グッドルッキングブレイブ

 蘭陵王と一緒に、今年も熱い夏が始まる――!

「あら、グッドルッキングブレイブ」

 ――ざんねん。ここであなたの夏は終わった。
 そう、イケメン好きのメイヴちゃんが、歴史書に残るレベルのイケメン、蘭陵王を見逃すはずがなかったのだ。

 ここであなたに与えられる選択肢は2つある。
 メイヴちゃんに蘭陵王を献上するか、抵抗したのちにあなたごとメイヴちゃんに献上されるかである。
 まあ、端的に言えば、あなたに拒否権などない。

 このあと、どうなるかもだいたい予想がつく。
 騎乗兵(ライダー)であるメイヴちゃんに蘭陵王が騎乗(ライディング)されて、18歳未満には見せられない事態に陥るか。
 水着のメイヴちゃんはセイバーだけれども、セイバーにもクラススキルで騎乗があるため、どのみちおしまいである。詰んでいる。

 ――終わった、私と蘭陵王の夏……。

 あなたは夏のせいだけでない、冷たい汗を背中に感じることだろう。
 下手したら蘭陵王のみならず、あなたも被害者になるからだ。
 それでもあなたは、蘭陵王だけでもなんとか逃がせないか思案にくれるだろう。
 カルデアのマスターは優しいから。

「メイヴ殿、水着が良くお似合いで」

 何も知らない蘭陵王は、普通に挨拶を交わしている。
 気を良くしたメイヴちゃんは、あなたと蘭陵王を誘ってショッピングに出かけようと提案する。
 もはや逃げ場なしである。
 このままメイヴちゃん率いるグッドルッキングブレイブの一員になるのは時間の問題と思われた。

「申し訳ございません。これからマスターとデートの予定ですので」

 蘭陵王からの不意打ちである。
 あなたは蘭陵王から放たれるイケメンオーラで2D10。
 判定失敗で一時的発狂、頭を冷やそうと海に飛び込むだろう。

「ふ……マスターもはしゃいでおられる」

 何ひとつ気付いていない蘭陵王。
 メイヴちゃんは「あら、残念。まあ、私もクーちゃんみたいに筋肉質な勇士のほうが好みだし」とあっさり解放してくれる。

「じゃあ、マスター! デートの感想、あとで聞かせてね!」

 モデル歩きをしながら立ち去るメイヴちゃん。
 蘭陵王はあなたを海から引き上げ、「それでは我々も楽しむとしましょうか」と、爽やかに笑う。

「マスターと、あと何年、こうして夏を過ごせるか、わかりませんからね」

 蘭陵王は寂しげに微笑んでいた。
 ――あなたはその言葉の意味を、少しだけ考えてしまう。
 何にせよ、あなたと蘭陵王は難を逃れた。
 次の厄災が来る前に、夏を思い切り楽しもう。

〈了〉
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