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不機嫌な男

「これで満足かな、糸姉さん」
「その名前で呼ばないでくれる?気持ち悪いから」
「人に頼んでおいてそれはないんじゃ…で、一体何をやらかしたんだ?」
「何で私が何かしたなんて思うのよ」
「いや、何もしてなければ自分で行くだろ」
「…私は何もしてないわ」
「じゃあ誰が何を」
「教える気があると思う?」
「…まあ、あったら驚くな」
「そういうこと。あんたはなんで色くんの好きな銘柄知ってるのよ」
「あれ、俺も好きなやつなんだよな。稀に店にあの香りが残ってるから、吸ってるんだなあと」
「……気持ち悪いわね」
「糸姉さんだって知ってたじゃないか」
「姉なんだから当然でしょ。あと姉さん呼びやめて」
「そういや、店の前であたふたしてたから頼まれてはみたが…見返りとして俺は何を望めるんだろうな?」
「…勝手に言えば。聞かないけど」
「そうだな、君の今の本業を教えてほしいなあ」
「はあ…?」
「君が作曲家だけとか、有り得ないだろう?悪の総裁だとか、裏会社の社長とか…」
「…気でも狂った?それとも殺されたいのかしら」
「はは、姉弟揃って物騒だなあ」
「完っ全に自業自得よ」
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