5th.Omurice
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次の日。
今日も夕焼けが綺麗だ。
「あ、それはここにお願いします」
「りょーかい!」
ジタンさんはテキパキと片付けの手伝いをしてくれている。
楽しそうな横顔を見て、なんだか私も幸せになる。
「あらかた終わったかな?」
「ええ。ありがとうございました」
別れの挨拶が私の口から出る前に、ジタンさんがにこっと笑って言った。
「ナマエ、ご飯食べに行かないかい?」
数分後。
何度も丁寧にお断りしたのに笑顔なジタンさんに連れられて、私はたくさんの飲食店が立ち並ぶ大通りに来ていた。完全な根負けだ。
「ナマエ、あの店に入ったことあるか?」
「…いいえ」
「それじゃああの店にしよう!ここのオムライスが美味いんだ!」
もうここまで来たら逃げ場はない…初めからなかった気もするけど。
「店長、久しぶりー!」
ジタンさんが扉を開ければ、カランカランと綺麗な鈴の音が響いた。
お世辞にも広いとは言えない店内。
けれど、なんだかほっこりするような雰囲気に満ちていた。
「おお、ジタン!久しぶりだな!」
元気にしてたか?とジタンさんに聞くおじさんは目尻に笑い皺を出して微笑んだ。
この人が店長ならこの雰囲気にも納得。
「おう!あ、オムライス2つな!」
「なんだい、彼女かい?」
え、彼女?
ニヤニヤと店長が私の方を見る。
「…あー、その予定!」
「え…!ちょ、ちょっとジタンさん!!」
慌てる私に二人は爆笑した。
「悪かったって!」
「…別に怒ってないです」
「いや、怒ってるだろ!」
まいった、という風に苦笑いをするジタンさん。
カウンターの向こうで思い出して含み笑いをする店長。
…あ、ジタンさんちょっと笑った。
私はふん、とそっぽを向いて湯気を立てるオムライスにスプーンを入れた。本当に怒ってるわけじゃない。なんだか照れ臭くて、恥ずかしくて、少しだけ嬉しかったはずなのに。なんで怒ったふりなんてしてしまうんだろう?
スプーンの上の黄色を口に運ぶ。途端、卵がとろとろに溶けた。
わ…おいしい!
「て、店長さん!すんごく美味しいです…!!」
「おう、ありがとな」
ふわふわのトロトロで、濃厚なクリームソースがかけてあるオムライス。
本当においしい。
優しい、味。
「だろ?」
なぜかドヤ顔でジタンさんが言った。
「…ジタンさんが作ったんじゃないですよね??」
「かたいことは無しだ!」
いや、結構重要…と言おうとした私の頭をジタンさんがポンポン、と撫でた。
何事かと彼を見るとニカッと笑った。
「やっぱりナマエは笑ってた方がかわいいぜ?」
「え…」
不覚にも頬が熱くなった。
「前も言ったろ?俺が側にいる。ナマエを、守ってやる」
「だから、そうやって笑ってろ」
瞬間、私の視界は滲みだした。
遠くの方で店長がジタンをからかっている。
心臓がドクドクと音をたてる。
本気、で…言っているのかな…
ぽた。
涙が落ちた。
「あー!ジタンが女の子泣かせた!」
「え?!あ…ご、ごめんナマエ!」
あれ?
おかしいな。
涙なんてもう出ないと、思ってたのに。
私ってまだ泣けるんだ…
ぽたぽたぽた。
ダムの放水みたいに涙が流れる。
「…っ!!じ、ジタン…さんっ!!」
思わず私はジタンさんの肩に顔を埋めてしまった。
肺いっぱいに広がるジタンさんの香りが、ありのままの私を拒まず受け入れてくれるジタンさんの胸が。堪らなく堪らなく心地良かった。
「…ナマエ、もう独りじゃないんだ。オレのこと、頼ってくれないか?」
優しく言われて、頭を撫でられた。
Omurice
(優しいお味。)
今日も夕焼けが綺麗だ。
「あ、それはここにお願いします」
「りょーかい!」
ジタンさんはテキパキと片付けの手伝いをしてくれている。
楽しそうな横顔を見て、なんだか私も幸せになる。
「あらかた終わったかな?」
「ええ。ありがとうございました」
別れの挨拶が私の口から出る前に、ジタンさんがにこっと笑って言った。
「ナマエ、ご飯食べに行かないかい?」
数分後。
何度も丁寧にお断りしたのに笑顔なジタンさんに連れられて、私はたくさんの飲食店が立ち並ぶ大通りに来ていた。完全な根負けだ。
「ナマエ、あの店に入ったことあるか?」
「…いいえ」
「それじゃああの店にしよう!ここのオムライスが美味いんだ!」
もうここまで来たら逃げ場はない…初めからなかった気もするけど。
「店長、久しぶりー!」
ジタンさんが扉を開ければ、カランカランと綺麗な鈴の音が響いた。
お世辞にも広いとは言えない店内。
けれど、なんだかほっこりするような雰囲気に満ちていた。
「おお、ジタン!久しぶりだな!」
元気にしてたか?とジタンさんに聞くおじさんは目尻に笑い皺を出して微笑んだ。
この人が店長ならこの雰囲気にも納得。
「おう!あ、オムライス2つな!」
「なんだい、彼女かい?」
え、彼女?
ニヤニヤと店長が私の方を見る。
「…あー、その予定!」
「え…!ちょ、ちょっとジタンさん!!」
慌てる私に二人は爆笑した。
「悪かったって!」
「…別に怒ってないです」
「いや、怒ってるだろ!」
まいった、という風に苦笑いをするジタンさん。
カウンターの向こうで思い出して含み笑いをする店長。
…あ、ジタンさんちょっと笑った。
私はふん、とそっぽを向いて湯気を立てるオムライスにスプーンを入れた。本当に怒ってるわけじゃない。なんだか照れ臭くて、恥ずかしくて、少しだけ嬉しかったはずなのに。なんで怒ったふりなんてしてしまうんだろう?
スプーンの上の黄色を口に運ぶ。途端、卵がとろとろに溶けた。
わ…おいしい!
「て、店長さん!すんごく美味しいです…!!」
「おう、ありがとな」
ふわふわのトロトロで、濃厚なクリームソースがかけてあるオムライス。
本当においしい。
優しい、味。
「だろ?」
なぜかドヤ顔でジタンさんが言った。
「…ジタンさんが作ったんじゃないですよね??」
「かたいことは無しだ!」
いや、結構重要…と言おうとした私の頭をジタンさんがポンポン、と撫でた。
何事かと彼を見るとニカッと笑った。
「やっぱりナマエは笑ってた方がかわいいぜ?」
「え…」
不覚にも頬が熱くなった。
「前も言ったろ?俺が側にいる。ナマエを、守ってやる」
「だから、そうやって笑ってろ」
瞬間、私の視界は滲みだした。
遠くの方で店長がジタンをからかっている。
心臓がドクドクと音をたてる。
本気、で…言っているのかな…
ぽた。
涙が落ちた。
「あー!ジタンが女の子泣かせた!」
「え?!あ…ご、ごめんナマエ!」
あれ?
おかしいな。
涙なんてもう出ないと、思ってたのに。
私ってまだ泣けるんだ…
ぽたぽたぽた。
ダムの放水みたいに涙が流れる。
「…っ!!じ、ジタン…さんっ!!」
思わず私はジタンさんの肩に顔を埋めてしまった。
肺いっぱいに広がるジタンさんの香りが、ありのままの私を拒まず受け入れてくれるジタンさんの胸が。堪らなく堪らなく心地良かった。
「…ナマエ、もう独りじゃないんだ。オレのこと、頼ってくれないか?」
優しく言われて、頭を撫でられた。
Omurice
(優しいお味。)