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小話1


「あなたがカクテルを作ってるところは本当に様になりますねえ」
「褒めても何も出ませんよ…」
カウンター席とバーの向こう、二人は微笑みあっているんだけど、何故か雰囲気が怖い。
「何だかすみません…」
水の入ったグラスを置きながら常連、愛理さんに謝る。
いつも通りですよ、と返され苦笑するしかない。
「安城さん、昼にも営業してみたらどうかしら?今年のお店大賞はうちじゃなくなるかも」
「いえいえとんでもない。三好さんこそ夜営業もしてみては?簡単なメニューなら教えられますよ」
「あらまあ」
(怖い…)
上品に笑う三好さんと、控えめに微笑む安城さん。
どちらも普段はあんな人ではないんだけど。
(マスターはお店の話になると性格が変わるからなあ)
三好さんも、自分の仕事に誇りを持っているようだ。
(そしてああなる…)
うふふ、はははと和やかに談笑している二人から目線をそらせば隣でグラスを握ったままの愛理さんがぽやんとしている。
(…可愛いなあ…)
ああ、ここで永遠に接客していたい。
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