──な部屋
夕食は余ったパンケーキ、彼女の起きる気配はない。
「本当に低気圧来てたんか…」
暗い浴室に、独り言が響く。
覗いてもネズミ一匹入っていない換気口からそれでもかすかに聞こえる雨音は、唯一聞こえる外部の音だ。
(何もかかっとらん…てことは今夜も二人か)
居間に戻れば彼女が飽きもせずカーペットですやすや寝ていた。
くるりと丸まって、まるで本物の猫のようだ。
「あんた、また夜眠れんくなるで…」
もっともそのうち起きるだろうと放っておいたのも俺だが。
今更叩き起こすよりは眠らせておく方が無難だろう。
(…今日は俺も早よ寝るか。何やかんやで昨日殆ど寝とらんし…)
シャワーを浴びて寝る支度を済ませ、さてベッドとソファのどちらを選ぼうかと迷う。
(この期に及んで襲われるとかは、多分ないな。労力の無駄過ぎや。ソファにして彼女にまた飛び込んで来られても困るしな…ベッドのが困るか?どっちでも同じか…)
無駄に悩んだ末にソファを選んだ。
(…ほんま、振り回されっぱなしやな。ええ加減にしてほしいわ)
電気を消して、傍の床で寝る彼女に何となく、声をかけた。
特に意味もない一言、やめておけばよかったのだ。
「おやすみ。良い夢見いや」
小さく身じろぎした彼女は、妙にはっきりと、彼の名を呼んだ。
「…んん、おやすみ敬慈…」
頭のどこかで、張り詰めた糸が切れた。
「本当に低気圧来てたんか…」
暗い浴室に、独り言が響く。
覗いてもネズミ一匹入っていない換気口からそれでもかすかに聞こえる雨音は、唯一聞こえる外部の音だ。
(何もかかっとらん…てことは今夜も二人か)
居間に戻れば彼女が飽きもせずカーペットですやすや寝ていた。
くるりと丸まって、まるで本物の猫のようだ。
「あんた、また夜眠れんくなるで…」
もっともそのうち起きるだろうと放っておいたのも俺だが。
今更叩き起こすよりは眠らせておく方が無難だろう。
(…今日は俺も早よ寝るか。何やかんやで昨日殆ど寝とらんし…)
シャワーを浴びて寝る支度を済ませ、さてベッドとソファのどちらを選ぼうかと迷う。
(この期に及んで襲われるとかは、多分ないな。労力の無駄過ぎや。ソファにして彼女にまた飛び込んで来られても困るしな…ベッドのが困るか?どっちでも同じか…)
無駄に悩んだ末にソファを選んだ。
(…ほんま、振り回されっぱなしやな。ええ加減にしてほしいわ)
電気を消して、傍の床で寝る彼女に何となく、声をかけた。
特に意味もない一言、やめておけばよかったのだ。
「おやすみ。良い夢見いや」
小さく身じろぎした彼女は、妙にはっきりと、彼の名を呼んだ。
「…んん、おやすみ敬慈…」
頭のどこかで、張り詰めた糸が切れた。