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蘭ぐだ♀がいっしょにお風呂に入る話

 ――なんでこうなった……?
 立香は浴槽に浸かりながら混乱した頭で考える。その背中には蘭陵王の身体がぴったりと張り付いている。そう……立香は蘭陵王と一緒に風呂に入っているのである。それは混乱する。
 きっかけは立香の悪ふざけであった。
「お風呂沸いたけど、一緒に入る?」
 立香は冗談のつもりで蘭陵王にセクハラをかます。
 蘭陵王はといえば、少し驚いたように目を見開き、考え込むように黙ったままだった。
 あ、さすがにドン引かれているかもしれない。冗談だとはぐらかそうとしたその時。
「いいですよ」と蘭陵王が一言、そう言ったのだ。
「えっ」今度は立香が驚く番であった。
「一緒に入りましょうか」蘭陵王はニッコリと微笑んだ。
 そこからは冗談だと言っても無駄であった。「お背中お流しいたします」とやや強引に押し切られ、今に至る。浴槽で二人で入っているこの状況。背中に感じる蘭陵王の引き締まった胴体を意識するだけでのぼせそうだ。
「マスター……そろそろお身体を清めましょうか」
 蘭陵王は立香を抱きかかえるように浴槽から上がる。立香は身体に巻いたタオルをぎゅっと握りしめる。
「じ、自分で洗えるから……」
「では、手が届かないでしょうからお背中を」
 蘭陵王の指が背中に触れて、立香の肩がびくりと震え上がった。
「……申し訳ありません。お嫌でしたらこのまま退出致します」
 その声があまりにも寂しそうで、思わず「いっ……嫌じゃない、です……」と返してしまった。
 立香の許可を得た蘭陵王は、そのまま彼女の背中を洗い始める。
(ううう、なんか落ち着かないし恥ずかしいな……)
 立香は自らの身体の前面を洗いながら、羞恥心に耐えていた。
「…………」
 蘭陵王は黙って立香の背中を丹念に洗っていたが、突然ピタッと動きを止めた。
「………? 蘭陵王……?」
 しばらく停止した蘭陵王を訝しく思い、立香は声をかける。
 しかし、蘭陵王は突然立香の首筋に顔を近づけると、ちゅ、と吸い始めた。
「うぇっ!? な、なに!?」
 キスされている、と気付くのに十秒もかからなかった。
 蘭陵王はお構い無しに、耳にも唇を寄せ、「マスター……」と低く囁いた。
「だ、ダメ、蘭陵王……!」
 蘭陵王は立香のタオルに手を伸ばし、



「香子さん、何書いてるの?」
「ひゃっ!?」
 ――地下図書館。
 立香は紫式部が熱心に何やら書いているところに声を掛けると、紫式部は大層驚いた様子で書いていた紙を隠そうとする。
「次のサバフェスに出す小説本? 私も読んでみたいな」
「い、いいいえっ、これは日記ですのでお見せするのはちょっと……!」
「そっかー、残念」
 そう。紫式部はサバフェスに向けて蘭陵王×マスターのR指定小説を執筆していたのである。
(……これをサバフェスに出すのは危険かもしれませんね……万が一マスターのお目に入ったら怒られるでは済まないかも……)
 紫式部は泣く泣く小説をボツにするべきかどうか悩む羽目になったのであった。

〈了〉
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