不機嫌な男
「君、不機嫌だな」
「…不機嫌な奴にそれを言うか」
「とりあえず言ってみる、それが俺のやり方…うわっ殴らないでくれるかな!?俺は弱いんだぞ!?当たりどころ悪ければ死ぬぞ!?」
「…死ねばいいんじゃないか?」
「…ほんっとうに機嫌が悪いのは分かったから拳を解いてくれ…」
「お前を殴らない自信がないからさっさと帰ってくれるとありがたい。なんで休業日に来るんだ」
「俺の予定が空いてたからかな。…何があったんだ?」
「お前に関係がないことだ」
「ふーん…店関係か、部下のことか」
「…もっと個人的なことだ。いいから帰ってくれ」
「…そうだな、俺も殴られたくないし…どうやら俺にはどうすることもできなさそうだ。退散するよ」
「ああ…これからもなるべく来るなよ」
「はは…ああ、そうだ。たいしたものじゃないけど、土産があるんだ…気晴らしくらいにはなるだろ?」
「投げてよこすなよ…」
「それでも難なく受け止めるのが君だろ。じゃあな」
「…なんなんだあいつは…」
薄暗い店内に、静けさが戻る。
投げて寄越された物を、改めて見直せば。
「…煙草…」
しかも、見知った銘柄だ。
(普段は吸わないのに…あいつなんで知ってるんだ)
おもむろに一本取り出して咥え、火をつける。
馴染んだ香りがした。
(…あいつはたまに不気味だ)
薄暗い店内にくゆらせた煙が漂うのを、ぼんやりと見つめた。
「…不機嫌な奴にそれを言うか」
「とりあえず言ってみる、それが俺のやり方…うわっ殴らないでくれるかな!?俺は弱いんだぞ!?当たりどころ悪ければ死ぬぞ!?」
「…死ねばいいんじゃないか?」
「…ほんっとうに機嫌が悪いのは分かったから拳を解いてくれ…」
「お前を殴らない自信がないからさっさと帰ってくれるとありがたい。なんで休業日に来るんだ」
「俺の予定が空いてたからかな。…何があったんだ?」
「お前に関係がないことだ」
「ふーん…店関係か、部下のことか」
「…もっと個人的なことだ。いいから帰ってくれ」
「…そうだな、俺も殴られたくないし…どうやら俺にはどうすることもできなさそうだ。退散するよ」
「ああ…これからもなるべく来るなよ」
「はは…ああ、そうだ。たいしたものじゃないけど、土産があるんだ…気晴らしくらいにはなるだろ?」
「投げてよこすなよ…」
「それでも難なく受け止めるのが君だろ。じゃあな」
「…なんなんだあいつは…」
薄暗い店内に、静けさが戻る。
投げて寄越された物を、改めて見直せば。
「…煙草…」
しかも、見知った銘柄だ。
(普段は吸わないのに…あいつなんで知ってるんだ)
おもむろに一本取り出して咥え、火をつける。
馴染んだ香りがした。
(…あいつはたまに不気味だ)
薄暗い店内にくゆらせた煙が漂うのを、ぼんやりと見つめた。