめる……」

 と降参した。

「いえ、続けてください」

 蘭陵王は恥じらう立香を見ても尚、続きを要求する。

「やめました! やめました!!」

「続けてください」

「もう、恥ずかしくなってきた……」

 顔を手で覆って隠そうとする立香に、蘭陵王は無慈悲にも手を優しく握ってどかす。

「ふふ……では私が、もっと恥ずかしいこと、してあげますね?」

「ヒェッ……」

 蘭陵王の目は本気だと語っている。
 立香はこれから自分が何をされるのか、不安と期待で背筋がゾクゾクと粟立つのだった。

〈了〉
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