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七夕記録


「忙しかったですねー」
「イベントだからな…」
「短冊外しますよ」
「ああ」
後片付けもあらかた終わり、最後に残った笹から涼宮が丁寧に短冊を外していく。
それをぱらぱらとめくれば、当然ながら彼氏彼女の字が目立った。

「まあ、恋愛関係ばっかりだよな」
「いえ、これとか『百発百中』って書いてありますよ」

差し出された桃色の短冊には、見覚えのある字体。
「何がですかね?」
「…さあな…」
取り繕うように、落ちていた短冊を拾う。
「…『犯罪撲滅』…」
「うちには相応しくないですね…。こっちは『平和に暮らす』ですよ」
「一体何があったんだろうな」
「犯罪者仲間だったりして」
「あまり嬉しくないな…」
「ですよね…あれ、変なの混ざってますよ」

涼宮が摘み上げたのは水色の短冊。
「『今年もよろしく』…この傘のマーク、たしか…」
無駄に達筆なコメントの下に書かれたのは、青い傘。
憎き常連のトレードマークだ。

「…分かった上で言ってるんですよね?…愛されてますねえ…」
「これはおちょくられてるって言うんだ…」
つきそうになった溜息はあいつを喜ばせるだけだと思い至って、やめた。
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