Day one
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◾️私の場合◾️
5日前のこと。
『じゃ、1週間よろしくね!』
そんなかるーい上司のひとことで、急に出張が決まったのである。
私は自社の関西支店へ短期出張にきていた。
来る前は憂鬱だったけれど、初めて顔を合わせた即席のチームメンバーは話しやすくて面白くて、良い人ばかりだった。特に朝から飛び交っていたボケとツッコミの応酬にはさすが関西の血、と感嘆せざるを得なかった。
怒涛の勢いで通り過ぎた午前中を振り返りながら、少し早めにもらった昼休憩に社外へ繰り出した。
手頃なランチを探す。食べやすくて、提供が早くて、お値段も手頃なところ。
スーツ姿の人が行き交う見慣れない街で、ふと目に留まったおにぎり屋さんに入った。
「いらっしゃい」
ガラガラと音のする引き戸を開けて暖簾をくぐると、歓迎の声をかけられる。
「えっと…日替わりランチをお願いします」
カウンター席に腰掛けながら、目立つ位置にでかでかと書かれていたメニューを注文する。
この丸椅子、座り心地がなかなか良いなあ。
ちらと上に目線を移すと、飲食店には似つかわない精悍な男性店員にどきりとした。
思わず目を逸らすように店内に視線を移すと、シンプルながらも居心地の良い内装。
なんとなくで入ったけど、なるほど。さっそく素敵なお店を見つけたかもしれない。
「おまちどぉ」
あっという間に目の前に置かれた日替わりランチは、食べ応えのありそうなおにぎりとほかほかの豚汁のセット。炊き立てのお米と豚汁のどう考えたって美味しそうな香りに、私の胃袋はノックアウト寸前だ。
「いただきます」
堪えきれずひとくち。食べてびっくり、予想以上!とんでもなく美味しい。
「ん?!…うっま!」
口を突いて出た社会人レディにあるまじき言葉遣いにハッとしていると、「そうやろそうやろ」と声が降ってきた。
見上げると自慢げな笑顔の店員。
かぁと顔が熱くなるのを感じた。
「今日の日替わり、とっておきやねん。ゆっくり食べていってな」
……心臓がうるさい。
例の店員が気になってしまって、午後からは気もそぞろだった。
あっという間に初日が終了して帰路に着く。
違うよ、失言が恥ずかしかっただけだよ。別にちょっとかっこいいなとか思ったわけじゃないし。そんな笑顔向けられただけで気になっちゃうなんて学生みたいじゃん。だから違う…ちがうよ……
考えるほど墓穴を掘る気がした。手早くチェックインを済ませて、この1週間の根城であるビジネスホテルのベッドに身を投げる。
まだあの笑顔がぐるぐると脳裏を回っていた。
知ってる。一目惚れってやつだ。バカみたいだ。あーあ、そういう品種名のお米があったな。ほらまたおにぎりのこと考えてる。あーあ。
Day one
5日前のこと。
『じゃ、1週間よろしくね!』
そんなかるーい上司のひとことで、急に出張が決まったのである。
私は自社の関西支店へ短期出張にきていた。
来る前は憂鬱だったけれど、初めて顔を合わせた即席のチームメンバーは話しやすくて面白くて、良い人ばかりだった。特に朝から飛び交っていたボケとツッコミの応酬にはさすが関西の血、と感嘆せざるを得なかった。
怒涛の勢いで通り過ぎた午前中を振り返りながら、少し早めにもらった昼休憩に社外へ繰り出した。
手頃なランチを探す。食べやすくて、提供が早くて、お値段も手頃なところ。
スーツ姿の人が行き交う見慣れない街で、ふと目に留まったおにぎり屋さんに入った。
「いらっしゃい」
ガラガラと音のする引き戸を開けて暖簾をくぐると、歓迎の声をかけられる。
「えっと…日替わりランチをお願いします」
カウンター席に腰掛けながら、目立つ位置にでかでかと書かれていたメニューを注文する。
この丸椅子、座り心地がなかなか良いなあ。
ちらと上に目線を移すと、飲食店には似つかわない精悍な男性店員にどきりとした。
思わず目を逸らすように店内に視線を移すと、シンプルながらも居心地の良い内装。
なんとなくで入ったけど、なるほど。さっそく素敵なお店を見つけたかもしれない。
「おまちどぉ」
あっという間に目の前に置かれた日替わりランチは、食べ応えのありそうなおにぎりとほかほかの豚汁のセット。炊き立てのお米と豚汁のどう考えたって美味しそうな香りに、私の胃袋はノックアウト寸前だ。
「いただきます」
堪えきれずひとくち。食べてびっくり、予想以上!とんでもなく美味しい。
「ん?!…うっま!」
口を突いて出た社会人レディにあるまじき言葉遣いにハッとしていると、「そうやろそうやろ」と声が降ってきた。
見上げると自慢げな笑顔の店員。
かぁと顔が熱くなるのを感じた。
「今日の日替わり、とっておきやねん。ゆっくり食べていってな」
……心臓がうるさい。
例の店員が気になってしまって、午後からは気もそぞろだった。
あっという間に初日が終了して帰路に着く。
違うよ、失言が恥ずかしかっただけだよ。別にちょっとかっこいいなとか思ったわけじゃないし。そんな笑顔向けられただけで気になっちゃうなんて学生みたいじゃん。だから違う…ちがうよ……
考えるほど墓穴を掘る気がした。手早くチェックインを済ませて、この1週間の根城であるビジネスホテルのベッドに身を投げる。
まだあの笑顔がぐるぐると脳裏を回っていた。
知ってる。一目惚れってやつだ。バカみたいだ。あーあ、そういう品種名のお米があったな。ほらまたおにぎりのこと考えてる。あーあ。
Day one