本編
俺が煙草を吸い始めたのはいつだったっけ。
俺は煙草を片手に、自室のベランダから外を眺めていた。
確か、中学生の頃かな……先輩からもらって吸ってみたんだったか。
最初の一口目は煙すぎてめちゃめちゃむせた記憶がある。
最近はもう慣れてきてなんてことなく吸えるようになったけど、初めは吸い方もよくわかんなくてただふかしてるだけだったなぁ。
「鳴枦くんー」
「はーい、どうしたの琉華ちゃん」
ノックの音がして、琉華ちゃんが部屋に入ってきた。
「……鳴枦くん、煙草吸うんだ」
「あー……まぁね。で、どうかした?」
俺が部屋の中に戻ろうとしたら、「来ないで」と言われてしまう。
「えっ」
「私、これから任務なの。それで鳴枦くんの資料ついでに預かったから渡しに来ただけ」
ここに置いてくね。と早口で言って、琉華ちゃんはドア近くにある棚の上に資料を置くなり出ていってしまった。
……どうしたんだろう?
俺は不思議に思いながらも資料を取りに部屋に戻ろうとした。
さすがに室内で煙草はまずいか。と火を消してから思う。
……最初、琉華ちゃんなんて言ったっけ?
ちょっとびっくりした顔で「煙草吸うんだ」って言ってなかった?
もしかして、煙草嫌いなのか?
「……あ〜〜〜〜」
全てに納得がいってしまった。しかしどうしたものか……幸か不幸か、次の任務は一緒じゃないみたいだ。うーん、多分このままじゃしばらく避けられそうだな。
俺は急いでキャンディを口に突っ込み、部屋から出た。
琉華ちゃん、どこだろう。自室か談話室か書庫か……とりあえず部屋に行ってみようか。
「……琉華ちゃん?」
「どうしたの、鳴枦くん」
「よかった、部屋にいたんだ」
声はするものの、ドアは開けてくれなかった。
「あの〜〜〜〜……入っていいかな?」
「なんで?急用?」
「そうじゃないけど……」
これ完全に避けられてるやつですね。いつもならすぐに部屋入れてくれるのに……
「えっと……怒ってる?琉華ちゃん、煙草嫌いなのかな、もしかして」
「あ、わかった?」
別に嫌いとかじゃないんだけどねー、と琉華ちゃんは笑っていた。
「まぁ法律だけどさ…」
「え?……私たちが今更法律とか言う?」
「そ、それもそうだね……じゃあ何で?」
俺が扉越しにそう聞けば、琉華ちゃんは黙ってドアを開けた。
「何でだと思う?」
そう聞いてきた琉華ちゃんの表情はとても大人びていて、どこか儚げで……
「琉華、ちゃん」
「……別に、なんでもないんだ。ごめんね?意地悪して」
言葉に詰まってしまった俺の背中を、部屋入っていいよ、と琉華ちゃんは押してくれた。
「今お茶いれるね。……あれ、甘い匂い。飴か何か食べてた?」
「あ、うん……匂い消しにと思って」
「あっはははそんなんで誤魔化せるわけないじゃん、鳴枦くんアホなの?」
ツボにハマったのか、琉華ちゃんが珍しく声をあげて笑った。琉華ちゃんのツボはたまに理解不能だ。
「……焦ってたんだよ」
「あは、そんなに私に避けられたの嫌だった?」
「嫌だった、かも」
「あははは!!やだ鳴枦くん素直!!」
次はもっと真剣に匂い消しについて考えよう……いや、もういっそのこと禁煙するか?
「タバコ、やめちゃえばいいのに」
俺の脳内を見透かしたかのように、琉華ちゃんは笑った。
「……頑張る」
3年前からずっと吸ってきたのに今更辞めるとか難しいかもしれないけど、少しずつ減らしていけたらいいな。匂いが強いのは任務にも差し支えるしな、うん。
匂い消しの方法もだけど、禁煙の方法も考えないとなぁ。なんて思いながら、2人でのアフタヌーンティーを楽しんだのだった。
俺は煙草を片手に、自室のベランダから外を眺めていた。
確か、中学生の頃かな……先輩からもらって吸ってみたんだったか。
最初の一口目は煙すぎてめちゃめちゃむせた記憶がある。
最近はもう慣れてきてなんてことなく吸えるようになったけど、初めは吸い方もよくわかんなくてただふかしてるだけだったなぁ。
「鳴枦くんー」
「はーい、どうしたの琉華ちゃん」
ノックの音がして、琉華ちゃんが部屋に入ってきた。
「……鳴枦くん、煙草吸うんだ」
「あー……まぁね。で、どうかした?」
俺が部屋の中に戻ろうとしたら、「来ないで」と言われてしまう。
「えっ」
「私、これから任務なの。それで鳴枦くんの資料ついでに預かったから渡しに来ただけ」
ここに置いてくね。と早口で言って、琉華ちゃんはドア近くにある棚の上に資料を置くなり出ていってしまった。
……どうしたんだろう?
俺は不思議に思いながらも資料を取りに部屋に戻ろうとした。
さすがに室内で煙草はまずいか。と火を消してから思う。
……最初、琉華ちゃんなんて言ったっけ?
ちょっとびっくりした顔で「煙草吸うんだ」って言ってなかった?
もしかして、煙草嫌いなのか?
「……あ〜〜〜〜」
全てに納得がいってしまった。しかしどうしたものか……幸か不幸か、次の任務は一緒じゃないみたいだ。うーん、多分このままじゃしばらく避けられそうだな。
俺は急いでキャンディを口に突っ込み、部屋から出た。
琉華ちゃん、どこだろう。自室か談話室か書庫か……とりあえず部屋に行ってみようか。
「……琉華ちゃん?」
「どうしたの、鳴枦くん」
「よかった、部屋にいたんだ」
声はするものの、ドアは開けてくれなかった。
「あの〜〜〜〜……入っていいかな?」
「なんで?急用?」
「そうじゃないけど……」
これ完全に避けられてるやつですね。いつもならすぐに部屋入れてくれるのに……
「えっと……怒ってる?琉華ちゃん、煙草嫌いなのかな、もしかして」
「あ、わかった?」
別に嫌いとかじゃないんだけどねー、と琉華ちゃんは笑っていた。
「まぁ法律だけどさ…」
「え?……私たちが今更法律とか言う?」
「そ、それもそうだね……じゃあ何で?」
俺が扉越しにそう聞けば、琉華ちゃんは黙ってドアを開けた。
「何でだと思う?」
そう聞いてきた琉華ちゃんの表情はとても大人びていて、どこか儚げで……
「琉華、ちゃん」
「……別に、なんでもないんだ。ごめんね?意地悪して」
言葉に詰まってしまった俺の背中を、部屋入っていいよ、と琉華ちゃんは押してくれた。
「今お茶いれるね。……あれ、甘い匂い。飴か何か食べてた?」
「あ、うん……匂い消しにと思って」
「あっはははそんなんで誤魔化せるわけないじゃん、鳴枦くんアホなの?」
ツボにハマったのか、琉華ちゃんが珍しく声をあげて笑った。琉華ちゃんのツボはたまに理解不能だ。
「……焦ってたんだよ」
「あは、そんなに私に避けられたの嫌だった?」
「嫌だった、かも」
「あははは!!やだ鳴枦くん素直!!」
次はもっと真剣に匂い消しについて考えよう……いや、もういっそのこと禁煙するか?
「タバコ、やめちゃえばいいのに」
俺の脳内を見透かしたかのように、琉華ちゃんは笑った。
「……頑張る」
3年前からずっと吸ってきたのに今更辞めるとか難しいかもしれないけど、少しずつ減らしていけたらいいな。匂いが強いのは任務にも差し支えるしな、うん。
匂い消しの方法もだけど、禁煙の方法も考えないとなぁ。なんて思いながら、2人でのアフタヌーンティーを楽しんだのだった。
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