長篇
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*****
万事屋へ戻ると銀時と神楽はドカッとソファに身体を預けて盛大な溜め息を吐いた。
「銀さんも神楽ちゃんもご苦労様でした。お風呂……はまだお湯張ってないし、先にご飯かな。簡単なものでも良い?」
「ああー、何でもいいや」
「あかりー、私は甘い卵焼きが食べたいアル」
「はいはい。じゃあ、ちょっと休んで待っててね」
エプロンを着け台所へ向かうあかり。帰って一番に腰を下ろした自分達とは反対に、一度も止まる様子を見せずに動く姿に思わず土方に言われた言葉を思い出す銀時。
『 いつまでも家事手伝いしてもらえると思ってんじゃねーよ 』
「……別にそんな風に思っちゃいねーよ」
「銀ちゃんなんか言ったアルかー?」
「なんにもー」
「どこ行くネ、トイレか?」
「んー」
ソファから腰を上げた銀時が肯定とも否定とも取れる声で部屋を出て、それから少しすると浴室の方から水音が聞こえてきた。その音に気付いたあかりが手を止めて様子を窺うと、そこにはせっせと浴槽を磨く銀時の姿があった。
「あ、ご飯よりお風呂が先の方が良かったですか?」
「いや、まあ、洗っておけば飯食ってる間にお湯溜まるじゃん?」
「そうですけど……じゃあ、お願いしますね」
仕事が無い日なら兎も角、こんな疲れている日に頼まれる前に風呂掃除をする銀時に僅かに違和感を抱きつつも、わざわざ気を削ぐ必要もないかと素直にお願いすることにしてあかりは朝食の準備に戻った。
*****
食事と風呂を終えると徹夜の限界が来たのか、神楽はすぐに押入れで休んでしまった。銀時もソファに寝転びながらテレビの適当なチャンネルを特に意識もせず眺める。
「銀さん、お布団で寝たらどうですか?」
「んー」
洗濯物を干し終えたあかりがソファの端に座り、今にも手から滑り落ちそうになっていたテレビのリモコンを銀時から奪って身体を揺する。
「お前は寝ないの?」
「私もそろそろ限界です」
小さな欠伸をして目尻に涙を浮かべたあかりは、横たわる銀時にそのまま背を預けた。そして本当に眠気がピークまで来ていたのか、凭れていた身体がそのままゆっくりと横に倒れる。
「……うおっと、危ねえ」
二人寝転ぶには十分とはいえない深さのソファから崩れ落ちそうになるあかりを受け止め、少し自分の方へ寄せる。もう殆ど意識は夢の中へ行ってしまっているのか、「銀さん……寝るならお布団ですよ」なんて言いながら自分もソファに転がっている。
「銀さん……」
「んー?」
「……お布団、です」
「夏だし、問題ねーよ」
「お、ふと……ん」
「あー、はいはい」
生返事を続けていると完全に落ちたようで、言葉は途絶えて静かな寝息に変わる。一日と少しの間、休む間も無かっただろうあかりの無防備な寝顔に「お疲れさん」と小さく囁いて、銀時もまた眠りへと沈んでいった。
第5話 彼女の望む場所について 終
万事屋へ戻ると銀時と神楽はドカッとソファに身体を預けて盛大な溜め息を吐いた。
「銀さんも神楽ちゃんもご苦労様でした。お風呂……はまだお湯張ってないし、先にご飯かな。簡単なものでも良い?」
「ああー、何でもいいや」
「あかりー、私は甘い卵焼きが食べたいアル」
「はいはい。じゃあ、ちょっと休んで待っててね」
エプロンを着け台所へ向かうあかり。帰って一番に腰を下ろした自分達とは反対に、一度も止まる様子を見せずに動く姿に思わず土方に言われた言葉を思い出す銀時。
『 いつまでも家事手伝いしてもらえると思ってんじゃねーよ 』
「……別にそんな風に思っちゃいねーよ」
「銀ちゃんなんか言ったアルかー?」
「なんにもー」
「どこ行くネ、トイレか?」
「んー」
ソファから腰を上げた銀時が肯定とも否定とも取れる声で部屋を出て、それから少しすると浴室の方から水音が聞こえてきた。その音に気付いたあかりが手を止めて様子を窺うと、そこにはせっせと浴槽を磨く銀時の姿があった。
「あ、ご飯よりお風呂が先の方が良かったですか?」
「いや、まあ、洗っておけば飯食ってる間にお湯溜まるじゃん?」
「そうですけど……じゃあ、お願いしますね」
仕事が無い日なら兎も角、こんな疲れている日に頼まれる前に風呂掃除をする銀時に僅かに違和感を抱きつつも、わざわざ気を削ぐ必要もないかと素直にお願いすることにしてあかりは朝食の準備に戻った。
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食事と風呂を終えると徹夜の限界が来たのか、神楽はすぐに押入れで休んでしまった。銀時もソファに寝転びながらテレビの適当なチャンネルを特に意識もせず眺める。
「銀さん、お布団で寝たらどうですか?」
「んー」
洗濯物を干し終えたあかりがソファの端に座り、今にも手から滑り落ちそうになっていたテレビのリモコンを銀時から奪って身体を揺する。
「お前は寝ないの?」
「私もそろそろ限界です」
小さな欠伸をして目尻に涙を浮かべたあかりは、横たわる銀時にそのまま背を預けた。そして本当に眠気がピークまで来ていたのか、凭れていた身体がそのままゆっくりと横に倒れる。
「……うおっと、危ねえ」
二人寝転ぶには十分とはいえない深さのソファから崩れ落ちそうになるあかりを受け止め、少し自分の方へ寄せる。もう殆ど意識は夢の中へ行ってしまっているのか、「銀さん……寝るならお布団ですよ」なんて言いながら自分もソファに転がっている。
「銀さん……」
「んー?」
「……お布団、です」
「夏だし、問題ねーよ」
「お、ふと……ん」
「あー、はいはい」
生返事を続けていると完全に落ちたようで、言葉は途絶えて静かな寝息に変わる。一日と少しの間、休む間も無かっただろうあかりの無防備な寝顔に「お疲れさん」と小さく囁いて、銀時もまた眠りへと沈んでいった。
第5話 彼女の望む場所について 終